「一助になる」「一助を担う」という表現を耳にしたことがあるだろうか。「一助」は文字通り、わずかばかりの助けを表す言葉。日常生活やビジネスシーンなど、幅広い場面で使われているが、その正しい意味を理解している人は意外と少ないかもしれない。
そこで本記事では、「一助」の意味と正しい使い方を解説する。ビジネスシーンで使える例文も併せてチェックして、言葉のレパートリーを増やしてほしい。
「一助」の意味と使い方
「一助」の読み方は「いちじょ」。まずは、この「一助」の言葉が持つ意味を詳しく見ていこう。
「少しの助け」の意味
「一助」には、「少しの助け、わずかの足し」という意味がある。「助」という言葉と、「少し」の意味を持つ「一」を組み合わせた言葉で、「何かを補うための少しの足し」を表している。
具体的には、「内職で稼いだお金を家計の一助とする」「先生から借りた本を理解の一助とする」のように使う。あくまでも「程度の少ない助け」に対して使う表現のため、大きな助けになっていることが明らかな場合は、「一助」という言い回しは避けたほうが良いだろう。
ビジネスシーンでは、目上の人に対して使う表現
ビジネスシーンでは、助けたことをへりくだって伝える場合に「一助」が使われる。主に、目上の方との会話やメールなどに用いられる敬語表現で、「一助になれば幸いです」「一助を担うよう努力を続ける所存です」と言い表す。
自身の行為を実際より小さく見せる謙譲語のため、相手に押しつけがましさを与えない点がポイント。「一助」という言葉を適切に用いれば、さりげなく自分をアピールすることにも繋がるはずだ。
ビジネスシーンでの使い方
ここからは、ビジネスシーンにおける「一助」の正しい使い方をチェックしていこう。例文を参考にしながら、実際の使い方を確認してほしい。
一助となるべく
「一助となるべく」は、謙虚な姿勢を表しながらも、自身のやる気をアピールしたい場面で使える言い回し。就活時に、履歴書やエントリーシートの志望動機欄に用いたり、ビジネスシーンでは自己紹介で使われたりする。「少しの助けになれるように」という低姿勢さが、相手に好印象を与えるはずだ。
【例文】
「御社のサービスの素晴らしさを伝える一助となるべく、精一杯努めます」
「販売促進の一助となるべく、精一杯努力いたします」
「若輩者ではございますが、プロジェクト成功の一助となるべく努力いたします」
一助になれば幸いです
「少しでも助けになれば幸いです」「少しの助けになれれば嬉しいです」という気持ちを表現したい場合には、「一助になれば幸いです」を上手に活用しよう。実際には大きな助けになるっている場合でも、「一助」を用いることで、謙虚なイメージを残すことができる。
【例文】
「お送りした資料が、新規プロジェクトの一助になれば幸いです」
「今までの経験が、貴社の一助になれば幸いです」
「これまでのボランティアの経験が、地域支援の一助になれば幸いです」
「一助」の類語は?
「一助」の他にも、少しの助けを表現する言葉がいくつか存在する。それぞれのシーンに応じて最適な言葉を選べるよう、似ている言い回しもチェックしておこう。
お力添え
「お力添え」は、他人へ力を貸すことを意味する言葉の一つ。上司や先輩、取引先など、目上の人からの手助けに対して用いられる表現で、「お力添えいただき感謝しております」「お力添えを賜りたく、お願い申し上げます」などのように用いる。協力していただいたお礼を伝えたい時や、サポートを依頼したい時などにこの表現を活用すれば、スムーズなコミュニケーションが図れるはずだ。
尽力
「尽力」とは文字通り、何かのために力を尽くすことを表現する言葉。ある限りを出すという意味を持つ「尽」と、「力」を組み合わせた言葉で、「ある事のために、自分の持つ力をできる限り発揮する」というイメージだ。
ちなみに、「尽力」は他人のためにすることに対し使う言葉のため、「私は成績を上げるために尽力した」という使い方は誤り。「街の復興のため尽力する」「プロジェクト成功のため尽力させていただく所存です」など、自分以外の何かのために全身全霊で頑張っていく強い気持ちを表現する際に活用しよう。
資する
「資する」には、ある物事の役に立つこと、援助することという意味がある。新聞記事や公的文書、論文など、ややかしこまった文章で用いられることが多い表現だ。具体的には、「防犯カメラの設置は犯罪抑止に資する」「この論文は、今後の研究の発展に資する」など、「〇〇は▲▲に資する」というかたちで使われる。「一助」と同じように、何かに貢献することを表す。
英語ではどう表現する?
「一助」を英語で表現する場合、「be of some help/少しの助けになる」が用いられる。一助の「一」の部分を表すために「some」を用いるのがポイントだ。具体的には「I hope I was of some help./私が何か役に立てば幸いです」「I hope this will be of some help to your research./これが研究の一助になれば幸いです」などのように表現する。
文/oki