「意気衝天」という言葉をご存じだろうか。『三國志 真戦』や『ファイナルファンタジーⅪ、XIV』などのゲームをプレイした経験のある方であれば、目にしたことがあるかもしれない。
本記事では「意気衝天」の意味と使い方、類語、対義語について解説する。また、意気衝天と同じく「意気」で始まる「意気投合」や「意気揚揚」などの四字熟語も併せて紹介したい。
意気衝天とは
「意気衝天」は「いきしょうてん」と読み、訓読の「意気天を衝く(いきてんをつく)」は慣用句にもなっている。意気衝天はスポーツやビジネスシーンにおいて、とても前向きな状態の時に使われる言葉。はじめに、意気衝天の正しい意味と使い方について解説しよう。
「意気衝天」の意味
意気衝天とは、意気込みや気概が天を衝くばかりにたいそう盛んな様子、とても元気なさまを表す四字熟語。「意気」は、積極的に何かをしようとする気持ち、強い意志のこと。「衝天」は「天を衝く」という慣用句でもあり、空よりも高い天に届くほど勢いが盛んなことを表している。なお、「衝」の漢字を「昇」とするのは誤りになるため注意しよう。
使い方と例文
意気衝天は「意気衝天の勢い」「意気衝天の感がある」などと表現することが多い。ここでは意気衝天の例文と、慣用句「意気天を衝く」の例文を併せて紹介する。
「今年の我がチームは士気が高く、意気衝天の勢いで連勝記録を伸ばしている」
「最近、彼女の企画が次々と採用されていて、まさに意気衝天といった感じだ」
「娘は受験のために、これまで必死に勉強してきた。試験会場へ向かう様子は意気衝天としている」
「彼は幼いころからの夢を叶えるため、意気天を衝く顔で留学先へと出発した」
「応援スタンドからの声援は、まるで意気天を衝く声でライバルチームを圧倒した」
英語表現
意気衝天を英語で表現すると「in high spirits」。上機嫌なことや勢いがいいことを表し、「She was heading to the test center in high spirits.(彼女は意気衝天として試験会場へ向かった)」のように文末につけるのが一般的だ。
「意気」で始まる四字熟語
ここでは、「意気」で始まる四字熟語を紹介したい。数は多くないため、それぞれの言葉の意味を覚えて使い分けられるようになると、さまざまな場面で役に立つはず。
意気衝天の類語
意気衝天と同様、とても元気で意気盛んなことを表す四字熟語を二つ紹介する。意味は似ているが、意気の後の言葉によるニュアンスの違いに注目してほしい。
・意気軒昂(いきけんこう)
意気込んで大いに奮い立つさま、威勢がよく元気な様子を表す。「軒」も「昂」も高く上がるという意味で、「軒昂」は意気が大いに奮い立つという意味がある。軒昂の代わりに「軒高」と書くこともあるが、単独では「のきだか」と読み、地面から建築物の軒を支える構造材の上部までの高さのことを言う。
・意気揚揚(いきようよう)
「揚揚」は得意な様子を意味することから、得意気で威勢のよい様、気持ちが高まり自信たっぷりに誇らしげに振舞う様子のことを指す。意気衝天や意気軒高に比べると、他者よりも得意気、誇らしい気持ちが含まれている。本人だけが得意になって胸を張っていても、周りがしらけているような場合、多少皮肉が込められて用いられることがあるようだ。
意気衝天の対義語
元気で勢いのある意気衝天に対して、元気がなくなり勢いも衰えてしまうという意味の四字熟語が以下の二つだ。
・意気阻喪(いきそそう)
元気がなくなり、意気込みや勢いも衰えることを意味する。「阻喪」は気力がくじけて元気がすっかりなくなること。本来は「沮喪」と書き、「沮」はくじけるという意味を持つ。
・意気消沈(いきしょうちん)
元気をなくし、すっかりしょげてくよくよした状態を表す意気消沈。「消沈」は、積極的にやろうとする元気を失うことや気力が衰えてしまうことを指している。元気がなくなる点は意気阻喪と共通しているが、意気消沈は精神的に落ち込む意味も含む。ちなみに「意気銷沈」とも書き、「銷(しょう)」は尽きる、消えるという意味を持つ。
意気から始まる四字熟語
・意気自如(いきじじょ)
物事に驚いたり、取り乱したりせず、いつもと変わらず気持ちが平静であること。この場合の「意気」は気持ち、心のありようを意味する。「自如」は落ち着いているさまを表す。
・意気投合(いきとうごう)
互いの考えや趣味などが一致して、気が合うことを言う。「意気」は気持ち、「投合」は気持ちや意見がぴったり合うこと。一つにまとめる意味の漢字「統合」は誤り。
文/oki