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実用的でノスタルジックな、昔ながらの包装材「経木」の魅力

2021.08.09

経木(きょうぎ)という物をご存じだろうか。

木を削り、紙のような薄さにしたもので、かつては、お肉やお魚を買えば、この経木で包んで渡してくれることが、ほとんどだった。

今でも時々目にすることはあるものの、多くはプラスチックのトレイや袋に変わってしまい、その名前すら知らないという人も少なくないだろう。

昔からおにぎりなどの食品を包むのに使われてきた、いわば日本伝統の包装材である“経木”だが、ここ最近、周りで愛用する人が増えている。

私も最近、その魅力に改めて気づかされた一人だ。

使い始めたきっかけは、ラップの代わりになるものを探していたことだった。

おにぎりを出先に持っていきたい時、パンやお肉を保存したい時。蜜蝋ラップや土に還るエシカルなラップなども発売されているが、使っていて、心地よく感じたのが経木だった。

今でもいくつかの地域で杉や檜、赤松などの木から経木が作られているが、その中でも想いに共感して愛用しているものが“信州経木Shiki”だ。

長野県伊那市で「森をつくる暮らしをつくる」という理念を掲げ、森を様々な方法で楽しくする活動に取り組む株式会社やまとわが、伊那谷の地域材である赤松だけを原材料として、丁寧に1枚1枚作っているというもの。

ちなみに、Shiki という名前には“敷く”以外にも、“四季”や何かと何かを組み合わせて別のものをつくりだすという“織”。木の紙の“紙木”などいくつもの意味が込められているそうだ。

抗菌作用だけでなく、湿度を調節する作用にも優れ、素材の味を引き立てる天然の香り、見た目の美しさまで兼ね備えた赤松は、経木をつくるのにぴったりだというが、近年、松枯れ病という問題を抱えているという。

松枯れ病とは、輸入材木の中にいたマツノザイセンチュウというセンチュウがカミキリムシを媒介し赤松に入って枯らしてしまうというもの。

昭和50年代に全国的な被害のピークを迎え、今でもその被害が継続しているという。

最初は、標高が低い温暖な地域から広がった被害だったが、今では標高の高い地域が被害の最先端地域となっていて、ここ数年は長野県全体でも、毎年7万㎥もの被害が出ているのだとか。

長い年月を経て、せっかく育った木も、松枯れ病になってしまうと枯れてしまい、材木としても使えなくなってしまう。

信州経木Shikiは、そんな枯れ行く赤松を活用し、新たな命を吹きこんで作られたものなのだ。

実際に経木を暮らしの中で使ってみると、見た目の美しさや香りの良さだけでなく、とても実用的で、様々なシーンで使えるアイテムだと気が付いた。

例えば、揚げ物や焼き魚、餃子などを料理する際、経木の上に置けば、余分な水分や油分をいい感じに吸い取ってくれる。

お肉を保存する際には経木に包んで、冷蔵庫や冷凍庫へ。

使う際には、そのまま経木をまな板代わりにして、お肉をカット。

こうすることで、まな板は汚れないし、食材の鮮度を保ってくれる。

柔らかくて素材にしっかりフィットしてくれるので、小さく切って、落し蓋として使うこともあれば、お弁当の仕切りにもなる。

使い方は無限大。とにかく「経木…万能。恐るべし」というのが今のところの感想だ。

おすすめの使い方は、シンプルだが”おにぎりを包むこと”だろうか。

適度な湿気を保ってくれるからか、はたま優しい木の香りのおかげなのか、経木に包んだおにぎりは、まるで、おひつに入れていたようなごはんの味がするのだ。

一緒に入っている赤松の紐で包むと、ちょっとしたお弁当箱代わりにもなるので、ピクニックやお弁当、アウトドアなどでも重宝する。

食べ終わったらまるごと、燃えるゴミになるというのも嬉しいポイントだ。

毎日使うもので、枯れ行く木々を有効に使うお手伝いが出来たり、プラスチックを使う頻度を減らし、地球に優しい選択が出来るというのは、使っている方も心地が良いものだ。

実用的かつ、癒しまで与えてくれる経木。

今ではすっかり手放せないアイテムになっている。

“信州経木Shiki”→https://shinshukyougi.jp/

茂木雅世 もき まさよ

煎茶道 東阿部流師範・ラジオDJ
2010年よりギャラリーやお店にて急須で淹れるお茶をふるまう活動を開始。現在ではお茶にまつわるモノ・コトの発信、企画を中心にお茶“漬け”の毎日を過ごしている。暮らしの中に取り入れやすいサステナブルアイテムを探求することも好きで自称“アットDIMEのゆるサステナブル部部長”
Instagram:https://www.instagram.com/moki98per/
Twitter:https://twitter.com/ocharock

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