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途中下車してラーメンも味わえる!和歌山県に初進出した「WEST EXPRESS銀河」夜行コースを乗車レポート

2021.07.29

夜行列車……。日本ではその存在がほとんどなくなってしまったが、2020年9月、時代に逆行するかのごとく、夜行運行も設定されている新しく観光列車がJR西日本に誕生した。その列車が「WEST EXPRESS銀河」だ。

「銀河」は特定日に運行される臨時列車。シーズン毎に走行する区間や、夜行に限らず長距離昼行特急列車で走ったりと、列車の性格ががらりと変わるほかにはない特徴があり、デビュー以来大人気の列車!

そんな「銀河」が2021年7月からは和歌山県に初進出! 今回は京都発新宮行きの「夜行コース」の様子を乗車レポートとしてお届けしよう!

京都駅で出発時間を待つ「WEST EXPRESS銀河」

山陰山陽、そして紀南へ

「WEST EXPRESS銀河」はこれまで、京都・大阪と、「山陰コース」で出雲市、「山陽コース」で下関を結んで運行されてきた。

山陰コースは「夜行」、山陽コースは「昼行」と、車両は同じでも旅のコンセプトが異なり、また停車駅では地域のおもてなしイベントや物販なども実施。本格的な寝台列車のような寝具こそないものの、車内には横になって休める「クシェット」、鍵もかかる個室の「プレミアルーム」、1両まるまるフリースペースの「遊星」など、鉄道ならではの旅を楽しむユニークな仕掛けが盛りだくさん!

夜のホームにきらめく「銀河」のロゴマーク

列車の窓からは楽しそうな車内がちらりと見える

「WEST EXPRESS銀河」のデザインを担当した株式会社「イチバンセン」川西康之氏

現在では全クラス「日本旅行」による旅行商品として発売されており、事前申し込み抽選制での販売となっている。

この7月からスタートした「紀南コース」は京都~新宮の運行で、それぞれ京都21時15分発、新宮9時37分着の夜行コースと新宮12時発、京都22時24分着の昼行コースがそれぞれの日程で設定されている。

新宮へは新大阪から特急「くろしお」号が運行されているが、それに比べて「銀河」は圧倒的に所要時間が長い。目的地に急ぐ旅ではなく、列車に揺られることを楽しむ。それが「WEST EXPRESS銀河」の大きな魅力だ。

夜の京都を出発!

今回乗車したのは京都発新宮行の夜行コースだ。

「銀河」の車内にはシャワーなどの設備はないので、乗車前にあらかじめ銭湯などで汗を流しておくのがおすすめだ。京都駅付近には八条口側を中心に銭湯が点在しているのでぜひチェックしてみてほしい。

出発ホームへ向かうと、そこに姿を現したのは夜空を連想させるような深いブルーをまとった「WEST EXPRESS銀河」。実は「銀河」の車体は新造ではなく、117系という、かつては「新快速」として活躍していた国鉄型車両のリノベーション。その顔立ちに懐かしさを覚える人もいるかもしれない。

往年の寝台列車を彷彿とさせる「クシェット」

施錠も可能な「プレミアルーム」。一度は乗りたい、泊まりたいとっておきの一室だ。

旅人語らいの場「遊星」。新型コロナ対策のパーティションにも「工夫」が!

最もカジュアルな「リクライニングシート」。「クシェット」と「リクライニングシート」には女性席も設定されている

プレミアルームと並んで「銀河」の上位クラスであるグリーン車「ファストシート」。座席形状のほか、ベッド形状に変更できて、通路とはカーテンで仕切られる

ほどなくして京都駅を発つと、これからの旅先の案内放送が流れる。

「銀河」は特急なので経由する東海道本線を快走すると思いきや、早速、途中駅で停車した。先述の通り、新宮までは日常的に特急も設定されている距離なので、普通に走ってしまえば寝る時間はない。

ということで、「銀河」は数々の定期列車に道(線路?)を譲って走る。時には普通列車にも先行される、なかなかレアな特急列車だ。

特急列車だけど、道中はほかの列車にガンガン抜かれる

グリーン車専用の車端ラウンジスペース。新宮行きの場合はこちらが先頭となり、前面展望も少しだけ楽しめる!

