焼酎のアルコール度数といえば、一般的には20~25%の商品が多い傾向にあります。そんな焼酎の度数ですが、実は上限が酒税法で定められており、甲類と乙類でその上限が違うことをご存じでしょうか。
そこで今回は焼酎の度数について掘り下げていきます。
意外と高い! 甲類焼酎と乙類焼酎の度数の上限は?
焼酎には連続式蒸留焼酎と単式蒸留焼酎があることをご存じでしょうか。
過去には連続式蒸留焼酎は甲類焼酎と呼ばれており、単式蒸留焼酎は乙類焼酎と呼ばれていました。ですから正確には連続式蒸留焼酎と単式蒸留焼酎という名称になりますが、今回は過去の慣例にならい「甲類焼酎」と「乙類焼酎」という区分け方ですすめていきます。
知っている方も多いかもしれませんが、甲類焼酎は製造過程で蒸留を複数回行うため、味や臭いのクセが少なく、すっきりとした飲みごたえでウーロンハイやレモンチューハイといったカクテルなどにも多く使われるタイプの焼酎。
一方で乙類焼酎とは、製造過程で蒸留を1回または2回のみ行うため、原料の芋や麦の香りや味わいがしっかり残ります。水割りやロック、お湯割りなどで楽しむ方が多いタイプの焼酎。
これら甲類焼酎と乙類焼酎のアルコール度数は、一般的に20~25%の商品が多い傾向にあります。そのため、「焼酎のアルコール度数は20%か25%」という認識をしている人もいるのではないでしょうか。
しかし、中にはもっとアルコール度数が高い焼酎もあります。
ここで国税庁のホームページ、「焼酎に関するもの」をチェックしてみましょう。酒税法では焼酎を以下のとおり定義しています(一部抜粋)。
アルコール含有物を蒸留した酒類のうち、
A 連続式蒸留機で蒸留したもので、アルコール分36度未満、
B 単式蒸留機で蒸留したもので、アルコール分45度以下
のもので、ウイスキー、ブランデー、ウオッカ、ラム、ジンなどに該当しないものをいいます。
Aの「連続式蒸留機で蒸留したもの」とは甲類焼酎のことを指し、Bの「単式蒸留機で蒸留したもの」は乙類焼酎を指します。
つまり、甲類焼酎のアルコール度数の上限は35%以下で乙類焼酎のアルコール度数の上限は45%以下ということになります。
私たちがいつも口にしている焼酎のアルコール度数は20~25%のものが多いため、酒税法での上限を「意外と高い」と感じた方もいるのではないでしょうか。
ちなみにアルコール度数の下限は甲類、乙類ともに1%以上と定義されています。
【参照】国税庁 焼酎に関するもの
芋焼酎や麦焼酎のアルコール度数はどれくらい?
芋や麦を原料に使う芋焼酎や麦焼酎のアルコール度数の上限はどれくらいなのでしょうか?
一般的に芋焼酎や麦焼酎は乙類焼酎に区分されるものが多いです。もちろん、甲類焼酎にも芋や麦が原料に使われている焼酎もありますが、今回は乙類焼酎として紹介していきます。つまりアルコール度数の上限は45%以下となっています。米焼酎やそば焼酎も同様です。
泡盛のアルコール度数はどれくらい?
沖縄の伝統的な焼酎に「泡盛」というお酒があります。泡盛は黒麹菌で作った米麹のみを原料としており、香味成分が多く濃厚な味わいが特長的な焼酎。
そんな泡盛ですが単式蒸留機を使って造られるため、乙類焼酎に分類されます。ですからそのアルコール度数の上限はやはり45度となっています。
【参照】崎元酒造所 花酒について
しかし、中には泡盛とまったく同じ行程で造られるアルコール度数が45%を越えるものもあり、それらは焼酎ではなく「蒸留酒(スピリッツ)」に分類され、名称も泡盛ではなく「花酒」といいます。
日本酒のアルコール度数は?
日本酒の一種である清酒のアルコール度数の上限は22%未満と規定されています。
【参照】日本関税協会
※データは2021年7月下旬時点での編集部調べ。
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文/髙見沢 洸