2020年の労働力調査によると、15歳~64歳の女性の就業率は70.6%で、2010年の60.1%から10ポイント以上も上昇している。
働く女性の増加に伴い、一昔前は男性ばかりだった職場で、活躍する女性が多くなった。一方、保育士や看護師をはじめ、女性の比率が多かった職種に就く男性も増加。
社会の「男女のボーダレス化」が進む中、ネクストレベルは職場内での恋愛事情も変化しているのかどうかを調べた。
「どんな職場で」「どういった立場の相手と」「何をきっかけに」恋愛に発展したか。そして、恋愛関係になってからはどうなったか?
経験者271名に聞いた社内恋愛のリスクとメリット
恋人は「同部署で一緒に仕事をしていた」が17.3%で最多
社内恋愛がスタートしたとき、恋人と社内的にどんな関係だったかを聞いた。
もっとも多かったのが「同部署で、一緒に仕事をしていた」で、17.3%がこれに当てはまると回答した。
全体的にみると、「他の部署で仕事上まったく関わりがなかった」(4.4%)と「同部署だけど、仕事であまり関わりがなかった」(3%)が少なく、仕事で無関係な相手と付き合うケースはごくわずかという結果だった。
もっとも社内恋愛に発展しやすい関係性は「先輩と後輩」
次に、社内恋愛の相手との関係性を「同期」「上司と部下」「先輩と後輩」の3つに分け、どの関係が社内恋愛に進展しやすいのか比較した。
もっとも多かったのは「先輩と後輩(41.6%)」の関係性。先輩と後輩は直接仕事を教える、教わる立場であることから、他の関係よりも関わりが強く恋愛に発展しやすいのかもしれない。
社内恋愛は秘密にすべき!?オープンにした人・秘密にした人の理由とは?
社内恋愛の場合、業務や人間関係に支障が出ることをおそれて、周囲に交際を隠しているカップルも少なくなさそうだが、実際に付き合っていることを秘密にしているカップルはどれくらいいるのか。
調査結果では、43.2%の人が「秘密にしている」ことが分かった。一方でそれ以外の56.8%が特定の人のみへオープンにしているなどを含め、「オープンにしている」と回答した。
社内恋愛を周りに秘密にしている人、オープンにしている人、特定の人のみにオープンにしている(または秘密にしている)人は、それぞれどういった事情があるのか。
オープンにしている理由は「知られても問題がない」が61.8%
まずは社内恋愛を「オープンにしている」人に、その理由を聞いた。
「特に知られても問題ない(61.8%)」「秘密にしておくことが面倒(3.6%)」と65.4%の人は、特にオープンにしたい意図があったわけではなく、秘密にする必要がなかったというのが理由のようだ。
また「秘密にしたかったが知られてしまった 」という回答も30%ほどあり、オープンにしたくはなかったが意図に反してオープンになってしまった人もいた。
一方で、「ライバルをけん制するため(1.8%)」「恋人との交際を周囲にも知らせたい(1.8%)」など、理由があって意図的にオープンにしたという人は3.6%に留まった。
「親しい人にはオープンにする」が45.7%
「特定の人だけにオープンにしている」と回答した人にも、理由を聞いた。その理由のトップ5は次の通りだ。
「親しい人には社内恋愛をオープンにしたい」「親しい人にはオープンにしなければいけない」という内容の回答が45.7%に上った。親しい人であれば、仕事だけでなくプライベートでも交流がある可能性があり、オープンにしたほうが社内恋愛しやすいという事情があるのかもしれない。
またここでも、「秘密にしたかったが知られてしまった 」と、意図に反してオープンになったケースが19.6%あった。
「意図せず知られてしまった」ことであらゆる影響も
「オープンにしている」「特定の人だけにオープンにしている」のいずれにも、「秘密にしたかったが知られてしまった 」と回答した人が2~3割いた。これらの人に、「意図せずオープンになってしまったことで困ったことはなかったか」尋ねた。結果は次の通りだ。
「特に困ったことはなかった(42.4%)」「困ることはなかったが気まずかった(36.4%)」と、78.8%の人に関しては大きな影響はなかったようだ。
