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相続実務士に聞く相談の多い家族の相続トラブルTOP3

2021.07.23

相続トラブルと聞くと「うちは関係ない」「トラブルにはならないだろう」「たいして財産は多くないから」と思うかもしれない。しかし、相続トラブルは身近に起き得るものであるようだ。現に、2025年には団塊世代が75歳以上となる超高齢化社会が到来し、相続がこれまで以上に多くなり、トラブルも増えると予想されている。

実際、どんな相続トラブルが起きているのか。コロナの影響はあるのか。相続関連のアンケート結果や相続の相談を受けているプロからのリアルな状況を紹介する。

年々増加する相続調停…相続トラブルは誰にでも起き得る

相続対策はもはや、誰もが他人ごとではない状況にある。

2025年には団塊世代が75歳以上となり、約30%、つまり5人に1人が後期高齢者となる「超高齢化社会」が到来するといわれている。それを受け、介護の問題と共に、相続の問題にも懸念が高まっている。

裁判所の「司法統計年報(家事事件編)」によれば、遺産分割事件の調停・審判申し立数は20年間で約1.5倍にまで増加しており、相続に伴う法的トラブルは年々増加傾向にある。

また、相続トラブルというと、資産が1億円以上あるような家庭で起こるイメージがあるが、同データでは、遺産の価額別件数において5,000万以下が約8割となっており、意外にも一般家庭でも、多くもめていることが分かる。

相続がこれまで以上に多発することが予想されるため、相続トラブルはもはや他人事ではないようだ。

相続相談のリアルな現状

株式会社はなまる手帳が2021年6月に行った「相続意識調査」では、全世代(30代~70代)において約9割が「相続対策はしていない」と回答した。昨今の状況を問題視しているはなまる手帳が、2021年7月15日にイベントを実施し、相続実務士として約1万4700件の相続相談に対処してきた株式会社夢相続 代表取締役の曽根惠子氏を招き、相続相談や相続トラブルのリアルな事情や解決策について紹介した。

【プロフィール】

相続実務士 曽根惠子氏
株式会社夢相続 代表取締役
「相続実務士(R)」の創始者として1万4700件の相続相談に対応。夢相続を運営し、感情面、経済面に配慮した“オーダーメード相続R”を提案。“相続プラン”によって「家族の絆と財産を守るほほえみ相続」をサポートしている。

曽根氏が言うには、近年、40~50代からの相続相談が多く、いわゆる子ども世代が親の相続についての相談をするケースが増えているという。例えば、山梨県の40代男性は、7億円の財産を相続する父親の相続税申告について相談をした。また、両親の相続の生前対策についての相談も多い。

●コロナの影響

コロナ禍により、不安が高まっているところもあるようだ。はなまる手帳が実施した調査では、「コロナ感染拡大の影響で相続対策への意識は変わりましたか?」の問いに対して、全体の22.7%が「不安や考えることが増えた」と回答している。特に30代~50代の親の代わりに相談する立場の子世代に、その傾向が強い結果となった。

曽根氏は、「(コロナの影響により)不安を抱えている方は多いと思います。いまは、おひとり様が増えていますし、子どもがいない夫婦も非常に多く、このコロナをきっかけとして、将来どうすればいいの?という相談が多くあります」と述べた。

相続トラブルの内容トップ3

そして曽根氏は、自社に寄せられている相続相談のうち、相続トラブルの内容で多いもののトップ3を発表した。

1位 主張が対立

遺産の分け方について、相続人同士の意見が平行線になるというトラブル。特に介護の問題で意見が合わないということが多いという。実際、父親の財産を巡り、3人の子どもがどのように財産を分割するかもめたケースがあったそうだ。このケースでは、長男の妻が義父の介護をしているが、妻自身は相続人ではない。長男が妻の負担を思って分け前を増やしてほしいと主張するが、長男・長女が不満に感じ、トラブルに発展したという。

