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米アップルは今月、初となるモバイルバッテリー製品の「MagSafeバッテリーパック」を発表した。iPhoneユーザーにとっては待望の純正モバイルバッテリーではあるが、はたして期待に応えるだけの製品に仕上がっているのだろうか。
小さなバッテリー容量
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MagSafeバッテリーパックは、マグネットを利用したワイヤレス充電システムのMagSafeを採用したモバイルバッテリーだ。同じくMagSafeに対応したiPhone 12シリーズに装着すれば、ケーブルいらずで充電できる。また、磁力により本体がiPhoneと一体化するので取り回しがいいのもメリットだ。
アップルはMagSafeバッテリーパックの詳細をあまり明かしていないが、その本体には1460mAhというバッテリー容量の刻印がある。これを2000mAh以上あるiPhone 12のバッテリー容量と比べると、非力感は否めない。MagSafeバッテリーパックではiPhone 12のバッテリーをゼロから満充電するという使い方ではなく、その一部を充電するピンチヒッター的な利用が主となるだろう。
また、同等の他社製モバイルバッテリーと比べてもMagSafeバッテリーパックの1460mAhというスペックは見劣りする。例えばAnkerのMagSafe対応モバイルバッテリー「Anker PowerCore Magnetic 5000」は5000mAhのバッテリーを搭載しており、iPhone 12を余裕で1回以上充電できる。
高くないワイヤレス充電能力
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MagSafeバッテリーパックは単体では、iPhone 12を5Wのスピードでワイヤレス充電できる。この5Wという数字はQi(チー)対応のワイヤレス充電器が市場に登場しだした頃の充電速度で、正直高速とは言い難い。
なおMagSafeバッテリーパックを20W以上の電源に接続すると、最大15WでiPhone 12を充電できる。つまり、家庭ではMagSafeバッテリーパックをiPhone 12のワイヤレス充電器として利用できるのだ。アップルが販売するワイヤレス充電器「MagSafe充電器」の代わりとして使えるのは、メリットだろう。
またMagSafeバッテリーパックをiPhone 12に装着した状態で、iPhone 12を電源に接続すると、MagSafeバッテリーパックとiPhone 12の同時充電が可能だ。アップルは詳細を明かしていないが、この時にはiPhone 12の「リバースワイヤレス充電機能」が有効になっていると想定される。
デザインにその価値を見いだせるか
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アップル製品の価格について高い安いを論じるのは今更感があるが、それにしてもMagSafeバッテリーパックの1万1800円(以下、すべて税込)という価格は高価だ。他社製品を見回すと、より高性能なAnker PowerCore Magnetic 5000が3,990円で購入することができる。
もちろん、MagSafeバッテリーパックでしか利用できない機能もある。装着時にiPhoneのロック画面やバッテリーウィジェットに、その詳細なバッテリー残量がビジュアル表示されるのは便利だ。またアップル製品らしい質感の高い本体は、iPhone 12に装着しても見劣りしない。
MagSafeバッテリーは市場で最良のモバイルバッテリーというわけではないが、実際に使用する上では不満を感じるケースは少ないだろう。キャンプやアウトドアなど電源が確保できない場所へとiPhone 12をよく持ち運ぶユーザーなら、購入を検討する価値は十分あるだろう。
文/塚本直樹