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知ってる?「折敷」の読み方と正しい使い方

2021.07.15

旅館や料亭で提供される懐石料理は、丁寧に作られた一品一品の繊細な味わいはさる事ながら、食器や盛り付けの美しさもまた楽しみの一つ。懐石料理の席では、食器をトレーやお盆に似た板の上に載せた状態で提供されることが多い。この食器の下に敷かれる板の名前が「折敷」だ。本記事では、古くから日本の食卓には欠かせないアイテムである折敷について詳しく解説する。

折敷とは?

はじめに、折敷とはどのような物なのかを詳しく解説していく。折敷と混同されがちな「お盆」や「お膳」との違いもチェックしておこう。

折敷は器の下に敷き込むもの

折敷の読み方は「おしき」。料亭や旅館などで食事をする際に見られる、器が置かれたトレーのようなものを指す。形は四角いものが一般的だが、丸型や半月型のものもあり、特に決められた形があるわけではない。材質については杉や檜などの木材の風合いをそのまま活かしたものや、漆を塗って仕上げたものもある。

元々折敷には、「器の下に敷き込むもの」という意味がある。語源については、柏などの植物の葉を折り敷いて食器代わりにしていたことに由来するという説が有力だ。現代でもよく見られる木製の折敷は、平安時代からすでに庶民の食卓でも使われるようになっており、その歴史はとても長い。

お盆やお膳との違い

折敷は、お盆やお膳と混同されることも多いが、実はこの3つには明確な違いがある。まず、お盆は食器を「運ぶ」ためのものであるのに対し、折敷は食事の際に食器を「載せる」ためのもの。両者は形状がよく似ているため見分けるのが難しいが、お盆は運んでいる最中に皿を落とさないよう、折敷に比べて縁が少し深めに作られていることが多い。

一方で、折敷とお膳は見た目に大きな違いがある。折敷は平たく高さがないが、お膳には脚が付いている。どちらも食卓に並べられる物だが、脚の有無で名称が異なることは覚えておこう。

折敷はさまざまな場面で使われる

次に、折敷の使い方を見ていこう。さまざまな場面で見られる折敷だが、具体的な使用シーンがイメージできれば、より一層身近なものに感じられるはず。

茶懐石料理の席で

折敷の使用シーンとして真っ先に思い浮かべられるのが、懐石料理。茶事で振る舞われる茶懐石料理では、料理の内容や出される順番に決められた型のようなものが存在する。茶懐石料理の中でも最初に出される料理は「折敷」と呼ばれる。その名の通り、この最初の料理は折敷の上に載せられて提供される。内容は飯、汁、向付の3品で構成されるのが伝統的な形式。配置は折敷の手前の左手に飯、右手には汁、その奥に向付が置かれる。ちなみに、向付とは刺身やなますを指すが、向付と呼ばれるのは「折敷の向こう側に付ける」からであり、皿の配置がその名に由来している。

普段の食卓で

折敷は格式の高い懐石料理の席だけではなく、日常的な家庭の食卓でも古くから人々に愛用されてきた。現代では、洋食にも溶け込むようなモダンなデザインの折敷も増えてきており、テーブルコーディネートのアイテムとしても注目を集めている。大きいサイズの折敷をランチョンマットのように皿の下に敷けば、いつもの料理が豪華で丁寧に作られたように見える。そして、小さめの折敷にはコーヒーと茶菓子を並べたり、お皿の代わりとして直接食材を並べたりするなど、幅広い使い方で華やかな食卓を演出できる。

神社や神棚でのお供え物に

折敷は、神社や神棚にお供物を置くための神具としての役割も担っている。神様に献上する食事は「神饌(しんせん)」と呼ばれ、米、酒、塩、水の他、魚や野菜、お菓子など、地域や季節によってさまざまな食材がお供えされる。折敷はこの神饌を載せて神社や神棚にお祀りする際に用いられる。

よく似たもので、折敷の下に三方向の穴が開いた台座を取り付けた「三宝(さんぽう)」という神具もある。お正月の鏡餅を飾る台をイメージすると分かりやすいだろう。折敷も三宝も、折った和紙や陶器の食器を置いた上に神饌を並べてお供えをするのに使われる。

折敷の関連語

最後に、折敷に関連する言葉を紹介する。この機会に折敷の使い方と併せて、ぜひ覚えておこう。

折敷く

「折敷く(おりしく)」は、木の枝や葉などを折って敷くことを表す。先述の通り、折敷という名称は、もともと植物の葉などを食材の下に敷き込んで食器代わりにしていたことに由来しており、「折敷く」という動詞が折敷の語源とされている。また、「折敷く」には銃撃のために片膝を付いて腰を下ろして構えた状態を指す場合もある。「跪く(ひざまずく)」と似た意味を持つが、「跪く」は使用するシチュエーションを選ばない表現であるのに対して「折敷く」は武術や剣術の用語として使われる場合が多い。

折敷に三文字

「折敷に三文字(おしきにさんもんじ)」は折敷をモチーフにした家紋のこと。折敷を斜めに配置したような菱形の中に漢数字の「三」のように横棒が3本並んだもので、伊予国(現在の愛媛県)の河野氏、越智氏らの家紋として知られる。

「折敷に三文字」の家紋の由来は、鎌倉幕府が開府した際に催された酒宴の席順にあるとする説が有力だ。この宴では源頼朝、北条時政に並び、河野通信(みちのぶ)が3番目に座っていたとされる。この時、河野氏の席には「三」と書いた紙を載せた折敷が置かれていた。この配席を記した紙を上から見た「折敷に三文字」を源頼朝から家紋として貰ったという逸話がある。他にも折敷に由来する家紋には「平折敷」「隅立て折敷」「折敷に揺れ三文字」などがある。

文/oki

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