その一方で、業務に支障が出たり(12.1%)、片方または両方が異動となる(3.0%)などの多大な影響が出てしまったケースも。また意図せずに社内恋愛を知られてしまうことが、別れの原因になる(3.0%)こともあるようだ。
社内恋愛が周りの社員に知られてしまうことで、思わぬ影響がでる可能性があることは知っておいたほうがよさそうだ。
秘密の理由は「業務や処遇に影響」「社内恋愛禁止」も
さいごに社内恋愛を「秘密にしている」人に、その理由について聞いてみた。
「気まずいから」(41%)、「基本的に恋愛について話さない」(20.5%)といった個人的な理由が上位を占めていますが、「業務に影響がでる」(18.8%)、「出世や処遇に影響する」(8.5%)といったビジネス上の対外的な理由も少なからずあった。また「社内恋愛が禁止」(7.7%)という会社も実際にあるようだ。
社内恋愛でよかったのは「スケジュールが把握しやすい」
社内恋愛ならではのメリットやデメリットについて経験者に聞きました。まずは「社内恋愛でよかったと思うこと」として当てはまるものをすべて選んでもらった。
経験者の55%が社内恋愛のメリットだと感じているのが、「お互いのスケジュールを把握しやすい」こと。相手のスケジュールを把握していれば会う時間を設けやすくなるし、長く会えない期間があっても変に勘ぐる必要がなくすれ違いを回避することができるだろう。
その次に多かった「相手の仕事の様子を知ることができる」「勤務時間が一緒なので、プライベートでも会いやすい」「相手の様子がわかりやすいので、すれ違いが少ない」も、「スケジュールを把握しやすい」と意図としてはほとんど同じといえそうだ。
前章では意図せずオープンになったことで別れてしまったケースもありましたが、「特にない」という回答以外の95.9%の人は、社内恋愛に対して何らかのメリットを感じていることが分かった。
3割の経験者が「社内恋愛で困ったことは特にない」と回答
社内恋愛のメリットの次は、デメリットについても尋ねてみました。回答のトップは「特にない」で、回答者の31%が当てはまると回答した。
次に多かった回答は「業務で異性と接しているのに、恋人に嫉妬される(19.2%)」。その他にも64.6%の人が、「プライベートで気分転換ができない」や「会社の飲み会などでもハメを外せない」など、交際している相手の反応を気にしていることが分かった。
半数以上の人が、交際相手と一緒の職場にいることに対する閉塞感を少なからず感じているようだ。
また「恋人とのことでからかわれる」「イチャついていると誤解される」など、周りの対応や反応に対して困っていると回答した人も42.3%いた。
「特にない」という回答以外の69%の人は何かしら『困った』経験があるということなので、社内恋愛をする場合にはこういった困りごとが起きる覚悟はしておいたほうが良いのかもしれない。
社内恋愛は「1年以上交際」した人が57.6%
社内恋愛では周りの人に気を遣わないといけない点も少なくないようだが、お付き合いは長く続くものなのか。今回の回答者にどのくらい交際が続いたのかを聞いた。
もっとも多かったのは「1年~2年」で28.0%でした。「6ヶ月~1年」「1年~2年」を合わせると53.5%となり全体の半数以上を占めるが、6カ月以下の合計は16.9%と少ない結果に。
社内恋愛のすえに「結婚した」は24.7%
気になる社内恋愛の結末について。社内恋愛の結果、関係性はどうなったのかを尋ねた。
もっとも多いのが「破局」で59.8%とほぼ6割に達しました。一方で結婚に至ったのは24.7%。およそ4人に1人が結婚しているのですから、少ない数字ではない。
社内恋愛から結婚に至るケースが多いのは、社内恋愛が比較的長く続くことと無関係ではないようだ。社内恋愛が3年以上続いた47人のうち「結婚した」のは63.8%の30人、「現在進行中」が14.9%の7人、「破局した」21.3%で、圧倒的に「結婚した」が多くなっている。
これが社内恋愛が5年以上続いた人(計20人)になると「破局した」のがたった1人、10年以上(12人)で「破局した」のは0人となった。
社内恋愛が破局した理由は「まんねり」が最多
「破局した」と回答した人に対し、「社内恋愛であったことと、破局には関係があるか」を聞いた。その結果は次の通りだ。
破局したのは“社内恋愛”だったから?
