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コロナ禍で始めたEC運用で「新規顧客」を獲得するヒント

2021.08.02

近年、EC市場の拡大がめざましい中、コロナ禍で急激に活性化した。チャンスととらえ、参入した企業も多いといわれている。しかしECサイトをオープンしたは良いものの、ECサイト運営が初めての場合は特に、壁に当たることもあるだろう。

そこで今回は、EC運用で多くの人が課題を感じている「新規顧客獲得」について、EC運用のプロに指南してもらう。

ECサイト運営の課題トップは「新規顧客獲得」

ネオマーケティングが2021年1月に、20歳~69歳の男女743人に対して「EC運用の悩みに関する調査」を行ったところ、ECサイト運営における最も多い課題として「新規顧客獲得」が挙げられた。

同調査の回答者が回答当時に取り組んでいたECサイトの段階は「オープンして3年以上の段階」が4割以上で最多。一方、全体の4分の1はこれからECサイトをオープンする段階にあった。すでにECサイトに取り組んで長い人、これからオープンする人、それぞれ存在するということだ。

そんな回答者に、「ECサイト運用について、最も課題に感じていること」を尋ねたところ、「新規顧客獲得」が1位で15.9%、2位が「運用リソース不足」で14.5%、3位が「サイト集客」で13.6%という結果となった。

課題の中身を詳しく聞いたところ、「新規顧客獲得」についてはサイトへの流入や、その後のサービス利用につなげることが困難という意見があり、「サイト集客」に関しては専門知識不足により思ったようなサイトが作れないという意見があったという。

出典:ネオマーケティング「EC運用の悩みに関する調査」

なぜ「新規顧客獲得」の課題が最も多いのか

この調査結果がすべてとは言い切れないが、ECサイト運用に関して「新規顧客獲得」が一番の課題という結果となったということは、やはり一般的に多くのEC運営担当者が抱えている悩みと考えてよいだろう。それにはどのような理由があるのだろうか。

そこで、EC支援業を行う株式会社ネットショップ総研の担当者に意見を聞いた。同社はひたすら「ECで売る」ことを研究し、累計1,000を超える運営データと研究部隊を保有しており、それをもとに戦略を立てて実行している。

「EC運営において『新規顧客獲得』は、非常に難易度の高いものとなり、新規顧客を獲得するためには『商品認知』と『新規顧客集客』がセットになったマーケティングが重要です。

売り出したい商品がすでに認知されている場合と、まだ認知されていない場合とでは打ち出し方が変わってきますが、コロナ禍でEC参入した店舗様は、どちらかというと後者が多いのではと思います。例えば、売り出したい商品の強み、ターゲット、利用シーンを明確化し、綿密な市場調査の上で価格を決定し、どのような方法で認知を広げていくか…などのシナリオがある程度、描けていれば、EC参入後の集客もスムーズなのですが、急ぎEC参入したという店舗様の場合、出店することがゴールのようになってしまいがちです。

長らく実店舗のみを運営し、EC参入した店舗様の場合、実店舗とECの集客方法がイコールではないため、新規顧客が獲得できず、壁にぶつかるケースも多いでしょう」

新規顧客獲得のために実施すべきこと

特に、コロナ禍で初めてECサイトを始めた場合は、施策について見当もつかないと思われる。そこでネットショップ総研の担当者に「新規顧客獲得」のためにやるべきことの概要を聞いた。

1.初期段階 自店の商品を分析する

「ユーザー目線で、自店の商品を他店の商品と比較して『本当にユーザーが買いたいと思う商品なのか?』を考え、『売れる要因』と『売れない要因』を分析します。自店が考える商品の強みと、ユーザーが感じる商品の魅力には乖離があるケースも多いため、競合店の商品を実際に購入してみるなど、あらゆる角度から見ることが大切です。

年齢や性別によっても意見に差が生じるため、家族や知人等、第三者の協力を得るのもいいですね。商品を分析後、商品画像・ページ構成・販売価格・セット組みなどを見直し、自店の商品の強みをしっかり打ち出した商品ページを制作しましょう」

2.認知を広げる施策

「ECサイトの形態が『独自ドメイン』なのか『モール』なのかでアプローチが少し変わりますが、おおよそ以下のようなことが認知を広げる施策として挙げられます。このうち、SEOと広告運用は専門的な知識がある程度必要であり、業者に依頼するケースも多いです」

●ベネフィット施策

「モール型の場合、モール内のイベントやタイムセールには積極的に参加します。その際に『送料無料』『○%OFF』『ポイント○倍』『○円引きクーポン配布』等、ユーザーにとって魅力的なサービスを提供することで来店を促します。ただし店舗の負担も大きくなるため、費用対効果を想定し、計画的に実行しましょう。

独自ドメインの場合、オリジナルイベントを行うのもおすすめです。モールより自由度が高く独創性のあるイベントができますが、集客は自店で行う必要があるため事前告知が重要です」

●SNS施策

「Instagram、Twitter、Facebook、LINE、TikTokなどのSNSを用いて認知を広げます。SNSは無料で始められるのが最大のメリットです。そこまでコストを掛けられない場合や少人数で店舗運営している場合、若年層のターゲットに多くリーチしたい場合などは特におすすめです。

メルマガよりもユーザーとの接点が持ちやすく、開封率、CV共に高い傾向にあることから、LINE公式を運用する店舗が増えています。特にEC参入後すぐの段階ではメルマガのリストを持っていないと思いますので、並行してSNSで集客を行うのが望ましいでしょう」

