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ことわざ「後は野となれ山となれ」の意味と正しい使い方

2021.08.01

日常生活で見聞きする機会の多い、「後は野となれ山となれ」という言葉。「どうにでもなれ」と開き直りたい時になんとなく使っている人も多いだろう。しかし、もしかしたら本来の意味とは少し異なるニュアンスで使っているかもしれない。

そこで、本記事では「後は野となれ山となれ」の正しい意味と使い方について詳しく解説する。この機会にしっかりと正しい意味を理解してほしい。

「後は野となれ山となれ」の意味と由来

まずは「後は野となれ山となれ」の正しい意味を解説する。言葉の由来も知っておいて損はないはず。

意味は「目先のことが解決できれば、後はどうなっても構わない」

「後は野となれ山となれ」は「目先のことが解決できれば、後はどうなっても構わない」という意味を表すことわざ。「自分はやるべき事をしたのだから、後のことは知ったことではない」と開き直っている様子や投げやりな態度を表すが、使用場面によっては「気持ちの切り替えが早く、潔い様子」とポジティブな意味で解釈される場合もある。

語源は近松門左衛門の作品

「後は野となれ山となれ」の語源は、江戸時代に浄瑠璃、歌舞伎の劇作家として活躍した近松門左衛門の浄瑠璃作品の一つ『冥途の飛脚(めいどのひきゃく)』とする説が有力だ。

この作品中に「栄耀栄華も人の金、はては砂場を打ち過ぎて、あとは野となれ大和路や」という一説がある。これは、この物語の主人公である飛脚問屋の忠兵衛が客から盗んだ金銭で遊女を身請けし、暮らしている町から逃げようとする場面での台詞だ。この「あとは野となれ大和路や」が「後は野となれ山となれ」に変容し、今に至ったとされている。

「後は野となれ山となれ」の使い方と例文

次に「後は野となれ山となれ」の使用シーンと例文を見ていこう。誤用例も紹介するので、誤った使い方をしていないかチェックしてほしい。

使用シーン

「後は野となれ山となれ」は先述した通り、「物事がすべて解決したわけではないが、自身のやるべき事は行ったので後はどうなっても良い」と開き直る場合に使用する。そのため、最後まで責任を果たす気持ちがまだある場合に使うのは不適切。

また、よく見受けられる誤用例として「後は」の部分を「ある特定の物事を除いた残りの部分は」という意味の「あとは」と解釈しているケースがあるが、あくまでこの「後は」は現在よりも後のこと、つまり未来を指している。

「後は野となれ山となれ」を使った例文

ここでは、より具体的な使用シーンをイメージできるよう「後は野となれ山となれ」を使った例文をいくつか紹介しよう。

【例文】

「テスト勉強は精一杯頑張ったつもりだが、苦手科目は分からない問題だらけだった。後は野となれ山となれ、と適当にマークシートを塗った」
「前任者がまともな引継ぎもなく会社を去ってしまった。後は野となれ山となれで退職するのはあんまりだ」
「今日のプレゼンに向けて、休日返上で資料作りに努めた。後は野となれ山となれの気持ちで本番に挑もうと思う」

併せて紹介する類語や対義語、英語表現

最後に「後は野となれ山となれ」の類語や対義語、英語表現を紹介する。それぞれのニュアンスの違いを理解しておけば、きっと表現の幅が広がるはず。

類語

「後は野となれ山となれ」と似た意味を持つ言葉はいくつか存在するが、ここでは2つの表現を紹介したい。それぞれ違ったニュアンスを持つ言葉なので、場面に応じて使い分けられるようにしよう。

・旅の恥は掻き捨て

「旅の恥は掻き捨て」は「旅先には知り合いが居ないため、どんなに恥を掻いてもその場限りで済むこと」を表す言葉。「後先の事を気にすることはない」と開き直っている様子が、後は野となれ山となれと共通している。

・運を天に任せる

「運を天に任せる」は「上手くいくかどうかは天の意志に任せる」「成り行きに任せる」という意味を持つ慣用句。最善を尽くした後に結果がどうなるか分からない場面や、人間の意志ではコントロールができない物事に直面した際に使われる場合が多い。

対義語

次に、「後は野となれ山となれ」と反対の意味を表す対義語を2つ紹介する。

・立つ鳥跡を濁さず

「立つ鳥跡を濁さず」は「後は野となれ山となれ」の対義語として有名なことわざ。水鳥が水面から空中へ飛び立った後も水は濁らずに澄んだままである情景から「立ち去る時は後始末をしっかりして見苦しくないようにするべき」という考えを表す。

・自分で蒔いた種は自分で刈り取る

「自分で蒔いた種は自分で刈り取る」は、英語のことわざ「you reap what you sow」に由来している。「自分の身に起こることはすべて自分の過去の行動がもたらしたものである」ことを表し、転じて「自分の行動に対して最後まで責任を取るべき」という意味でも使用される。この言葉も「後は野となれ山となれ」とは正反対の考え方を表現する対義語だ。

英語表現

後は野となれ山となれを英語で伝えたい時は、「I don’t care what happens afterwards. (この後何が起きてもどうでもいい)」の表現が便利。ちなみに、「気にしない」を表す英語表現には「don’t mind」もあるが、「don’t mind」が「(嫌ではないので)気にしませんよ」というポジティブな意味を持つのに対して、「don’t care」は「(興味がなく、どうでもいいので)気にしません」という無関心さを含ませたニュアンスとなる。そのため、ここでは「don’t care」を選ぶと良いだろう。

「After us the deluge」も、後は野となれ山となれと同じ意味を持つ有名な言い回し。日本語では「我亡き後に洪水は来たれ」と訳される。これは、もともとフランス後の「Après nous le déluge」に由来する表現で、フランス王ルイ15世の愛人であったポンパドゥール伯爵夫人の言葉が語源とされている。直訳すると「私が去った後に洪水が来ても構わない」。つまり、「自分が居なくなった後に何が起ころうが知ったことではない」という意味を持つ表現だ。

文/oki

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