2位 相続人の一方が財産を開示しない

相続人同士の間で、いずれかの人物が親の財産を管理しており、財産を他相続人に開示しないことで、開示されないほうが疑心暗鬼になって起きるトラブルだ。曽根氏によると、このトラブルは非常に多いそうだ。結局、姉が妹に親の財産を開示しなかったことがもとで絶縁したケースもあるという。

3位 不動産のみで分けにくい、共有している

財産が自宅やビル、マンションなどの場合、子どもが3人いたりすると、分けられないことでトラブルに発展することがあるという。実際のケースでは、3人姉妹で親の遺したビルとマンションを共有することになったが、分けづらく、遺言がなかったため現金に換えることもためらい硬直状態に。いまだに姉妹の仲が険悪になったままだという。

相続トラブルの主な原因2つ

このような相続トラブルの原因は、どこにあるのか。同イベントでは、「家族コミュニケーションの希薄化」と「生前対策をしていない」ことの2点が挙げられた。

1.家族コミュニケーションの希薄化

曽根氏によると、相続トラブルの原因は、相続税についての問題というよりも、家族の感情面の問題のほうが大きいという。「日頃からコミュニケーションをしていないことによってお互いの思いが伝わらず、もめてしまいます」(曽根氏)。何十年もの感情の蓄積が、いざ相続となったときにもめる原因となる。近年、核家族化が進み、より家族コミュニケーションが希薄化していることが背景にあると考えられる。

2.生前対策をしていない

曽根氏によると、相続トラブルの多くは、故人がきちんと遺言書で相続についてもめないような内容を残していれば、トラブルに発展しなかったケースが多いという。しかし生前対策をしていない人がほとんどである。

もめないためにやっておきたい相続トラブル対策の基本

そこで、同イベントでは、相続トラブルの感情面の対策として、次の2点が挙げられた。

1.生前対策をする

いざ、相続の時期になって、遺産分割でもめた場合に節税もできないため、今後のことを考えれば、遺言書の準備などの生前対策は必須といえる。特に不動産の分け方を決めてトラブルを回避することが重要だ。また、認知症になる前に行っておかなければ遺言、贈与、売却などすべての前向きな対策ができない。早め早めが重要といえる。

2.コミュニケーションをとり、情報はオープンにしておく

いざとなっては円満にいかないものであるため、普段から家族間でコミュニケーションをとっておくこと。財産や生前贈与はオープンにしておくこと。寄与や介護の役割分担の情報共有をして、一方的な主張にならないようにすること。そしてもめないように、遺言書や民事信託を用意することが必要だ。「書類」にしておかないと手続きできないためだ。

そうした中、これらの相続トラブル対策の手助けとなる対策ツールが2つ紹介された。こちらも押さえておこう。

●対策ツール

1.「家族をつなぐ介護ノート

これは曽根氏が代表を務める夢相続が、介護に関するもめごとが多いことを受け開発したアプリだ。これは、介護が始まったときからスマホで介護日記がつけられる。日記には写真や領収書などが添付できるので、公的な参考資料にもなるが、家族間での情報共有ツールとしても使える。

2.「はなまる手帳

はなまる手帳が提供している、終活に関わるすべてを解決するためのプラットフォーム。法定相続人診断や、相続税診断ツール、相続モメ度診断などを簡単にWeb上で無料で診断できる「オンラインAI相続診断」や、税理士、行政書士、FPなど多岐に渡る専門家の「無料マッチングサービス」などを備える。家族でこれを利用することで、相続についてのコミュニケーションをとることができる。

相続トラブルは、もはや他人事ではなくなってきている今の時代、コロナ禍で不安がより一層、高まってきている。そのような中、相続トラブルを回避するポイントになるのは何より感情面の対策であることが分かった。そのためには、遺言書等の早めの検討とともに、家族間で密なコミュニケーションをとっておくことが重要といえそうだ。

取材・文/石原亜香利

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