【キックボクサー】×【格闘マンガ】キャラの必殺技の描写はリアルな格闘のヒント集
〝神童〟といわれる那須川さんの、夢に向かって進むポジティブな格闘スタイルには、少年マンガのヒーローたちの闘いの美学が宿っていた。
子供の頃から、アニメとマンガばかり見ていました。ジャンルにかかわらず、好きな作品は何度もリピートします。〝ハッピーになりたい〟〝勇気をもらいたい〟といったその時の気分で楽しんでいますね。
マンガ・アニメで一番影響を受けた作品は『イナズマイレブン』です。熱血主人公を中心に、目標に向かい、みんなで真っすぐに走っていくという青春ストーリー。僕は学校の部活に所属したことがなく、チームスポーツというものを体験してこなかったので、仲間と一丸になって頂点を目指すことへの憧れもあるんだと思います。今でも試合前に気合いを入れたい、自分を奮い立たせたい、そんな時に見返しています。アニメの主題歌を聞くだけで、テンションが上がり熱くなります(笑)。
格闘系では『刃牙(バキ)』シリーズが定番ですね。ダイナミックなストーリーや描写以外に、戦うポーズや、手、足の構え、動きなどの細かい部分をチェックし、ワザもかなり深く研究しています。トレーニングの参考にすることもありますね。
『刃牙』のオマージュとして、試合中に〝トリケラトプス拳〟の構えをしますが、とにかく迫力があるんですよ。観客にも喜んでもらえるので気分が高まります。人って脳みそで動いているんで、強くなったような〝気〟が、試合に影響するんです。
ワザの再現は難しいですけど、ヒントはたくさんあります。例えば『ドラゴンボール』のフリーザは、究極になるほど余計なものがなくなっていくんですが、〝シンプルなほど強くなる〟ということを学びました。最近、YouTubeで『鬼滅の刃』の猗窩座のワザと『NARUTO』の体術が実戦で使えるかを、スパーリングで試してみたんですが、意外と使えるものがあるんですよね。
格闘系じゃないですけど、『新世紀エヴァンゲリオン』の、自分で解釈して答えを見つける部分も格闘技に通じます。試合は絶対に勝てるという方程式がないので、常に自分で考えて勝ちパターンを探していかないといけない。〝答えを発想する力〟はエヴァから教えられた気がします。
〝格闘〟系に限らず、少年マンガの主人公の姿勢はメチャ好きですね。何度倒れても立ち上がり、くよくよしないで、すぐにポジティブになるじゃないですか。これは体に浸透しています。あと『NARUTO』なら「火影を超す!!」とか、『ワンピース』なら「海賊王に俺はなる」とか 主人公が口に出すところにもすごく共感します。夢は言葉にすると現実になりやすい。マンガ・アニメは、僕にとって人生の教科書ですね。
キックボクサー 那須川天心さん
44戦44勝(32KO)を誇るキックボクシング界の若き天才。RISEフェザー級世界王者など数々の王座を獲得する。
那須川さんのイチオシはこの作品!
『刃牙』シリーズ
(板垣恵介、既巻10巻(『バキ道』)、秋田書店)
地下闘技場チャンピオンの範馬刃牙と、地上最強を名乗る男たちとの闘いを描く、累計発行部数8500万部を記録する格闘マンガ。シリーズ第1作『グラップラー刃牙』は1991年に連載を開始。現在、『バキ道』が連載中。
イチオシ作品をこんな人に薦めたい!「仕事でも何であっても、これから勝負を挑む人」
刃牙の構えを真似たり、勝利を公言したりなど、自分には中二病チックな部分がありますが、マンガやアニメの自分を奮い立たせ常に前を向く姿勢は、現実でも成功につながると思います。
『イナズマイレブン』 (2008〜2011年)
ニンテンドーDS用ゲームを原作に『月刊コロコロコミック』(小社)でマンガ版、同時期にテレビアニメも開始。廃部寸前のサッカー部を主人公の円堂守を中心に立て直し全国制覇を目指すというストーリーが10代を中心に共感を呼んだ。平成23年度の小学館漫画賞児童部門を受賞。発行部数は100万部を超えている。
©LEVEL−5/FCイナズマイレブン・テレビ東京
取材・文/安藤政弘 撮影/長尾 迪 ©RISE