新大阪に停車すると次は天王寺。途中大阪環状線を経由するが、環状線に夜行列車が走る光景はなんとも斬新! 環状線を待つホームの人たちが見慣れない「銀河」を不思議そうに見つめていた。

とっておきの深夜のおもてなし

「銀河」の旅は、ただ長時間列車に乗るだけが楽しみではない。途中の駅での「おもてなし」や「下車観光」が設定されているのも魅力のひとつだ。

天王寺を出発した時点で時刻は22時35分とだいぶ遅めの時間帯。この時間帯から、なにかしらのおもてなしがあるとはにわかに信じがたいが、そこは夜を楽しむ観光列車、きっちりと用意されている。

そのおもてなしとは深夜のラーメン! 食堂車のない「銀河」でどうやってラーメンを作るのか? もしかしてインスタント?? と思うかもしれないが、なんと「銀河」を一度「降りて」食べに行くのだ。

深夜の和歌山駅で途中下車。ホーム上の電光掲示板にもご注目!

紀南ルートで経由する和歌山は言わずもがなラーメンが有名。ということで夜食として出来立ての和歌山ラーメンがコースに組み込まれている!

和歌山には深夜の23時42分に到着する。到着後グループごとに駅から数分の和歌山ラーメンの名店「まる豊」に案内され、ラーメンをいただくのだ!

「銀河」へ戻る途中にはコンビニにも立ち寄ることができ、アイスなんかを買っていくこともできる。なんというか一抹の背徳感を感じつつも、深夜ならではのちょっとした楽しい時間だ。

和歌山の出発時刻は1時ちょうど。列車への乗り遅れだけは気を付けよう。

深夜の和歌山ラーメン。うーん罪な味に罪な楽しみだ……(笑)

〆にはコンビニアイスも買っちゃおう!

和歌山ラーメンを楽しんだあとは、しばしの就寝タイム。乗り合わせた乗客はそれぞれのスタイルで夜の時間を過ごしている。翌朝に備えて早々に寝るのも一考だが、せっかくの夜行列車なので、車窓も楽しみたい。

和歌山を出るとしばらく進行方向右側を見てみよう。少しずつ紀勢本線らしい海沿いを走っていくのだが、さすがに夜ということもあり、海風景を見ることは翌朝までのお楽しみだけれど、夜だからこそ見られるものもある。それが「工場夜景」だ。

海南駅付近からは深夜に煌めく工場が車窓を彩る。ぜひラーメンの余韻にひたりながら眺めてほしい。

「プレミアルーム」から眺める海南地区の工場夜景

列車で迎える特別な朝

目が覚めると「ここはどこだろう」。こんな感覚も夜行列車ならではだ。

列車は新宮を目指して順調に南下中。乗車時は梅雨時だったということもあり、あいにくの空模様だったが、紀伊半島ならでは湿気を帯びた朝の空気とエネルギッシュな緑、そして海岸線の光景が「銀河」の旅人を出迎えてくれる。

さて、朝のおもてなしは早速6時04分着の串本駅からスタート。本州最南端の串本では、とっておきの朝食と景勝地「橋杭岩」のガイドを受けることができる。地元の方々が早朝から駆けつけてくれ、精いっぱいのおもてなしをしてくれるのがとてもうれしい。

朝を迎えた「ファストシート」

車窓には紀伊半島の海岸線が!

ちなみに昨晩のラーメンを含め、こうした「銀河」の途中観光や、おもてなしは全て自由参加なので自分のペースで楽しもう。ただ、朝食については新宮までまとまった下車時間がこの先にはないので、できれば串本でいただいておいたほうがおすすめだ。

本州最南端駅、串本に到着した「WEST EXPRESS銀河」

ここでバスに乗り換えて道の駅へ

国の天然記念物「橋杭岩」をジオガイドさんが早朝にも関わらずていねいに解説してくれる

朝食は橋杭岩向かいの「レストラン空海」の「漁師の朝ごはん」を楽しもう! 地元産の食材が盛りだくさん!

