うなぎ上りという言葉を、新聞やニュースなどで目にしたこともあるでしょう。正しい意味や使い方を知っておけば、新聞やニュースの内容をより正確に理解できます。うなぎ上りの意味・由来・例文や、類義語・対義語について解説します。
「うなぎ上り」とは
うなぎ上りの具体的な意味や言葉の由来について、理解を深めておきましょう。正しい使い方やすぐに活用できる例文も紹介します。
物事が勢いよく上昇するさま
『うなぎ上り(うなぎのぼり)』とは、数値や評価などが勢いよく上昇したり、回数が急激に増えたりすることです。『鰻登り』『鰻上り』と書く場合もあります。
物事の良し悪しを数値や評価で判断するケースは多くあります。たとえば、経済における物価や株価、芸能人・スポーツマンの人気や評判などが該当します。気温・体の調子・収入などもあてはまります。
これらの程度・段階・回数などが、何らかの理由で勢いよく上昇したり増えたりした際に、『うなぎ上り』を使って強調することが可能です。
うなぎ上りと字面が似た言葉に、『鯉の滝登り』があります。鯉の滝登りは、目覚ましい勢いで立身出世することであり、うなぎ上りとは意味が違う言葉です。
言葉の由来
『うなぎ上り』の由来には2パターンの説があります。どちらも魚のうなぎに関する話です。
2説のうちの一つは、うなぎが川を上る様子から誕生したとする説です。うなぎは川の流れの強さに関係なく、上流に向かって勢いよく泳ぐ特徴を持っています。
もう一つの由来は、うなぎの特性から言葉が生まれたとする説です。うなぎの体の表面はぬるぬるとしており、手でつかまえようとしてもスルッと上に抜けてしまいます。
どちらの説も、うなぎが勢いよく上の方向に向かって進む様子を表している話です。日本人がうなぎの習性を熟知しているからこそ、誕生した言葉だといえるでしょう。
「うなぎ上り」の使い方と例文
うなぎ上りは、物事の程度・段階・回数が急速に上がっていく様子を表したい場面で使えます。良い意味として使えるだけでなく、気温や事故などを表す場合、悪い意味でも使える点がポイントです。具体的な使い方を例文で確認しましょう。
- 社長が交代してからというもの、会社の業績は好調続きだ。株価もうなぎ上りに上昇し続けている
- 数日前から暑い日が続いているが、特に今日は朝から気温がうなぎ上りに高くなっている。体調を悪くしないように気を付けよう
- この3人組バンドは長年くすぶってきたが、先日のテレビ出演をきっかけに人気がうなぎ上りだ
- 今月に入って以降、各都道府県の交通事故数がうなぎ上りに増えている。何か共通する原因があるのだろうか
「うなぎ上り」の類語
価値や評価などが勢いよく上昇する言葉としては、高騰・急上昇・躍進などが挙げられます。うなぎ上りの類語とそれぞれの意味・例文を覚えておきましょう。
「高騰」
『高騰(こうとう)』とは、物価などが勢いよく上がることを意味する言葉です。うなぎ上りがさまざまな物事を対象とするのに対し、高騰はものの価値や値段を主な対象とします。
単に物価が勢いよく上昇する様子だけでなく、上昇後の物価が異常値を示しているようなニュアンスも含む表現です。
- 今年は全国的に梅雨入りが早く、長雨と日照不足で野菜の生育が悪いようだ。スーパーでも野菜の価格が高騰している
- 物価の高騰が続くことによるインフレを防ぐため、政府はさまざまな財政政策に取り組んでいる
「急上昇」
数値や人気などが急激に上がることを『急上昇(きゅうじょうしょう)』といいます。どのようなものに対しても使える言葉です。主な対義語としては『急降下』があります。
飛行機が急角度で上昇する様子も急上昇といいますが、ニュアンスが異なるため、うなぎ上りの類義語にはなりません。
- 以前から好きな歌手の新曲が、人気のテレビ番組で紹介された。売上ランキングが急上昇している
- ニュースで話題になった言葉は、急上昇ワードとしてすぐにSNSでトレンド入りする
「躍進」
『躍進(やくしん)』とは、目を見張るような勢いで発展・進歩する様子のことです。多くの場合、ポジティブな意味合いで使われます。
- 日本代表チームは、今大会が初出場ながら、結果的にベスト4入りという大躍進を遂げた
- 新規参入したベンチャー企業が老舗企業を尻目に躍進する姿は、見ていて気持ちがよい
躍進の類語に『飛躍』があります。大きく進歩して活躍するさまを意味する言葉です。『売上の飛躍的な伸び率』などと使います。
「うなぎ上り」の対義語
うなぎ上りと反対の意味を持つ言葉に『下落』があります。意味や使い方をチェックしておけば、うなぎ上りに対する理解度もより高められるでしょう。
「下落」
数値や評判などが下がることを『下落(げらく)』といいます。物価が下がるときによく使われる言葉です。人気が下がったり、物事が決着したりするときに使われるケースもあります。
- 通貨の下落に歯止めがかからず、金融市場の混乱が続いている
- 金の相場は最近まで上昇し続けていたが、今年に入ってからは下落傾向のようだ
物価が急激に下がる様子を示す場合は、下落ではなく『暴落』を使うのが一般的です。高騰の対義語が暴落になります。
構成/編集部