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中世イベリア半島で活躍した英雄を描いたAmazon Prime Videoのオリジナルドラマ「エル・シッド」の見どころ

2021.07.29

中世イベリア半島のレコンキスタ(国土回復運動)で活躍した英雄エル・シッドことロドリゴ・ディアスの人生を描いた、スペイン発の壮大な歴史スペクタクル。

Amazon Prime Videoのオリジナルドラマ『エル・シッド』は、2020年12月よりシーズン1、2021年7月15日よりシーズン2が独占配信中。

エル・シッドは、その功績を讃えた叙事詩『わがシッドの歌』が有名。その他様々な創作物の主人公としても人気が高い。

あらすじ

11世紀、イベリア半島。

カスティーリャ=レオン、アラゴン、ナバラの国王は兄弟関係にあり、弱体化したイスラム教国からの貢納を巡って争いを繰り返していた。

その3国の国境にあるビバル出身のロドリゴ・ディアス(ハイメ・ロレンテ)は、カスティーリャ=レオン王国の次期国王サンチョ王子に仕える従士。

騎士として戦死した父親の遺志を継ぎ、並々ならぬ野心を燃やしていた。

天賦の剣の才能と類いまれなる勇敢な心を持つロドリゴは、宮廷内でも順調に出世していく。

しかしイスラム教国との間で熾烈な戦争が起こり、ロドリゴは歴史の波に翻弄され飲み込まれていく。

見どころ

兄弟・親戚間でひたすら王位継承や領土争いをしていたカスティーリャ、アラゴン、ナバラ。

オスマン帝国のように皇位継承者以外を皆殺しや幽閉する制度も現代人から見ると残酷だが、王子や王女が何人もいたらいたで、こんな面倒くさい状況になるものなのだろう……。

カスティーリャに併合されたレオン出身の王妃サンチャやその臣下は、レオンの再独立計画を水面下で粛々と進める。

サンチャはひとりの女性として夫であるカスティーリャ王フェルナンドのことを愛しているものの、レオンへの祖国愛とプライドも強くあり、複雑な心境。

周辺国(ナバラ、アラゴン等)を治める兄弟たちや甥っ子も、油断するとすぐ攻めてくる。

カスティーリャ王フェルナンドは四方八方から耐えず狙われており、気が休まることはないのだ。

ロドリゴが仕えるサンチョ王子も、王位継承を狙う妹ウラカ王女たちから目の敵にされている。

表面上は友好的に接している家族・親戚同士であっても、みな腹に一物も二物も三物も抱えており、誰も信じられない。

野心家の兄弟・親戚同士が互いの権利を主張し合い混乱の極みとも言える状態から、国民的英雄は祖国をいかにしてまとめ上げ、一丸となって勝利を収めていくのか。

世界史の授業でも習ったレコンキスタは、イスラム教国によって侵略されたイベリア半島をキリスト教国が取り戻すための戦いだが、ロドリゴ・ディアスは指揮官としてムラービト朝からバレンシア地方を奪還したスペインの英雄だと言われている。

ちなみに資料によると彼はあくまでも指揮官としての職務をまっとうしただけであり実際はイスラム教国のことをそこまで敵視していたわけではなく、カスティーリャを追放された際にはイスラム教国側について戦ったこともあったようだ。

とにかく最終的にこんな偉業を成し遂げるぐらいだから、剣が強いだけでなく、頭がよく勇敢で人望が厚く、魅力的な人物であったに違いない。

その辺りの人柄の描かれ方にも注目だ。

『エル・シッド』シーズン1~2
Amazon Prime Videoで独占配信中
(C) Amazon Studios

文/吉野潤子

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