すっかりリモートワークが定着した昨今、自粛続きの東京や大阪の生活に不便や疑問を感じている人が増えている。地方暮らしでどんな働き方や暮らし方ができるのか、ニーズ別で働き世代に人気の移住先をクローズアップ!
移住者の傾向や移住先の選び方を専門家の高橋公さんに伺った。
「12年前の移住相談は60~70代のリタイア世代が7割でしたが、今は20~40代が7割と働き世代へと逆転。若い人の価値感が多様化し、生き方や暮らし、趣味を実現するために移住する人が増えています。会社に近い場所に住むのではなく、暮らす場所を優先してそこでできる仕事を選ぶ傾向が今後も強まっていくでしょう。まずは自分が移住先で何をしたいのかしっかり検討してから移住先を決めるといい。いきなり田舎に行かず、地方都市の賃貸で2~3年暮らし、慣れたら中山間地の古民家を買うなど2段階移住もおすすめ。移住の先輩や地域の世話役の人に教えを乞う姿勢が定住成功への秘訣です」
【地方移住成功の秘訣3か条】
[1]「誰と」「どこで」「何をする」かをしっかり検討する
[2]移住前に田舎暮らしを体験することは不可欠
[3]都会風を吹かさない。地域で頼られる人を目指す
ふるさと回帰支援センター
理事長 高橋 公さん
45道府県(東京・大阪以外)の自治体と連携し、IJUターン希望者をサポート。地域のリアルな情報を提供。http://www.furusatokaiki.net/
【里山・島暮らし】新潟県佐渡市
トキのすむ棚田の米や、豊かな海の幸も
東京23区の約1.5倍もある日本海側最大の離島。寒流と暖流が交わる海は魚種も豊富で、米、フルーツの栽培も盛ん。伝統的な棚田や尖閣湾など景勝地も多く、釣り、登山、キャンプなどアウトドアも気軽に楽しめる。能や和太鼓集団〝鼓童〟といった文化的なイベントも多い。
〝映える〟景色として人気の北沢浮遊選鉱場など佐渡金山絡みの史跡は世界文化遺産の候補にもなっている。歴史と文化の薫る島。
移住support
●待機児童なし。保育園副食費無償、2人目以降保育料無償 ●起業支援 ●空き家改修費補助制度 ●家賃補助 ●移住支援金など
DATA
人口/5万2474人 面積/855.67km² 気温/最高26.9℃、最低4.5℃ 特産品/朱鷺と暮らす郷認証米、寒ブリ、おけさ柿、日本酒 主な産業/農業、観光業 アクセス/新潟港から高速船で両津港まで約1時間 移住相談窓口/移住交流推進課 電話0259・67・7153
〈TAKAHASHI’s REVIEW〉移住者がとても増えていて、自治体の支援も厚い。海外生活経験者の移住も少なくなく、自然だけではなく文化に興味のある人も多い印象。
※DATAは2021年5月取材時のものです。新型コロナウイルスの感染状況により、体験住宅の利用休止やイベント中止の場合があります。
取材・文/嶺月香里