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実は最悪の外来種だった!?死をもたらす病気を媒介するアライグマの生態

2021.07.25

野生動物から農業、健康への被害も甚大な外来種「アライグマ」 

アライグマによる被害は、日本国内47都道府県すべての自治体で報告されています。日本固有の野生動物だけでなく農作物やヒトの健康にも悪影響を及ぼし、平成17年には「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」に基づき「特定外来生物」に指定されました。 

日本生態学会が定めた「日本の侵略的外来種ワースト100」に選定されているアライグマは、北米原産の食肉目アライグマ科の動物で、繁殖力が強く、妊娠率はほぼ100%。一回の出産で1~7頭のこどもを生み、約1年で成獣となります。暑さと寒さの両方に強く、日本国内にはアライグマの天敵となる肉食獣がいません。

知能が高く、器用で、気性が荒いのが特徴です。雑食で野鳥を襲い、農作物を食い荒らします。泳ぎも達者で、観賞用の数百万円以上もする錦鯉が食い殺された事例も報告されています。

農林水産省が発表した「野生鳥獣による農作物被害状況」によると、アライグマによる被害はたった1種で年間約3~4億円にも上ります。人と同じ5本指なので、トウモロコシの皮をむき、スイカに手を突っ込んで中の甘い部分だけを上手にすくって食べてしまうのです。 

酪農場に入り込み、牛の乳首を食いちぎったり、家庭で飼育されている子犬や小鳥が嚙み殺された被害例もありました。

野鳥の他ネズミなどの小動物、昆虫やカエルなどの両生類、は虫類から魚まで、食べられないものはほとんどないといってよいほど、何でも食べてしまいます。その結果、日本固有種の生態系にも重大な被害を与えています。

 死をもたらす病気を媒介

さまざまな被害をもたらすアライグマですが、人畜共通の感染症の被害は甚大です。日本ではまだ発症していませんが、原産国の北米では2010年、ニューヨークのセントラルパークに棲みついたアライグマから狂犬病が発見されました。狂犬病は発症すれば致死率は100%の恐ろしい病気です。 

通常、動物が狂犬病に感染すると、早々に発症して死に至るものですが、アライグマは罹患してもなかなか発症せずに長く生き続けることが明らかになっています。長生きする分、他の動物に感染させる力は強いのです。

また、アライグマの糞の中にいる回虫に感染すると、重度の脳障害を引き起こします。「アライグマ回虫症」と呼ばれるもので、直接アライグマに触れなくても、土中の糞から人へと感染します。

アライグマに付着しているダニを媒介として引き起こされる病気が「重症熱性血小板減少症(SFTS)」です。意識障害を引き起こし、最悪の場合、死亡するケースも少なくありません。

犬を飼育している人にはワクチンで予防できる病気として知られているレプトスピラも、アライグマから感染します。アライグマの尿で汚染された土壌から感染し、急な出血や腎障害を引き起こします。

他にも日本脳炎ウイルスやサルモネラ菌の媒介や、カンピロバクターもアライグマから検出されています。

アニメーションで認知された動物

こうした病気を媒介するアライグマですが、もとは人がペットとして持ち込んだ個体が野性に放たれたのが原因です。 

1977年1月2日から12月25日まで、フジテレビ系列で放映されたテレビアニメ「あらいぐまラスカル」は、米国中西部・ウイスコンシン州出身のトーマス・スターリング・ノース(Thomas Sterling North:1906~1974年)が少年時代に実際に体験した物語が原作です。

このアニメーションをきっかけにアライグマは日本人に広く認知されるようになりました。ペットや観賞用として大量に輸入され、展示動物としても人気を集めました。 

一部ペットショップが家庭用に販売しましたが、人に慣れにくく、凶暴で飼育管理が難しいことから放獣され、野山で繁殖した個体が国内で爆発的に増え続けたのです。

環境への適応力が高く、繁殖力も旺盛なアライグマ。可愛らしい見た目と真逆の、最悪な外来種ナンバーワンとして君臨しています。

文/柿川鮎子

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