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「矢絣」ってどんな模様?「鬼滅の刃」にも登場した知られざる和柄の由来

2021.07.24

日本には古くからたくさんの和柄があり、その一つ一つに意味があると言われ、現在も着物や浴衣、小物などに使用されているケースも多い。人気アニメ『鬼滅の刃』の登場人物たちもさまざまな柄の着物を着用しており、和柄に興味を持つ人も増えているそうだ。

本記事では、数ある和柄の中でも「矢絣」の由来、矢羽根の模様に込められた意味、そして矢絣以外の和柄について紹介する。夏に向けて着物や浴衣の購入を検討している方は、ぜひこの模様についての理解を深めてほしい。

矢絣とは

矢絣の正しい読み方は「やがすり」。日本では古くから使われている模様で、元々は矢羽根をモチーフにした絣織物のこと。桃山時代には武士の着物として着用されており、矢羽根模様そのものも矢絣と呼んでいる。ここでは、矢絣の由来について解説する。

矢絣の由来

矢羽根は破魔矢(はまや)などの矢の上部に付いている羽のことで、「絣」は絣糸と呼ばれる着物の柄を出すための糸を使って作られた着物のこと。武家にとって弓矢はとても大切な武具であったことから文様化され、矢羽根模様と呼ばれていた。別名、矢羽根絣(やばねがすり)、矢筈絣(やはずがすり)、矢飛白(やがすり)とも言う。のちに小紋にも矢羽根模様が使用されるようになり、矢羽根模様を指して矢絣と呼ぶようになった。

明治・大正時代に女学生の間で流行

「一度放った矢は戻らない」ことから、江戸時代には縁起物として結婚の際に矢絣の着物を持たせる風習が生まれた。明治時代になると袴が女学生の制服となり、大正時代にかけて数多くの女学生が矢絣の着物を袴に合わせ着用したことで、学生服の定番となる。漫画『はいからさんが通る』の主人公が矢絣の衣装を着ていたことから、「大正時代の女学生と言えば矢絣」というイメージを持っている方も多いかもれない。

現代でも卒業式の袴に矢絣の着物を合わせたり、浴衣に矢絣を取り入れたりと人気の柄の一つだ。矢絣のデザインは矢羽根が一方向を向いているもの、一列ごとに方向が違うもの、花柄をあしらったものなど、そのバリエーションも豊富だ。

矢絣は縁起の良い柄

女性に人気の矢絣だが、縁起物の柄であることから男性も好んで着用することが多かったという。ここでは、矢絣に込められた意味を紹介する。

矢絣に込められた意味

弓矢は、昔から武具としてだけではなく神事にも用いられ、矢絣の矢羽根には破魔矢の意味がある。正月に初詣した際に授与される破魔矢は、邪気や厄災を払うとされる。また先述したとおり、一度放った矢はまっすぐに飛んで戻ってくることはないことから、江戸時代には「出戻らない」の意味を込めて、嫁入り道具の着物や小道具に矢羽根柄が使われていた。

さまざまな願いが込められた縁起の良い柄

矢絣と同じく縁起の良い柄を「吉祥文様(きっしょうもんよう)」と呼び、その種類は数十種類にも及ぶ。ここでは、その中から四つの文様を紹介する。

亀甲(きっこう)

六角形の亀の甲羅をかたどった模様のこと。「亀は万年、鶴は千年」と言われるように、亀は長寿の象徴であることから、亀甲も長寿を意味する。模様は一種類だけではなく、六角形の中に花を組み合わせた「亀甲花菱」、六角形を三つくっ付けて中の線を除いた「毘沙門亀甲」など派生した模様が複数ある。

麻の葉(あさのは)

正六角形を組み合わせた幾何学模様で、麻の葉に似ていることからこの名がついた。麻の葉は成長が早く丈夫でまっすぐ育つため、子どもの健やかな成長を願う意味が込められている。また、正六角形は魔除けの意味を持つ三角形の組み合わせでできているため、より強力な魔除けの力があるとされた。赤ちゃんの産着や子どもの着物の柄としてよく使われている。

青海波(せいがいは)

半円形を重ねて鱗のように連続させた模様。ペルシャの文様がシルクロードを経て中国、そして飛鳥時代の日本に伝わったとされている。名前の由来は雅楽の一つ『青海波』という舞曲とされており、舞人の装束に用いられていたそうだ。穏やかな波を描き、波は無限に広がることから、未来永劫穏やかに暮らせるようにとの願いが込められている。

七宝(しっぽう)

同じ大きさの円を4分の1ずつ重ねた模様。七宝とは仏教で「金・銀・瑠璃(るり) ・玻璃(はり) ・硨磲(しゃこ)・珊瑚(さんご)・瑪瑙(めのう)」または「金・銀・瑪瑙・瑠璃・硨磲・真珠・玫瑰(まいかい)」のこと。円(輪)が繋がっていることから、人間関係に関する円満や調和、ご縁などの願いが込められている。また、人とのご縁は七宝と同じくらいの価値があることを示している。

ちなみに、『鬼滅の刃』の竈門禰豆子は麻の葉柄の着物を、冨岡義勇は毘沙門亀甲をアレンジした柄と無地の葡萄色(えびいろ)で仕立てられた羽織をそれぞれ着用している。

文/oki

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