移住となると人生の大変換とばかりに身構えがちだが、移住の先輩たちは軽やかに住む場所を変え、今まで培ってきた仕事のスキルはしっかり移住先でも活用している。都心部ではなしえない、移住先での働き方を教えてもらった。
東京都新宿区 → 沖縄県石垣市
外の目を持ち続け、地元に貢献していきたい
「暑いのは苦手で、南国にも島暮らしにも興味は持っていませんでした」
そんな早坂さんが最初に石垣島を訪れたのは8年前、仕事先への出張だ。その時に知った希少なハーブを軸に石垣島でのプロジェクトを提案。他県の読者を意識して作った本は地元でもよく売れ、島民を喜ばせた。
「その頃、新空港がオープンしたてで、賑わいの一方、急速な発展へのとまどいも感じました。何かこの島で私にできることはないか、島の風土や人と関わりたいと強く思ったんです」
そこで、島を拠点に仕事をしたいと社長に交渉し、賛同を得る。
「社員の7割は女性。妊娠などで辞める人も少なくなく、移住による女性の働き方のリードモデルになればいいという思いもありましたね。沖縄の仕事は自分で作りつつ、全体の8割は今までの仕事を継続し、売り上げを落とさないようにしています。理解のある会社ですが、お荷物になることがあれば退職しようと覚悟して実行しました」
東京との距離がデメリットに感じないよう会社とのコミュニケーションに気を使ったという。メールや電話のレスは迅速に、急な会議があれば出張費ではなくマイレージで東京に帰ることも。次第に会社全体がフリーアドレス化。以前は月に1度、東京に行っていたが、コロナ禍以降は会社に行く理由がほぼなくなった。
東京にいる時は外食中心だったが、島では旬の食材を自炊し、手料理で友人をもてなしたりする生活に。
「夜はお酒を飲むので、仕事は朝型。友達もいっぱいできました」
ジャパン ライフデザイン システムズ プロデューサー
早坂妙子さん
生活者の代理人としてマーケティング戦略、コミュニケーション戦略の立案・実施を行なう。1年の半分は出張。イベント運営、冊子作成など幅広い業務をこなす。
和室をDIYでリフォームした自宅兼オフィス兼ホームパーティー場。今年4月からサテライトオフィスとして登録。右は企画・運営を行なった市制70周年事業「石垣みらいカレッジ」の講座の様子。
5月は本マグロのシーズン。生のマグロが1パック500~1000円! 右は農家の直売品。東京では高額なハーブや野菜が、朝採りでいずれも100円で買える幸せ!
住のきっかけとなった『足元にある、大切なもの。石垣島ハーブ暮らし』。ほか、石垣市の依頼で作成した島の手仕事などの冊子。
友達が来ると、離島に遊びに行くことも多い。写真は与那国島。石垣島からプロペラ機で25分で到着。
沖縄県石垣市はこんなトコロ
八重山諸島の主島で、県内で3番目に大きな島。南国特有の温暖な気候。海の透明度が高く、マンタとの遭遇率が高いことから多くのダイバーが訪れる。島外保育士誘致支援事業、空き家バンクなどの支援制度も。
人口/4万9552人 面積/229.15km² 気温/最高34.5℃、最低12.6℃ 主な産業/観光業、農・畜産・水産業 アクセス/羽田空港から石垣空港まで約3時間 移住相談窓口/企画政策課 電話0980・82・1350
取材・文/嶺月香里
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