○歳までに何かを成し遂げたい、何者かになりたい。
そう願いながらも一歩踏み出す勇気が持てずにいる人にぜひ観てほしいNetflix映画が、『とんでもファンディング』。
2021年7月23日よりNetflixで独占配信中のメキシカン・コメディだ。
『クラブ・デ・クエルボス: ポトロ、結婚式に行く』のマルコス・ブカイが監督・脚本。
あらすじ
大きな夢を実現しようと都会に出てきた親友同士のポロ(アルド・エスカランテ)とブラス(リカルド・ポランコ)。
しかし30歳になった現在まで何も成し遂げられず、画面の向こうで華々しく活躍する12歳の起業家にも嫉妬する日々。
成功している友人たちへの劣等感、そして何者にもなれないまま老いていくことへの焦りと恐怖……。
むしゃくしゃしたふたりは、友人の起業家からもらったスマートドラッグを酒で流し込み、勢いにまかせてクラウドファンディングサイトに署名アプリのプレゼン動画を投稿してしまう。
ふたりのアイデアには予想外の大金が集まり、実際に署名アプリを開発することになる。
見どころ
「悔しい」「羨ましい」という強い感情に突き動かされてジタバタしていたら、いつの間にか意識高い起業家たちの仲間入りをしていたふたり。
何度も「えっ?」となりながらも、意識高めのノリに必死についていこうとするふたり戸惑いぶりが笑いを誘う。
ウソをつくのは良くないが、見切り発車も時には有効だ。
いつまでも完璧な準備を求めていたら、準備だけに貴重な時間を費やして終わってしまうことになりかねない。
人生は一度きり。石橋をひたすら叩いていたら橋が壊れて渡れない……なんて悲しすぎる。
とりあえず走り出すことで、自然と帳尻合わせができてしまう(やらざるを得ない)こともあるだろう。
気合いを入れて真剣に作ったモノよりも、勢いに任せて何となく直感的に……というモノの方が、皮肉にも意外なほど人気が出てしまったりするもの。
慎重さ、用意周到さもある程度大切だが、それと同じぐらい“直感”、“勢い”、“遊び心”も意識すべきだと思わされる映画だ。
過激で毒々しいメキシカンジョーク(?)も見どころ。
Netflix映画『とんでもファンディング』
独占配信中
文/吉野潤子