小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

新型コロナの後遺症にEBウイルスが関与している可能性、米環境非営利団体World Organization報告

2021.07.20

COVID-19後遺症にEBウイルスが関与か?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復後に長期間続く種々の症状の一部に、実際に倦怠感を誘発することのあるエプスタインバーウイルス(EBウイルス)が関与している可能性があると指摘する論文が、「Pathogens」に6月17日掲載された。

この論文の筆頭著者である米国の環境非営利団体World Organizationの代表で主任研究員のJeffrey Gold氏は、「新型コロナウイルスに感染すると、急性疾患としてCOVID-19を引き起こす。しかしそれだけではなく、COVID-19によって生じた炎症の結果、長期にわたって複雑な変化が惹起され、特にEBウイルスが関与してさまざまな症状を引き起こす可能性がある」と述べている。

Gold氏らの研究では、COVID-19罹患後の後遺症、いわゆる「long COVID」の症状に悩まされている30人の3分の2が、高レベルのEBウイルス抗体を保有していることが明らかになった。

この事実は、体内で休眠状態にあったEBウイルスが、新型コロナウイルス感染によって再活性化されたことを示唆しているという。

EBウイルスはヘルペスウイルスの一種で、大半の人が一度感染しており、その大部分は症状に現れない不顕性感染で、本人も感染したことに気付いていない。

初感染した人のごく一部は、強い倦怠感や発熱などを主徴とする「伝染性単核球症」という感染症を発症するが、対症的な治療で回復する。

EBウイルスに感染すると、伝染性単核球症を発症するか否かにかかわらず、ウイルスは生涯にわたって体内に潜伏し続ける。

今回の研究には関与していない、米ジョンズ・ホプキンス大学ヘルスセキュリティセンターのAmesh Adalja氏は、「EBウイルスは、ふだんはただ体内に存在しているだけである。しかし、その人に加わるストレスは何であれ、ウイルスを目覚めさせる可能性がある」と述べている。

さらに、「ICUに収容されている患者のEBウイルス量を測定したとすれば、恐らくその値は上昇しているだろう。どのようなタイプのストレスであっても、それが強ければEBウイルスが再活性化される可能性がある」と解説。

しかしその一方でAdalja氏は、実際にストレスによって再活性化が起き、それが何らかの症状を引き起こしていることを証明するには、多くの研究が必要であることも付言している。

Gold氏らの今回の研究では、COVID-19患者185人を対象として罹患後に続く症状を調査した。その結果、患者の約30%がlong COVIDに悩まされていることを見いだした。

Long COVIDに悩まされている患者のうち30人をさらに詳しく検査したところ、その中の20人はEBウイルスの再活性化を示唆するのに十分な、高レベルのEBウイルス抗体価であることが分かった。

EBウイルス抗体価が高いlong COVID患者に一般的に見られる症状として、倦怠感、不眠症、頭痛、疼痛、せん妄が挙げられた。

そのほかにも、耳鳴り、難聴、発疹などが認められた。Gold氏らは、COVID-19罹患者の一部でEBウイルスの再活性化が生じており、それがlong COVIDにつながっていると考えている。

「COVID-19を引き起こす新型コロナウイルスは、局所および全身性の炎症反応を引き起こす」と、論文の上席著者である米ジョージア大学のDavid Hurley氏は言う。

「局所または全身性の炎症反応は、潜伏しているヘルペスウイルスを再活性化することが知られている。特にEBウイルスは炎症によって強く再活性化が惹起される」とHurley氏は解説。

ただし、「この仮説の証明には、より多くの患者を対象とした多くの研究が必要であり、現時点で決定的な結論だとは思っていない。ほかにも数々の検討すべきテーマがある」とも述べている。

研究の限界点として前出のAdalja氏は、「この研究ではEBウイルスの抗体価を評価しているため、long COVIDの原因となるほど強力なEBウイルスの再活性化が生じていると主張するには十分でない。論文ではウイルス量をあまり注視していないようだが、報告されているウイルス量自体は、それほど高いとは言えない値のようだ」と語っている。

一方、Hurley氏は、「EBウイルスがlong COVIDの原因であると証明されれば、この症状に苦しむ多くの患者を助けるための、新たな治療法の開発につながるかもしれない。COVID-19罹患後の早期にEBウイルス再活性化をスクリーニングし、その影響を抑制する予防的介入の機会を得ることができる」と期待を述べている。(HealthDay News 2021年6月30日)

Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.mdpi.com/2076-0817/10/6/763

構成/DIME編集部

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年11月15日(金) 発売

DIME最新号は「2024年ヒットの新法則!」、永尾柚乃、小田凱人、こっちのけんと他豪華インタビュー満載!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。