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説明できる?「資本剰余金からの配当金」と「利益剰余金からの配当金」の違い

2021.07.13PR

3月決算とする企業が多いのでこの時期に配当金を受取っている方は多いだろう。その中でも「資本剰余金からの配当」について知っているだろうか。

配当金とは?

企業の株式を購入すると株主となる。株式会社は株主がその会社の所有者となる。会社の所有者である株主は、会社が利益を出せばその利益を還元してもらう権利がある。その還元は、モノやサービスで受取る株主優待や金銭で受取る配当金がある。

会社が事業に使う資本を侵害しないよう、配当金は会社の今まで貯めてきた利益から受取る仕組みになっている。

資本の払い戻しとは?

株主の持分である株主資本は、会社の資産から負債を引いた純資産のうち株主が所有する部分をいう。

株主資本には、資本金、資本剰余金(資本準備金、その他資本剰余金)、利益剰余金(利益準備金、その他利益剰余金)がある。

1.資本金

新株発行時の払込資本を積み立てる。基本は取り崩すことができない。

2.資本剰余金

・資本準備金
新株発行時、配当金を出したときに積み立てる。資本金ほどではないが基本は取り崩すことができない。

・その他資本剰余金
自己株式を処分したとき等に増加する。払込資本に近い性格でもあるが、配当金の分配が可能とされている。

3.利益剰余金

・利益準備金
配当金を出したときに繰越利益剰余金から積み立てられる。

・繰越利益剰余金
当期純利益が繰入れられるところで、配当金の分配が可能とされている。

会社に利益がないのに事業に必要な資本まで侵害して、株主への還元のための配当金を出すことはできない。

会社法では、配当金は、資本剰余金のその他資本剰余金、利益剰余金の繰越利益剰余金から分配が可能とされている。

しかし、この2つには大きな違いとして、資本剰余金は資本に近い存在、利益剰余金はこれまでの利益の積立となっている。そのため、通常の配当金は事業に使う大事な資本を害さず、純粋な利益の積立である利益剰余金から出される。

資本剰余金からの配当金

通常は利益の積立である利益剰余金から配当金が出されるが、資本剰余金から配当金を出すことも認められている。資本剰余金は払込資本に近い性格を持つが、払込資本ではなく株主との間の自己株式の処分で得られる利益(自社の株の取得原価と売出価額との差益)などで増える部分であるため、払込資本ではない。しかし、配当金は通常会社の営業取引などの事業活動で生じた利益を源泉とするべきで、資本剰余金は事業活動とは関係ない資本取引で生じるもので払込資本の性格に近い。

したがって、資本剰余金からの配当は、資本の払い戻しつまり資本は株主の拠出金であることから、投資したことによる利益ではなく自己拠出した資金の払い戻しとされる。

そのため、通常株式投資で得られた利益は課税されるが、利益ではなく払い戻しとなり課税されず取得価額が下がる。

資本剰余金からの配当の税金はどうなる? 確定申告が必要なことも?

基本は、資本剰余金からの配当金で資本の払い戻しとされる部分は課税されない。

通常、配当金はどんな口座でも源泉徴収で20.315%引かれるが、その税金が引かれずそのまま受け取れる。

資本の払い戻しが行われたということはそれだけ資本(=株主の払込資本)が減少したことを意味するので、その減少分を取得価額から差し引く。

この取得価額の調整は特定口座なら証券会社が計算してくれる。

特定口座とは、証券会社が損益を計算してくれ、税金を計算してくれる口座だ。源泉徴収ありなら税金を徴収してくれるので、確定申告不要だ。資本剰余金からの配当金は全額資本の払い戻しとされるのではなく一定金額がみなし配当とみなし配当以外に分けられる。みなし配当以外の部分が資本の払い戻しとされ、課税されないが以下のような計算のもと場合によっては確定申告が必要だ。

①資本の減少分の所得原価引き下げ(特定口座なら証券会社にお任せ)

純資産減少割合0.1とすると、

買付価格1,000円なら1,000円×0.1=100円減少→取得価額900円

このように、資本剰余金から配当金が出ると、配当金には課税されずその純資産減少割合に応じて取得価額が下がる。その結果、取得価額が下がることで売却時に利益で売る場合その分課税される。

②みなし譲渡損益計算(場合により確定申告が必要)

資本の払い戻しにあたる100円分を所得価額として、みなし配当以外の部分で売却したとみなされる。配当金が100円でみなし配当30円に対して、みなし配当以外が70円だとすると、70-100円=▲30円となる。

配当金の受領方式を株数に応じて配当金を証券会社で受取るという「株式配当金比例配分方式」にしている場合は証券会社が計算してくれ、確定申告は不要だ。しかし、配当金の受取り方法を銀行振込など証券会社以外で受取っている場合には自分で計算して確定申告する必要がある。

③取得原価引き下げの結果、売却時税金が増える(特定口座なら証券会社にお任せ)

・買付価格1,000円
2,000円で売却→2,000円-1,000円=1,000円(利益) 1,000円×20.315%=203円(税金)

・資本剰余金からの配当により取得価額引き下げ時900円
2,000円で売却→2,000円-900円=1,100円(利益) 1,100円×20.315%=223円(税金)

上記の純資産を引き下げない分についてはみなし配当として、通常の配当と同様に源泉徴収で20.315%課税される。

資本剰余金からの配当まとめ

■みなし配当

通常通り課税

■みなし譲渡損益

資本の払い戻しにあたる部分を取得原価減少分で売却したとみなされる。
株式配当金の受領方式を比例配分方式にしていない人は、自分で計算、確定申告が必要

■みなし配当以外(純資産減少割合に対応する金額)

課税されないが、取得原価をその分引き下げるため売却時にその分課税される

資本剰余金からの配当は、株主に送られる「期末配当に関するお知らせ」で知ることができる。特定口座であれば特にこの取得価額の引き下げについて考える必要はないが、一般口座の人、配当金を比例配分方式以外にしている人は自分で計算、確定申告が必要になる。

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文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。

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