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浅学非才は、主にビジネスシーンやスピーチの場で使われる言葉です。正しい意味や使用方法を知っておけば、表現の幅を広げられるため、さまざまな場面で役立つでしょう。言葉の意味や注意点、類義語・対義語について解説します。
「浅学非才」とは
浅学非才とはどのような意味を持つ四字熟語なのでしょうか。言葉の意味や正しい読み方、語源について詳しく解説します。
「浅学非才」の意味と読み方
浅学非才の正しい読み方は『せんがくひさい』です。知識や学問が浅く才能に乏しい状態、またはそのような人のことを意味します。
『浅学』とは学問や知識が十分に備わっていない状態や人、『非才』は才能がない状態や人を指す言葉です。『浅学にして非才の身』など、それぞれ単体でも使用します。
浅学非才は、自分の能力が足りないことを、謙遜して表現する際に使うのが一般的です。他人から博識・有能であることを褒められた際、実際に自分ではそうは思わないときなどに使います。
言葉の由来
浅学非才の語源について、はっきりしたことは分かっていません。日本の国文学者であった芳賀矢一氏が、1890年に発表した著書『国文学読本緒論』に残している文言を由来とする説があります。
国文学読本緒論では、非才ではなく『菲才』と書かれていました。『菲』とは、野菜のカブ・カブラ(蕪)を意味する言葉です。粗末な食材を指す漢字としても用いられていたことから、『薄い・劣った』という意味に転じています。
かつては浅学菲才と表記されていましたが、『菲』が当用漢字に指定されなかったため、『非』を代わりの漢字として使うようになっています。
「浅学非才」の使い方と例文
浅学非才の具体的な使用方法や例文を紹介します。使い方によっては相手や周囲に失礼な印象を与えかねないため、使う際の注意点も押さえておきましょう。
自分の知識や才能を謙遜する場合に使う
浅学非才は、自分の学問や才能の足りなさを謙遜して伝えるシーンで使います。各種スピーチの場やビジネスシーンでよく用いられる言葉です。
賞をもらったときや昇進を受けたときに、感謝や意気込みを示す意味で使います。「自分はまだまだ勉強不足だが、これからますます精進していきたい」という向上心を伝えることが可能です。
浅学非才を用いた慣用表現には『浅学非才を顧みず』があります。『顧みる』は『気に留める・反省する』という意味であり、慣用句は「実力不足だと感じているが頑張っていきたい」といったニュアンスを伝えられる表現です。
使う際の注意点
他人から見て明らかに学問や知識が乏しい人は、浅学非才を使うと不自然です。誰もが実力を認める人が使ってこそ、謙遜表現としてふさわしい言い回しとなります。
ただし、高学歴者や輝かしい経歴の持ち主が使用すると、嫌味な言葉として捉えられかねません。言葉が丁寧過ぎるあまり無礼に聞こえてしまうケースもあるため、相手や状況に合わせて慎重に使う必要があります。
浅学非才を他人に使うのもNGです。相手に大変失礼な印象を与えてしまいます。謙遜表現であるため、文法的にも正しい使い方ではありません。
また、30代程度までの若年層が浅学非才を使うと、聞く人に違和感を与えがちです。『半人前』『未熟者』『若輩者』『経験の浅い身』などを使ったほうが、目上の人に誤解を与えずに済みます。
「浅学非才」を使った例文
浅学非才は、主にあいさつやスピーチで使用する謙遜表現です。具体的な使い方を例文でチェックし、今後の参考にしましょう。
- 浅学非才の身ではありますが、任命されたからには全力で業務に取り組みたいと考えています
- このような賞を頂けたことを心よりうれしく思います。浅学非才を顧みず、今後も皆様の期待に応えられるよう努めてまいる所存です
- 彼は普段から自分のことを謙虚に浅学非才と言うが、その実力は誰もが認めるところだ
「浅学非才」の類義語と対義語
浅学非才には数多くの類義語と対義語があります。それぞれの代表的な言葉を覚え、浅学非才への理解をより深めておきましょう。
類義語は「浅識非才」「未熟者」
浅学非才に似た意味の言葉としては、『浅識非才(せんしきひさい)』が挙げられます。浅学非才は主に学問が足りない点を強調するのに対し、浅識非才は学問に加えて思慮が足りないことも意味する言葉です。
言葉の構成が似た熟語には、他にも『浅知非才』『浅学短才』などがあります。いずれもほとんど同じ意味であり、謙遜表現として使える言葉です。
浅学非才の類義語には、スキル不足で不慣れな人を意味する『未熟者』もあります。『初心者』『勉強不足』『力不足』なども、類似表現として使用可能です。
対義語は「博学多才」
浅学非才の代表的な対義語が『博学多才(はくがくたさい)』です。豊富な知識を持ち、才能にあふれている状態や人のことを指します。
他にも、『博学多識(はくがくたしき)』『博聞強識(はくがくきょうしき)』『博学能文(はくがくのうぶん)』など、数多くの類義語があります。
これらの表現は才能があることを意味するため、浅学非才と異なり他人に対して使うのが一般的です。学問に通じ才能豊かな人に関し、褒めたり感心したりする際に使います。
構成/編集部