性格も生い立ちも、何もかも違うけれど自分と対になる人間と出会ったとき、人生に奇跡が起こるのかもしれない。
日本では2019年よりAmazon Prime Videoで配信中のAmazon Original『人生の動かし方』は、2017年にアメリカで公開されたヒューマン・コメディ。フランス映画『最強のふたり』(2011年)をリメイクした作品だ。
主演は『ブレイキング・バッド』のブライアン・クランストン、『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』などに出演したコメディアンでもある俳優ケヴィン・ハート。ニコール・キッドマンも出演している。
あらすじ
一代で富を築いた資産家フィリップ(ブライアン・クランストン)は、パラグライダーの事故の後遺症で首から下が麻痺、口以外を自分の意志で動かすことができない。
かつては経営再建やベンチャー投資の分野で活躍し、著書も多数。早くに最愛の妻を亡くし、豪邸で孤独な生活を送るフィリップは、静かに死を待つ日々を送っていた。
生活援助者(介護者)を常に募集していたが、フィリップは気難しい性格であったため、ほとんどがすぐにクビになるか短期で退職。
在職中からフィリップを支えてきた秘書のイヴォンヌ(ニコール・キッドマン)は再び生活援助者の面接を行うことにした。
知性も教養も備えた優秀な候補者をフィリップが次々と不採用にする中、突然飛び込んできたのが元受刑者で職探し中の男性デル(ケヴィン・ハート)。
他の候補者に比べて無礼とも取れる態度で面接を受けるデルのことをフィリップは一目で気に入り、採用する。
見どころ
自分に無いものを持っている人に惹かれ、救われることは少なくない。
まるで阿吽の像や太極図のように、正反対の人間同士がカチッとはまって完成形になる。
属性が何もかも真逆なのに相性が良い人と出会ったとき、自分を囲んでいる世界がパッと明るく広がっていくように感じたことはないだろうか。
そして“最強のふたり”になったような気持ちになることも、あるかもしれない。
一般的に好感度が高いとさせる人柄と、自分と相性の良い人柄が一致するとは限らない。
礼儀正しい言葉遣い、柔和で上品な振る舞い、謙虚さや教養を全面に押し出してくる他の候補者たちは、気難しいフィリップをかえって苛立たせるだけだった。
デルの荒々しさ、率直さ、打たれ強さ、明るさ、逞しさなどがフィリップには好ましく、眩しく映ったのかもしれない。
「君の前向きさに悪酔いした」と言いながらも、嬉しそうな表情を浮かべるフィリップ。冒頭では虚ろな目つきをしていたのに、少しずつ笑顔と快活さが戻ってくる。
“自分とは違う人”と一緒に過ごしていると、世界が全く違って見えてくる。飽き飽きしていた日常生活も、自分とは異なる視点を通して見つめれば、新しい発見があるし、楽しみがあちこちに転がっていることに気づく。
硬直してしまった人生を動かしたい時は、フィリップとデルのように、“真逆のタイプ”と交流してみるといいのかもしれない。
『人生の動かし方』
Amazon Prime Videoで配信中
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文/吉野潤子