機種変更や買い替えなどを重ね、家に使わなくなったガラケーやスマホが増えていないだろうか。実は、日本国内の家で眠るそうした携帯電話やスマホ「埋蔵携帯」の価値は、意外にも高額であるようだ。しかも年々金額が上がっている。果たしていくらくらいの価値があるのか?
今回は、その試算結果と共に、スマホを高く買い取ってもらうポイントや買取店に出す前にやっておくべきことなどを紹介する。
自宅に眠る“埋蔵携帯”の総額価値は約3兆円!
株式会社ゲオが、関西大学の宮本勝浩名誉教授の協力のもと、2021年6月時点で、現在使われず自宅に保管されている携帯電話(=埋蔵携帯)の価値を試算した結果、総額「2兆9,931億258万円」となった。
ゲオは同様の試算を2015年から2年ごとに実施しており、2015年は「1兆6,489億172万円」、2017年は「1兆7,013億7,156 万円」、2019年は「2兆1,239億7,643万円」だったという。年々増えており、今回の試算は前回よりも「8,691億円」増加した。
これは、1人当たりの保有台数の増加や「ガラケー」を筆頭とする従来型の携帯電話が減少する一方で、高性能のため旧機種であっても価値が下がりにくいスマートフォンの増加などが要因として挙げられるという。
特に高額スマホの増加は大きな要因という。現に、ゲオではガラケーもスマホもどちらも買取を行っているが、2020年度の平均買取価格は、ガラケーが1,371円だったのに対して、スマホは14,844円だったという。
●「埋蔵携帯」に含まれる金で約110万個の金メダルが製作可能
ところで、埋蔵携帯が各所で積極的に買取されているのは、中古市場でニーズがあるのに加えて、非鉄金属であるレアメタルの利用源としての価値もあるからだという。
実際、埋蔵携帯の中に含まれている金は、携帯電話1台当たり「0.025g」だという。これを2020年度の埋蔵携帯の台数である約2億6,479万9,107台に掛けると、埋蔵携帯電話全体に含まれる金は「約6,619,978g」となる、そして前述の算出結果をもとに、金メダル1個につき6gの金を使用すると仮定すると、「約110万3,330個の金メダル」を製作できる計算になるという。
こんな埋蔵携帯は売れる?
今回の算出結果を知って、自宅に眠る埋蔵携帯を思い出し、「売れるかも」と期待が高まった人も多いだろう。けれど、画面にヒビが入っているし、売れるか不安に思うこともあるだろう。実際のところ、画面割れなどのスマホは売れるのだろうか?
ゲオに問い合わせてみたところ、ゲオグループのワールドモバイル運営課の石黒マネージャーより、次の回答があった。
「ゲオの店頭買取対象店では、画面が割れたり、ひびや傷が入って破損したりしたiPhoneでも買い取っております。例えば、画面焼けや液漏れ、背面の傷、へこみ、カメラレンズの傷、画面の傷や欠けなどでも買取しております」
買取価格は時期によっても状態によっても変動するが、おおむね、2021年6月1日時点では次の金額がiPhone買取の相場となるそうだ。
画面割れなどがひどい場合も、ゲオの店舗で一度、買取可否について相談してみると良いかもしれない。
高く買い取ってもらうための基本ポイント
そして石黒マネージャーに、埋蔵携帯を高く買い取ってもらうための基本ポイントを聞いてみた。ぜひ参考にしよう。
ポイント1 キレイな状態で持ち込み・発送する
「スマホがきれいな状態であれば、査定額がアップする場合があります。ボタン周りやカメラ周りなどきれいにするのがおすすめです」
ポイント2 データやアプリは削除する
「データが残っている状態では買取査定ができませんので、削除しましょう」
ポイント3 SIMロックの解除を行っておく
「SIMロック解除で査定額がアップする機種もあります。各キャリアでは無料で解除できますので、買取店への持ち込み前の解除をおすすめします」
ポイント4 なるべく早く売る
「携帯電話やスマートフォンは、発売開始時期や新機種の登場によって日々価値が下がりますので、なるべく早めのお持ち込みがおすすめです」
買い取ってもらう前にやるべき準備
また、石黒マネージャーに、買い取ってもらう前にやるべき準備事項を聞いたところ、次の7つを教えてくれた。
1.SIMやSDカードは必ず抜いておく
2.ICカードリーダーアプリはすべて削除する
3.充電されている状態で持ち込み・発送する
4.液晶保護フィルムをはじめバンカーリング、ケース、ストラップなどのアクセサリー類はすべて外しておく
5.暗証番号を初期設定にする
6.遠隔ロックを解除する
7.電話帳や写真、メモなどデータの消去を行う
家に眠る埋蔵携帯の存在が気になり始めた人は、これらを実施して売却を検討してみるのもいいだろう。ただし、店舗によって買取価格や買取条件、事前準備事項は変わってくるため、必ず買取店に確認してから行おう。
取材・文/石原亜香利