紀勢本線は急カーブが多く、くねくねと紀伊半島の外側を沿うようにして走る。そのため車窓はずっと「海!」というわけではなく、緑の中を分け入っていくような区間も多い。温暖な気候のせいか、京都や大阪の緑とはあきらかに異なるエネルギッシュな木々も多く、こうした変化からも「遠くにきたなぁ」と実感してしまう。

串本を8時に出発すると、次の紀伊勝浦まではゆっくりと約1時間。車窓を眺めるもよし、朝食後の「二度寝」もよし。「遊星」でくつろぐものよし。のんびり、ゴロゴロ、旅の終盤を楽しもう。

紀伊勝浦、そして終点新宮では、共にホームにはたくさんのお出迎えが! 乗車前は、「長時間の乗車だなぁ」としみじみ感じていたが、最高の時間を過ごしているうちにあっという間に終点新宮に到着してしまった。

那智勝浦駅(左)、終点新宮駅ではそれぞれ平安衣装で旅人をお出迎え!

JRのみなさんやちびっこもにっこりお出迎え!

紀南コースでは「和歌山大学」の学生さんもサポートに参加! 沿線のガイドマップ作製や眺望確保のための駅構内の草刈りなどを行った

紀南の特産品の即売会も実施される。(新宮駅)

さて、この「WEST EXPRESS銀河」紀南コースは先に設定されていた山陰、山陽コースの好評を受け、沿線7市町村からJR西日本へ運行を打診。それによって実現したルートだ。

「銀河」のように観光色の強い列車を走らせる上で、最も重要なのが「地域とのつながり、協力」だ。「そこについては今までの経験もかなり活かすことができたと思います」と語るのはJR西日本営業本部の内山 興課長だ。

「『銀河』に限らず、弊社は『TWILIGHT EXPRESS瑞風』の運行時などにも、沿線の自治体や皆さまとの交流などを通して、いろいろなノウハウを積んできました。これまで運航実績のない夜行列車、しかも観光列車を新設するとなると、解消しなければならない課題はたくさんあるのですが、こうした点も我々の経験から一つ一つクリアしていくことで紀南コースの設定ができました。夜行列車独自の苦労としては、夜間に行われる保線作業とのスケジュール調整です。また、紀勢本線の一部は単線なので、定期列車の合間を縫ったダイヤ設定にも苦心しました」と話す。

そして最も気になるのが、今回の紀南コースのように、これからも新コースが誕生する可能性だ。「『銀河』に使用されている117系が走行できる区間や、走行実績のある路線は基本的には入線が可能ですし、積極的に検討したい」とのうれしいお答えが!

山陰、山陽、紀南ときたら、「個人的には次の行先は『橋』を渡ったうどんのおいしい県方面ではないかな? と勝手に予想しているんですが……」と聞いてみたら、「今後もお楽しみに!」と明確な答えはもらえなかったが内山さんはニコリと笑顔。汎用性の高い117系をリノベーションしたのはこうした発展性があるのもメリットもあるのだろう。

JR西日本営業本部の内山 興課長。「これからの銀河にもぜひご注目ください!」

現在「WEST EXPRESS銀河」は全席が旅行商品として販売されている。詳しいルートや「おもてなし」の内容は公式Webをチェックしてほしい。申し込みは日本旅行Webサイトのこちらから行える。各日とも抽選となっており、10月以降の出発分の抽選申し込みが受付中だ。紀南コースについては12月22日まで指定日に設定されている。

列車で特別な朝を迎えることのできる夜行の「新宮行き」。約半日かけてゆったり、ぼんやりと車窓を眺められる昼行の「京都行き」。WEST EXPRESS銀河でしか味わえない、列車旅にぜひ触れてみて!

取材・文/村上悠太

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