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地獄のニチアサ!?地球最狂の少女と宇宙最恐の怪人コンビが暴れまくる傑作映画「サイコ・ゴアマン」

2021.07.30

2021年、世は大特撮時代、海の向こうからヤバいヤツがやってきた!

今、徹夜明けの変なテンションでこの原稿を書いているが、ハイな状態じゃなきゃこの最高の映画について40文字以上長々と書く気にならないだろう。そんな言語化不可能映画が、海の向こうからやってきた。その名も『サイコ・ゴアマン』。意訳すると「ヤバい・グロい奴」。これほど的確なネーミングは、糸井重里氏にも付けられない。『マンボーグ』『ファーザーズデイ / 野獣のはらわた』『ザ・ヴォイド 変異世界』(これはシリアス)と、貞操を守りつづけるかのように知能が一定以下の映画を撮りつづけてきたスティーヴン・コスタンスキ監督の最新作だ。

2021年、世は大特撮時代。ウルトラマン55周年、仮面ライダー50周年、スーパー戦隊45作目…、今や日本が誇るカルチャーの一つとなった特撮ヒーロー作品のアニバーサリーが目白押し。そんな日本の特撮作品にも熱い影響を受けたという『サイコ・ゴアマン』も、めでたいムードを祝おうとパーティーにやってきたが、イカれているのでみんなをちょっと引かせてしまった。そんな空気を察してか「お高くとまってるんじゃねぇ、こちとら”地獄のニチアサ”じゃい!」と開き直ったとか開き直らないとか(想像)、とにかく史上もっとも邪悪なヒーロー映画の誕生だ。

友達がいないので兄ルークと「クレイジーボール」という独創的かつ暴力的なボール遊びに精を出す、一線を超えてひねくれた少女(≒クソガキ)ミミ。ちょっとこの辺の、変わり者少女が浮いちゃってる感が妙にリアルなのだけど、そんな彼女が庭を掘ると、そこには宇宙最恐の怪人が封印されていた…!ここから最恐怪人とキッズの戦いがはじまるのか、はたまたキッズと怪人が心温まる交流をする80年代風ジュブナイルSFがはじまるのか…、と思いきや、ミミの邪悪さは怪人を超えていた。

怪人をコントロールできる宝石・プラクシディケの宝石を手にしたミミは、渋々従う怪人に「PG=サイコ・ゴアマン」と無理やり名付け、バイオレンス・ライフの春を謳歌する。プラクシディケの宝石・ハラスメント、プラハラである。地球最狂の少女と宇宙最恐の怪人という、その他全生命体にとって迷惑極まりないコンビのお通りだ!しかし、そんなサイコ・ゴアマンを狙う刺客が宇宙からやってきて、ミミとルークの間に亀裂が入るわ、ミミの親父は清々しいまでのクソ親父だわ(最高のキャラ)で、ストーリーは急展開に次ぐ急展開。そして、意外にも王道的展開もあり、最後にはほんわかした感動も訪れる。ウソみたいだが、ウソじゃない。

『サイコ・ゴアマン』は、ビジュアル面も最高だ。サイコ・ゴアマン自身は、王道の洋画怪人系のルックスだが、敵対するテンプル騎士団の刺客たちは超・パワーレンジャーテイストで、デザインも造形も出色の出来。『パワーレンジャー』は、東映のスーパー戦隊シリーズをアメリカ向けにローカライズした番組だが、コスタンスキはパワーレンジャーに加えて仮面ライダーやハカイダーなどの東映特撮作品が好きなようだ。

刺客の中でも、一番人気が出そうなのが「DeathTrapper」。ドラム式洗濯機のようなボディの中に大量の死体を積んでいて、ホースから血を絞り出して噴出してくるという悪夢のようにキュートなやつ。これは、フィギュアが欲しい。ちなみに刺客の中には、日本語で喋る女性型の怪人もいて、その辺にも日本の特撮へのリスペクトが感じられる(ひどい死に方するけど)。

そして、SNSなどで見かけた人もいるかもしれないが、もはやこいつがサイコ・ゴアマンだと勘違いされている可能性のある脳みそくん(正式名称不明)。この子は、見た目が最高なのはもちろん、特に深い意味もなく、特に何もしないという、本当に見た目だけの存在というのが、どうしようもなく無力で可愛い。ある意味で本作を象徴する存在だ。

だが、『サイコ・ゴアマン』のビジュアル面の真のMVPは、恐ろしくひねくれた少女ミミを演じる子役の邪悪な笑顔だろう。ほんと素晴らしい。とにかくコスタンスキ監督の「おれの好きなもの」が詰め込まれた映画で、同じような趣味の友達の部屋に遊びに行ったみたいな楽しさがある。ゴア表現もカラッとしていて、内向きにならないポップさが魅力なので、記念すべきPG12指定になったことだし、ぜひファミリーで見に行って一夏のトラウマを作る家族が現れてほしいと切に願う。

イラスト by タカハシヒョウリ

「チェンソーマン」の人気漫画家・藤本タツキ先生も絶賛!書き下ろしイラストを描いてくれたぞ!
ミミが邪悪すぎて最高!!

映画情報

あらすじ

ある日、庭で遊んでいた勝ち気な少女ミミ(8歳)と兄ルーク(10歳)は、ひょんなことから地底に太古から埋められ、銀河で恐れられていた名前のない悪魔<残虐宇宙人>をよみがえらせてしまう。怒りと憎しみの感情しか持たず、計り知れない特殊能力を持った残虐宇宙人の復活により、地球は絶体絶命の危機に。

しかし、光る謎の宝石をミミが手にしたとき、残虐宇宙人はミミに絶対服従せざるを得なくなる。暗黒の覇者でありながら1人の少女に逆らえない残虐宇宙人は、サイコ・ゴアマンと名付けられ、子どものいたずらに付き合うはめに。

その頃、銀河系の怪人たちが残虐宇宙人の復活を察知、宇宙会議を開き、サイコ・ゴアマン抹殺のため地球に向かおうとしていた……。

『サイコ・ゴアマン』
7月30日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開!!

監督・脚本:スティーヴン・コスタンスキ
出演:ニタ=ジョゼ・ハンナ、オーウェン・マイヤー、アダム・ブルックス、アレクシス・ハンシー、マシュー・ニネバー
公式サイト:http://pg-jp.com/
関連情報:https://dime.jp/genre/1184077/
© 2020 Crazy Ball Inc.

文/タカハシヒョウリ

タカハシヒョウリ
ミュージシャン、作家。ロックバンド「オワリカラ」ボーカルギターとして6枚のアルバムをリリース。
また様々なカルチャーへの偏愛と独自の語り口で、カルチャー系媒体での執筆や、番組・イベント出演など多数。

編集/福アニー

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