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発足の読み方や意味をきちんと理解していれば、ビジネスシーンとプライベートの両方で役立ちます。似た意味の言葉を知り、適切な使い分けや言い換えができるようになっておくことも大切です。発足の正しい読みや意味、例文を紹介します。
「発足」の読み方と意味
発足という漢字には2通りの読み方があり、それぞれに異なる意味があります。一般的に定着している読み方はほっそくですが、はっそくと読んでも間違いではありません。
「ほっそく」は会社などの組織が活動を始めること
発足を『ほっそく』と読む場合は、組織・機関・会議などが活動を開始するという意味で用いられます。主な類義語は創立・設立・始動です。
同じ組織でも、企業や会社の立ち上げ時とは明確に区別されます。『カラオケサークルを発足させる』は正しい使い方ですが、『カラオケサークルを設立する』とはいいません。
企業や会社のように法的な手続きを踏んで活動を開始するときではなく、特定の目的を持つグループや団体を結成するときに発足を使います。
「はっそく」は旅立つこと
発足には『はっそく』という読み方もあります。はっそくと読む場合は、『旅立つこと・出発』を意味する言葉として使われます。
近年は使われなくなってきている言葉ですが、はっそくと読むこと自体は間違いではありません。新しい場所へ移動する意味で発足と書かれていれば、はっそくと読むのが正解です。
発見・発行・発進のように、『発』は『はっ』と読むほうが広く浸透しています。ただし、発足に関しては、多くのケースでほっそくと読むのが一般的です。
「発足(ほっそく)」の使い方と例文
組織などの活動開始時に使える発足に関し、具体的な使い方を解説します。例文と併せて覚えておきましょう。
「発足」の使い方
会社や企業とは関係のない組織を立ち上げる際は、規模にかかわらず発足を使えます。クラブ・部活・サークルなどが、発足を使用できる組織の代表例です。
会社内で新規事業をスタートする場合も、『事業部署が新たに発足される』などと表現できます。会社の設立とは違い、部署の創設には法的な手続きを必要としないためです。
同様の理由により、新しく店舗や支店を作った際にも使用できます。新規事業や新店舗の立ち上げ時に開かれる式典を、発足式と呼ぶこともあります。
「発足」を使った例文
さまざまな組織の立ち上げ時に発足を使うことが可能です。いくつかの例文を以下に紹介します。
- 2021年9月、デジタル庁が発足した
- 新しいテニスサークルの発足に関わった人たちを集めて、祝賀会が開催された
- 各メディアが実施した世論調査では、内閣の支持率が政権発足以来最低の数字となっている
- 当団体は、地域住民から広く意見や要望を集める目的で発足されたものである
- 弊社で来月予定している新店舗のオープンに先立ち、発足式に参加していただきたくご連絡差し上げた次第です
- 新プロジェクトの開始に伴い、各部署から人材を募って新たな部署を発足させようと考えている
「発足(ほっそく)」の類語
発足にはさまざまな類義語や言い換え表現があります。代表的な類義語である創立・設立・始動について、それぞれの具体的な意味や発足との違いを解説します。適切な使い分けや言い換えができるよう、しっかりと理解を深めておきましょう。
「創立」
会社・学校・団体などの組織を新しく立ち上げる場合は、『創立』を用いるのが一般的です。『創立100周年』『創立記念日』などのように使います。
創立と間違えやすい言葉が創業です。創業とは、新たに事業を開始することを意味します。創立が複数人による組織のみを対象とするのに対し、創業は個人で事業を始める際にも使える言葉です。
また既に設立されている会社が、子会社を増やしたり新規事業を開始したりする場合、創立は適しません。『子会社を創設する』などのように、創設という言葉を使います。
「設立」
会社法や商法に基づいた手続きにのっとり、会社組織を立ち上げる行為が『設立』です。法律で規定された『商業登記』を行う点が、創立や創業と大きく異なります。商業登記がされていなければ、法的に会社として認められません。
会社設立のルールを初めて明確に定めた『商法』は1899(明治32)年に施行されているため、それ以前に創立した会社は創立と設立の時期が異なります。また、設立以前に組織として活動していた場合も、創立の時期は設立時より前です。
取引先企業に対して30周年などのお祝いをする場合は、創立と設立のどちらを記載すればよいのか、ホームページなどでしっかりと確認する必要があります。
組織の立ち上げ時しか使えない創立と違い、設立は『法人登記』を行うたびに使用できます。新しく子会社を立ち上げる際も、設立を用いることが可能です。
「始動」
発足と似た意味の言葉に『始動』があります。始動とは、プロジェクトや事業が動き始めることを意味する言葉です。プロジェクトや事業など、大きな計画がスタートすることを表現する際に、発足の言い換えとして始動を使えます。
『紆余曲折を経て、ようやく当プロジェクトの始動にこぎつけた』のように使用することが可能です。会社・学校・団体などの組織が立ち上がる際は、一般的に始動は用いません。一方、エンジンや発電機などの機械類が動作を開始する場合も、始動を使います。
「結成」
『結成』とは、複数の個人や団体が集まり、新たな組織やチームを作ることを指します。『発足』は団体や組織が作られ、その活動が正式に始まることを指すのに対して、結成は、複数の個人や団体が集まり、新たな組織やグループを作ること自体を意味します。活動の開始というよりも、組織そのものを形作る行為に焦点が当たっています。
つまり、発足は団体の立ち上げと活動の開始、結成は組織の形成を表す言葉というニュアンスの違いがあります。
「創業」
『創業』とは、主に企業やビジネスが初めて設立され、その運営が始まることを意味します。企業の歴史や伝統の始まりを指す言葉であり、個人やグループが新たなビジネスを始める際に使われることが多い言葉です。
『発足』との違いは、ビジネスや企業の誕生に重点を置いているかどうか。創業はビジネスや企業の誕生に重点を置き、発足は、ビジネスシーンに関わらず、ある活動の開始に焦点を当てるというニュアンスの違いがあります。
構成/編集部