
日替わり定食には「毎日食べられる食事を」という作り手の心遣いがある。
一方、いつも出している定食でも、ふらりと訪れる側としては「今日すれ違う、今日だけの定食」だったりする。
そんな定食との一期一会。
これは、食・街・人・との出会いを求め、空腹で街をさまよう男の記録です。
第三回:スパイスカレー マントラ(高円寺) カレー3種盛り+副菜5種
もう25年も昔の話になるが、私が地方の高校生だった頃の「東京」の代表的な街のイメージは新宿、渋谷、池袋、浅草、それから高円寺、といった感じだった。
この中で高円寺だけが、特別なランドマークも大きな駅ビルもない街である。
それでも、地方の男子高校生の心の中に届く街、それが高円寺であります(最近の地方の高校生の気持ちは知らないが同じならうれしい)。
25年を経た今、この街は私にとって「目的もなくヒンパンにぶらっと散歩する街No1」になった。
ランドマークがないと書いたが、活気ある商店街があり、多様な店があり、元気な人たちが行き交う、その実、街全体がランドマークと言っても差し支えない。
今回はぶらっと歩いてクンクンと嗅覚に届き、飛び込んだお店のカレーをご紹介。
さて昨今、我が国においてカレー人気は右肩上がり。こんなメニューは他にないとおもう。
ラーメンも人気はあるが、昔からモテているので人気の成長率で言うとカレーには及ばない気がする。
カレー屋さんを紹介する雑誌なども沢山見かけるようになったし、近年は全国各地にカレー屋さんが群雄割拠許可局局員であります(←誤字ではなく冗談のつもり)。それにしても、本の予備知識なし、食べログ検索もしないで入ったカレー屋さんがすごく美味しかった時、とても幸福な気分になる。
スパイスカレーマントラ。
この店のカレーが目の前に現れた時のワクワク感はなかなかのモノだった。
注文したのは「カレー3種盛り+副菜5種」。ちなみにこの店では副菜5種と揚げパンはどのカレーにも標準装備である。
3種のカレーの盛り付け方もすばらしいのだが、この付け合わせの多様さ、色合い、添え方、まるで一枚の絵の様だ。
私が描いて絵にするのが申し訳ない!と、正直思った。
写真をそのままお見せしたい気持ちも拭えない!とも思った(しかしそこは皆さんぜひ足を運んで実物をその目でお確かめあれ)。
と、このように、盛り付けでワクワクとしたものの、ひと口食べて、期待を裏切らないその味にさらにワクワク。どんどん口に放り込みたくなる。
付け合わせも手作りで隅々までこだわっている感じがひしひしと伝わってくる。
カレーはもちろん付け合わせが美味しすぎて追加トッピングをしたくてたまらない。
しかし!「作るのがすごく大変そうで、漬け込んだりして、時間もかかりそうなので足りなくなったらお店に迷惑かけそう」と言う理由から私は我慢した(褒めて欲しい)。
いらぬ心配かもしれないが、私の性分である。
今、2021年に私が高校時代の自分に言えることがあるとするならば「お前は自分の足で美味しいお店を見つけられるくらいには成長するから、将来をあまり悲観するなよ。あと、りえちゃんには高三の秋に振られるけど、まあ早く次行ってくれ」ということくらいである。
そういう訳で、また近々散歩の途中で足を運んでみたいお店であります。
ここでご近所の寄り道スポットをすこしだけご紹介。
一徳
サン・くれーぷ
Yonchome Cafe
コクテイル書房
スパイスカレー MANTRA(マントラ)
東京都杉並区高円寺南4丁目49-1
通常営業時間
昼11:30〜15:00
夜17:00〜22:00
現在新型コロナの影響により以下になります。
火〜土
昼11:30〜15:00
夜16:30〜20:00
日曜のみ
11:30〜17:00
(すべてLOは30分前)
月曜定休
※新型コロナの影響で営業時間が変更になる場合があります。
イラストレーション・文/本田しずまる
編集/inox.