在宅時間の増加に伴い、自炊する機会が増えている。しかし「魚」は骨があって食べづらかったり、グリルの後片づけが面倒だったりと、魚料理を作るのは気が進まないと感じたことはないだろうか。
そんな悩みを解消してくれる、今まで見たことがないお魚素材が登場した。イオンから2021年5月に発売された、キューブ型の「トップバリュ パパッとできるお魚おかず」(以下、お魚おかず)の売行きが好調だ。下処理不要・骨なし・アレンジ自在と三拍子揃った「お魚おかず」の開発背景や、おいしさの秘密を担当者に聞いた。また、簡単で便利な調理方法もご紹介したい。
骨なし・アレンジ自在なひと口キューブ型にしたワケ
冷凍で保存がきき、骨がないタテ約3×ヨコ約3×高さ約1.5cmのキューブ状のひと口サイズは、面倒な下処理も一切不要で、和洋中どんな料理にもアレンジできる。「たら」「あじ」「サーモン」「ぶり」「さば」の5種類をラインアップしている(1パック386円)。
イオントップバリュ㈱商品開発本部の天野雄一郎さんに、開発の理由を聞いた。
「魚離れが進む中、魚は調理が面倒、調理後の生ゴミがにおう、骨があり食べにくい、品質劣化が早いなどといわれている点に着目し、おいしくかつ手軽に食べられる魚をご提供したいとの思いから開発しました。骨取りをしているので、キューブ型にすることによりひと口で食べられ、魚の形状や骨が苦手な方にもおいしくお召し上がりいただけます」
気になる製造工程だが、はじめに骨取りした魚のフィレを、四角い型枠に魚を少しずつ重ねて隙間なく並べ、積み重ねて圧着する(概ね4~5段ほど積み重ねるが、結着剤は不使用)。
その後冷凍庫で凍らせて、キューブ状にカットし、打ち粉をして完成だ。
キューブ型にすることで、製造上のメリットも生まれたという。
「通常であれば切り身にはしづらいような尾に近い部分も活用できることや、サイズの違う魚を大きさに関係なく使用できることで無駄がなくなります。切り身と比較し同じ重量でのカットが簡単にできるようになり、生産効率アップにつながりました」
続けて、製造で最も難しかった点も教えてくれた。
「形状を決める上で様々な形やサイズを試作しました。結着剤を使用しないため、製造や調理の過程で身がバラバラにほぐれてしまわないよう、小さすぎずかつ食べやすいサイズ感に調整しました。
またフライパンで上下を返して焼きやすいよう、立方体型ではなく、タテ3㎝×ヨコ3㎝×高さ1.5㎝と、厚みを工夫した形状に設定しています」
面倒な下処理は一切不要で冷凍のまま焼くだけ!お魚おかずはどんな味?
今までの魚料理の概念を覆してくれる「お魚おかず」は、一体どんな味なのだろうか。調理してみた。
「あじ」のパッケージを開けた。
タテヨコ約3センチのキューブ型のお魚素材が12個入っており、打ち粉の量はしっかりとある。下処理や解凍は不要のため、あとは焼くだけだ。
あじの南蛮漬け
パッケージの裏にレシピが記載されていた、「あじの南蛮漬け」に挑戦。
片面を4~5分ずつ焼く必要があるので、その間に野菜を切り、調味料を合わせておけば、さらに時短につながる。
「作るのに時間がかかりそう」、「口の中に小骨が刺さりそう」と、これまで敬遠していたあじの南蛮漬けだが、本商品を使うと20分程度で簡単に作ることができた。量は3~4人前とのことだが、大人約2人前のボリュームのように感じた。
そして注目したい「お魚おかず」のすごさは、すりつぶした練りものではないことだ。
ご覧の通り、ふっくらとした「魚の身そのもの」が詰まっている。パサパサの魚ではなく、プリっとジューシーな身の食感に感激した。また、小骨を気にせずに思い切り頬張れる。
なぜこんなにもふっくらとした食感を楽しめるのか、天野さんに聞いた。
「打ち粉をしているので魚の旨みがしっかりコーティングされ、また加熱による身の縮みを抑えることができるため、ふっくらおいしくお召し上がりいただけます。
また、凍った魚を調理する際には、解凍するときに水分が逃げだしてしまいますが、本商品は解凍せず凍ったまま調理できるので、魚本来の水分や旨味が逃げにくくなっています」
十分にコーティングされた打ち粉は、うまみを逃がさない役割を果たすだけでなく、口当たりも柔らかくするので、小さなお子様や高齢者にも非常に食べやすいだろう。
ほかにも様々なレシピに挑戦したが、どれも簡単に作ることができた。調理がラクになるのはもちろんのこと、においがついたまな板や器具を洗う負担も減るのも嬉しいポイントだ。
「さば」を使ったお弁当。1個から使用できるので、お弁当など少量の使用にも便利だ。
レシピは公式サイトのほか、パッケージの裏にも紹介されている。お魚おかずは、冷凍庫に立てて保存すればスペースを取らない。
計画の1.5倍の売行き!お子様のいる家庭でも好評のお魚おかず
お魚おかずが発売されて1か月経った現在の反響を天野さんに聞いた。
「商品を販売する企業の一つであるイオンリテール株式会社では、計画の約1.5倍の売れ行きです。小さなお子さまがいるご家庭や、骨が心配で食べるのを控えられている高齢の方がいるご家庭、また、仕事や家事に忙しく、調理の手間を減らしたいというお客さまから便利だと好評です」
特に小さなお子さまがいる家庭では、「骨がないので小さな子どもでも安心して食べることができます。とてもおいしくできました」などの声もあるそうだ。
これまで「切り身」の形にずっと慣れてきた分、キューブ型の魚に斬新さや違和感を覚える方もいるかもしれない。しかし、子どもから大人、そして高齢の方まで、年代問わずに食べやすい点が評価されていることがわかった。
特にこれから暑くなる夏は、冷凍で保存でき、生ごみも出ずにおわないなど、さらに利便性が高まるだろう。切り身に比べるとやや割高ではあるが、アレンジ自在な素材であるため、冷凍庫にひとつあるといろいろな場面で役立つはずだ。
手軽に魚不足を解消し、時短につながる「お魚おかず」をぜひ活用してみてほしい。
※本記事は2021年6月末に取材しております。
【販売概要】「トップバリュ パパッとできるお魚おかず」
骨取りサーモン、骨取りあじ、骨取りさば、骨取りたら、骨取りぶりの全5種価格(1パック386円)
全国の「イオン」「イオンスタイル」「イオンスーパーセンター」など約1300店舗で販売中
(店舗により品揃えや展開期間が異なる場合があります。東海・九州の「マックスバリュ」でも取り扱いがあります)
【取材協力】
イオンリテール株式会社
イオントップバリュ株式会社
取材・文/Mami
https://mamiwine.themedia.jp/