「関係ない」とした回答した人の方が多い結果でしたが、一部「関係ある」(14.2%)と答えた人もいた。「関係ある」と回答した14.2%の人にはさらに、その具体的な理由を教えてもらった。結果は次の通りだ。
破局した理由
「まんねりになった」という回答が41.4%で最多。恋人と長い時間一緒にいられる一方で、仕事でもプライベートでも常に顔を合わせるという環境に新鮮味を感じなくなってしまう人が多くいたことが分かる。
もう一度「社内恋愛したい」は10.5%で少数派
今回アンケートに答えてくれた社内恋愛経験者の全員に、「もう一度社内恋愛をしたいかどうか」を聞いた。回答は次の通りだ。
最多となったのは「どちらともいえない」で25.3%。「できるだけ避けたい」「したいとは言えない」「絶対にしたくない」の否定派の合計は46.9%で、「したくはないが、してもいい」「社内恋愛したい」の肯定派の合計27.8%を20ポイント近く上回る結果となった。
社内恋愛のメリットも少なくはないものの、デメリットを感じることのほうが多いということなのかもしれない。
社内恋愛は「サービス業」で「事務職」が発展しやすい傾向
最後に、どのような業種・職種で社内恋愛に発展しやすいのかチェックするため、アンケート対象となった「社内恋愛経験者」「社内恋愛中」の方々のプロフィールを見てみよう。
まずはアンケート対象者が社内恋愛をしていた当時の勤務先(恋愛中のケースでは現在の勤務先)。勤務先の業種でもっとも多かったのは「サービス業」で、全体のおよそ3割に当たる29.9%。社内恋愛の勤務先で多かった順にまとめると、次の通りだ。
勤務先の規模は、従業員数「11人~100人( 45.0%)」がもっとも多く、続いて「101人~500人 (25.5%)」、「1001~5000人(8.9%)」、「501人~1000人(7.7%)」、「5001人以上(7.4%)」です。「10人以下」は5.5%。どちらかというと、中規模な会社での社内恋愛が多い結果だ。
職種では「事務職」が32.5%で最多
次は、職種や雇用形態に関して。社内恋愛スタート時の雇用形態は「正社員71.2%」「アルバイト・パート18.1%」「契約社員6.6%」「派遣社員4.1%」となっている。
仕事内容で見ると、「事務職」が32.5%で最多でした。詳細は以下の通りだ。
社内恋愛の開始時期は「入社1年~2年」が最多
入社してからどのくらいの時期に社内恋愛が始まるケースが多かったのでしょうか。社内恋愛がスタートした当時の社歴について聞いた。
入社後「1年~2年」が20.3%ともっとも多く、「6ヶ月~3年」(16.2%)、「2年~3年」(14.4%)と、入社半年から3年の間に付き合い始めた人が全体の約半分を占める結果に。
一方で半年以内に社内恋愛が始まった人の割合で見ると全体の4分の1に達する。毎日、長時間一緒に過ごすことも多い社内でのことだけに、「急展開」も多いようだ。
仕事から始まる社内恋愛は、結婚への近道!?
最近は、社内恋愛も多様化していて、オープンに楽しんでいる人や、同じ職場にいるメリットを生かして付き合いを深めているカップルも多くなっているようだ。
何よりも、社内恋愛の場合は比較的関係が長く続き、結婚に至るケースも多い点は見逃せない。社内恋愛の期待値は思った以上に高そうだ。
今後は男女共同参画の推進や年功序列の見直し、そしてリモートワーク導入の加速化など、さまざまな改革の流れの中で、日本の会社も大きく変化することが予想される。
会社組織の変革が進み、人間関係が柔軟になれば、より良い人間関係の中では、より良い社内恋愛も生まれるだろう。
そんな会社を探して社内恋愛を目指すのも、人生の一つの選択肢になるかもしれない
調査概要
調査方法:インターネットアンケート
アンケート母数:271名
実施時期:2021年5月17日~5月31日
調査実施主体:マッチングアプリ大学調査会社:株式会社ネクストレベル
構成/ino.