●SEO

「独自ドメインとモールのECサイトどちらにも言えますが、日々の結果を計測し、検索上位の商品と自店の商品との差を比較しながら改善を重ねることが重要です。

モールの場合、検索に影響する代表的な要素として『レビュー数(商品・店舗全体)』と『購入数』が挙げられます。上記以外のさまざまな要素がモール毎に加味されていますが、基本的にアルゴリズムは開示されていないため、時間を掛けて継続的にチューニングを行う必要があります。

独自ドメインの場合、モールと比較すると効果が出るまでにある程度の時間を要します。SEOを目的としたブログ形式の記事ページを店舗TOPぺージに紐づける形で作成するなど、店舗TOPぺージが上位表示される可能性を高めるための地道な努力が必要です」

●広告運用

「広告にはリスティング広告、リマーケティング広告、アフィリエイト広告、モール内広告等、さまざまな種類がありますが、運用する場合ある程度のコストが必要です。特にリスティング広告やリマーケティング広告はデータをもとに運用するため、運用開始から2~3ヶ月はデータ収集の時間が必要となり、思うようなCV(コンバージョン)につながらないことも。手っ取り早くアクセス数を増やすことはできますが、CVにつながるか否かは商品の見せ方を含む『商品力』にかかっているため、広告運用前にベースを整えておく必要があります。コストを踏まえ、何を評価基準とするかを考えた上で運用します」

新規顧客獲得のポイント4つ

上記のような新規顧客獲得の具体的な施策を実施する際に、ポイントとなることを4つ挙げてもらった。

1.SNSやUGCを活用した情報収集

「世の中のニーズを知ることで、ユーザーが求めている商品や傾向が分かるため、主要モールの検索上位商品やランキング、SNSやYouTube等で他店の評価や関連投稿を見て、何が求められ、評価されているのかを把握します。

UGC(※)が重要視される昨今、売り上げは投稿数に比例するというデータも出ており、ユーザーは高評価と低評価を購入時の判断材料にします。高評価されている店舗(商品)の『投稿頻度』や『クオリティ』を参考に、良いと感じる要素は自店にも活かしていきます」

※UGC…User Generated Contentの略。一般ユーザーによって作れられたコンテンツのこと。

2.情報量を見直し、購入後を想像できるようにする

「対面接客ができないECだからこそ、細かな情報の掲載が重要であり、知りたい情報が1つ足りないだけでユーザーは離脱してしまいます。『本当にこの情報量で商品の魅力は伝わっているのか?』を考え、商品の見た目的要素(どんな商品なのか・色・形状等)、使用するシーン(屋内・屋外・デート・キャンプ等)、サイズ感(寸法・比較対象と商品を並べる・着用事例等)に加え、商品の強みもしっかり記載し、購入後を想像できるページ構成が望ましいです」

3.認知

「どこかで見たり聞いたりしたことのある商品は、接触頻度の高さから潜在的に安心感が生まれ、購入率が高くなる傾向にあります。これをザイオンス効果といい、TVや雑誌、SNSやWEB広告等、多方面からのアプローチが効果的です。

ザイオンス効果を利用したマーケティングでは『リターゲティング広告』が有名ですが、接触頻度が多すぎると逆効果になるため、店舗側の売りたい気持ちが先行しないように自然な接触回数を心掛けたいところです」

4.入り口商品やお試し商品

「ユーザーにとって、ECでの買い物は実店舗以上に失敗したくない気持ちが強いため、気軽に試せる価格帯かつ、何かしらのベネフィットがある商品が効果的です。入り口商品やお試し商品は、店舗を知ってもらうきっかけとなる商品なので、その商品にフォーカスする形で広告費を掛けて新規顧客の獲得を図るケースもあります。『送料無料』『○%OFF』『ポイント○倍』『○円引きクーポン配布』等、明らかにお得感があると、ユーザーの来店ハードルは低くなり、店舗を訪れる可能性が高くなります」

アクセス数が増えたが売り上げが上がらない!やるべきことは?

実際、ECサイトへの新規顧客獲得のために施策を実施し、アクセス数は増えたというケースがある。しかし、なぜか肝心の売り上げが上がらないということもあるようだ。このようなケースではどうすればいいだろうか。

ネットショップ総研の担当者によると、要因として考えられるのは「アクセスの質」と「商品ページの質」の2つだという。

1.アクセスの質

「流入キーワードと商品ページの内容にズレが生じている場合、CVにつながらない可能性が高まります。まずはアクセス元や流入キーワードから、どういった経由のアクセスなのかを把握し、もし本来、獲得したかったキーワードや流入経路ではなかった場合、SEOや広告の見直し等、商品に適したアクセスを増やすための改善を行います。直帰率と離脱率にも注目し、何が悪いのかは数値を基に分析するようにします。

TVやSNSで有名人が偶発的に取り上げたなど、奇跡的な状況でアクセスが増加する場合もありますが、そのような場合は直帰率や離脱率も高まります」

2.商品ページの質

「適したキーワードでのアクセスがあり、CV率が悪い場合、商品ページに原因があることが考えられます。

・掲載している情報量は適切か?
・他店の商品との差別化ができているか?
・価格に理由が伴っているか?
・画像や文字の大きさは適切か?
・購入後のイメージができるか?

などの項目を今一度見直します。PC画面とスマホ画面での見え方にも配慮しましょう。ユーザーが購入しやすい商品ページ構成を念頭にいくつかのパターンを制作し、ABテストを実施すると良いでしょう」

ECサイト運営における、新規顧客獲得のテクニックについて概要を解説してもらった。いずれも初心者にとっては重宝する情報といえる。ぜひこれを機会に、成功の近道を選んで取り組もう。

【取材協力】株式会社ネットショップ総研

取材・文/石原亜香利

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