「SDGs」や「サステナブル」という言葉がさかんに聞かれるようになった昨今。環境への配慮を行動で示す、もっとも身近な機会の一つであるゴミの分別について、消費者はどのような態度で向き合っているのだろうか?
一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会はこのほど、全国の20代~60代の男女1000名を対象に「コロナ禍での生活意識変化とゴミの分別に関する実態調査」を実施した。詳細は以下の通り。
コロナ禍で35.9%がSDGsなど環境に対する意識が高まったと回答
今回の調査対象者である全国の男女1000人に、新型コロナウイルスの流行による外出自粛や在宅勤務などニューノーマルな環境下での生活変化について聞いた。
その結果、「無駄なものを買わなくなった」38.7%、「整理整頓、断捨離を行うようになった」27.0%、「長持ちするものを買うようになった」21.9%などのコロナ禍での変化があったことがわかる。さらにSDGs(持続可能な開発目標)など環境に対する意識の高まりについては、35.9%と3人に1人が「高まった」と回答し、コロナ禍での生活や価値観の変化は人々の環境意識にも影響を与えているようだ。
73.7%がゴミの分別に悩んだ経験あり。マニキュアの捨て方の正解は!?
つぎに、可燃ゴミ、不燃ゴミ、資源ゴミ等、ゴミの分別に悩んだ経験を聞いたところ、73.7%の人が分別に悩んだ経験があるという結果に。分別に悩んだゴミの種類は、1位の「電池」24.8%のほか、TOP10には「電球」18.5%、「バッテリー」16.4%、「生活家電」15.9%が入り、家電製品に関する分別の悩みが多いことがわかった。
次いで2位「発泡スチロール」22.3%、3位「アルミ箔」20.8%の順となり、燃やせるのか燃やせないわかりづらい素材も悩みの種となっているようだ。これらのゴミは地域のゴミ処理能力や自治体により分別の仕方が異なることもあり、正解がわからないというのが実際のところなのかもしれない。
回答者にゴミの分別に関する具体的なエピソードも聞いた。「プラスチックだと思ったら紙でできていた」「ヨーグルトのフタはプラスチックだった」、「歯ブラシはプラスチックだと思っていた」など、プラスチックに見える素材でも実際は違う素材の場合や、素材がわからないため捨て方もわからないことが多くあるようだ。
また、女性がよく使う化粧品は鏡つきの容器のほかマニキュアの中身の捨て方にも困っていることがわかった。その他、前述の通り地域によってゴミの分別や捨て方が異なること、分別方法に変更があることも、消費者にとってゴミの分別をわかりづらくする要因となっているようだ。
<ゴミの分別に関するエピソード> ※フリーアンサーより抜粋
●プラスチックかと思ったら紙でできていたため改めて可燃物の日に出してと置いていかれた。(神奈川県、42歳、男性)
●ヨーグルトのフタは燃えるゴミで捨てていたが、プラスチックだった。(静岡県、29歳、女性)
●歯ブラシはプラスチックだと思ってずっとプラゴミに捨てていたら、実は可燃ゴミと知りショック。(兵庫県、29歳、女性)
●マニキュアを捨てようと思い中身が固まって出てこなかったためそのまま不燃ゴミで捨ててしまったことがある。
実際にどうやって捨てたら良かったのかは実は未だにわからない。(東京都、32歳、女性)
●ファンデーション等の鏡がついているケースは鏡が取り外せないため捨てられずにいます。(岡山県、56歳、女性)
●電池を1本だけ捨てたくて調べたが、小さいため出しにくく結局会社に持っていって捨てた。(東京都、31歳、女性)
●刃物系をどのように捨てるか危ないので悩みます。髭剃りもはさみも包丁も。(埼玉県、44歳、男性)
●発泡スチロールが燃えるゴミではない地域で、燃えるゴミで出したら近所の人に怒られた。(福岡県、57歳、男性)
●分別の種類が変わっていることを知らずに、以前の知識のままで分別を続けていたことがあった。(東京都、54歳、男性)
消費者の91.4%と大多数が「環境のためにゴミの分別が大切」と感じている
ゴミの分別と環境意識について聞いてみたところ、91.4%と大多数がゴミの分別が自然環境保全に向けた取り組みとして大切だと考えていることがわかった。
しかし、その大切さを理解していながらも分別できなかった・しなかった経験のある人は「ごくまれにある」まで合計して79.4%と約8割にものぼり、「たまにある」までの合計でも48.2%と約半数と高い割合の残念な結果となった。その理由については、「素材が何かわからない等で分別の方法がわからなかったから」が過半数の66.8%となり、続く「手間がかかりめんどうだったから」27.1%、「捨てた後に分別が必要なものだと気づいたから」20.7%を大きく引き離している。
このことは、ゴミの分別が消費者側だけでなくそれを製造販売するメーカー側にも大きな課題があることを示しており、素材とその分別方法を消費者によりわかりやすく伝える必要があることが明らかになった。
商品にゴミの捨て方や分別方法を表記することに85.0%が「良い」と評価
最後に、一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会は8月1日(日)に環境保全や地域・社会へ配慮するソーシャル性の高い新プラットフォーム「ステカタnavi.」をローンチする予定だ。
そこでサービス内容について聞いたところ、商品自体に、その商品のゴミの捨て方や分別方法を記載することに対して85.0%が「良い」と評価。購入意向についても64.2%が「ステカタnavi.」QRコードつき商品を購入すると回答。そのうち8.1%は多少価格が高くてもQRコードつき商品を購入すると答えていることからも、消費者がソーシャルグッドな消費に対してとても前向きになっている実態がわかった。
<調査概要>
1.調査の方法: インターネット調査
2.調査対象者: 全国の20代~60代の男女(ゴミの分別をしない人を除く)
3.有効回答数: 1000サンプル(各性年代100名の均等割付)
4.調査期間: 2021年6月25日(金)
出典元:一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会
構成/こじへい