東京都23区中22区で中古マンションの2001年以降築の価格が高騰
東京都23区では、ここ数年、中古マンション価格が高騰基調にあるが、2021年上半期はその傾向がより顕著となった。
とくに、2001年以降築の中古マンションは東京都22区で価格が高騰。そしてその他の築年帯のマンションもまた、高騰基調が加速している。これらは新型コロナウイルス蔓延以降、供給数は大幅に減少し、その一方で需要が大幅に拡大した事によると推定される。
そんな中、マンションナビを運営するマンションリサーチ株式会社は、2021年上半期(1月~6月)の東京23区の中古マンション価格を調査。2017年~2021年現在までの価格を各区で比較した。
【2021年上半期東京都23区【2001年以降築の中古マンション】価格推移】
マンションリサーチ調べ
上記グラフは、東京都23区2001年以降築中古マンション2017年~2021年上半期成約坪単価推移を表している。そして下記は、前年比増減率を加えた表となる。
マンションリサーチ株式会社調べ
2021年上半期は千代田区を除く22区で前年比プラスに
グラフを見てみると、全体的に概ね右肩上がり。つまり2017年~2021年上半期にかけて、中古マンション価格の高騰基調は継続していることがわかる。
2021年上半期に関しては、千代田区のみ前年比「-1.2%」の微減となっており、その他すべての区で高騰。ただし、千代田区は2020年の前年増減率が「+8.83%」と東京都23区の中で最も高く、その反動で2021年上半期の前年比微減になったものと推察される。江東区、品川区、荒川区では、前年比10%を超える大幅な高騰だ。
コロナ禍で高騰基調はさらに加速
国内で新型コロナウイルス蔓延が始まった2020年に注目してみると、2021年上半期同様、23区中22区が前年比で高騰している。
コロナ以前にも価格は高騰基調にあったと見て取れるが、コロナ禍でその動きが加速しているようだ。
【2021年上半期東京都23区【1981年以前築の中古マンション】価格推移】
マンションリサーチ調べ
2021年上半期、東京23区の価格高騰は、旧耐震基準で建てられた1981年以前築の中古マンションではさらに顕著に現れている。
マンションリサーチ調べ
2001年以降築の中古マンションはコロナ前から価格が高騰基調にあったが、1981年以前築の旧耐震基準で建てられた中古マンションは、東京23区全体で高騰していたとはいえない。
しかし2021年上半期には、千代田区の前年比「+57.6%」を筆頭として大幅に価格が高騰。2019年の価格は、前年比マイナスになっていたのが23区中9区。2020年には3区に、そして2021年上期には2区までに減少した。
コロナ禍では、それまで見られなった旧耐震基準のマンションの価格も高騰基調に転じているということだ。
【2021年上半期東京都23区【1982年~2001年築の中古マンション】価格推移】
続いては、新耐震基準の中でも築20年以上の中古マンションの価格推移を見てみよう。
マンションリサーチ調べ
マンションリサーチ調べ
価格が高騰基調にあるのは他の築年帯の中古マンションと変わらないが、全体的にはコロナ禍で加速した傾向が見られない。
コロナ前の2018年から、23区中3~5区が前年比でマイナスに。2021上半期についても、それは同様だ。
とはいえ千代田区、足立区、渋谷区、台東区、品川区の5区は、2021年上半期の価格が前年比「+10%以上」。局所的には、築20年以上の新耐震基準のマンションも高騰基調が加速していると見られる。
【2021年上半期東京都23区の中古マンション価格の高騰基調が加速した要因は?】
ここまで、2021年上半期までの東京都23区中古マンションの価格推移を見てきた。
総じていえば、全体的にコロナ前も高騰基調にはあったものの、コロナ禍、とくに2021年上期にはこの傾向が加速し。そして「2001年以降築」および「1981年以前築」の中古マンションで、この傾向はより顕著に現れている。
その要因を探るべく、続いて価格形成要因に大きくかかわる同エリアの中古マンションの需給バランスを見ていこう。
中古マンションの「供給」は減少
マンションリサーチ調べ
新型コロナウイルス蔓延が始まった2020年は、前年比で中古マンションの売出数が大幅に減少した。とくに1度目の緊急事態宣言が発出された2020年4月、中古マンション売出数は前年比「-37.7%」と急落し、その後も低水準で推移し続けている。
2021年4月、5月には前年比でプラスに転じているものの、あくまで前年の緊急事態宣言下にあった時期との比較。この時期にプラスに転じたからといって、売出数が回復傾向にあるとはいえない。
2021年6月には再び前年比マイナスに転じていることからも、2021年下半期も中古マンション売却マーケットの縮小への懸念は拭い去れない。
中古マンションの「需要」は拡大
「供給」が減っている一方で「需要」については拡大傾向にあるようだ。
(出典:公共財団法人東日本不動産流通機構)
公共財団法人東日本不動産流通機構によると、2020年4月以降、首都圏の中古マンション成約件数は前年同月比で右肩登りで推移。2021年5月の成約数は、機構発足以降、5月として最高値を記録している。
【総括:2021年下半期も需給バランスの崩れから価格高騰がさらに加速か】
2021年上半期が終わった今、東京都23区の中古マンション価格は高騰基調が加速している。
その要因は、需給バランスの崩れ。新型コロナウイルス蔓延以降、供給数は大幅に減少し、その一方で需要は大幅に拡大しています。この乖離はどんどん大きくなっており、2021年下半期にはさらに価格高騰が加速する可能性が否めない。
構成/ino.