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日常生活やビジネスシーンを問わず多くの場面で、「雀の涙程度だ」「雀の涙ほどしかない」という表現が使われることがある。「雀の涙」とは、ごくわずかな量を表すことわざの一つ。
誰しも一度は耳にしたことがあるはずだが、その由来まで知っている人はそう多くはないはず。
そこで本記事では、「雀の涙」の正しい意味や由来、具体的な例文を紹介する。類義語や英語表現も併せてチェックしてほしい。
「雀の涙」とは?意味と由来を解説
「雀の涙」の正しい読み方は「すずめのなみだ」。まずは、言葉の意味とその由来について見ていこう。
「ごくわずかなもの」を雀の涙にたとえたことわざ
雀の涙は、「ごくわずかでしかないこと」を表したことわざ。具体的な量としては、「ほんのわずかであり、ないよりはマシ」という程度。少なさや小ささを大げさに伝えたい場面で用いられることが多い。また、自分を謙遜したり、卑下したりする時に使うことも少なくない。
ちなみに、「鬼の目にも涙」「血も涙もない」「鰐の空涙」など、「涙」という言葉を含むことわざは他にもたくさんある。
「涙」という語句を含むことわざの多くは、感情を表現する際に用いられるが、雀の涙には感情のニュアンスは一切含まれていない。あくまでも、量や数の少なさを表現する言葉であることを覚えておこう。
由来は「雀の体の小ささ」
では、なぜ「雀」の涙なのだろうか。そもそも、雀の涙の「雀」とは、鳥類のすずめのこと。一般的に、すずめの全長は約14cm~15cm、体重は18g~27gほどと言われている。
「ただでさえ小さな体なのに、そこから流れる涙は極めて少量だ」という理由から、このことわざが生まれたと言われている。
ちなみに、“スズメダイ”や“スズメウリ”など、名前に「すずめ」が含まれる生き物や植物もある。これらは、他の種類よりサイズが小さいことが特徴。あえて小ささを表すために「すずめ」という言葉が名前に含まれている。
「雀の涙」の使い方と例文
「雀の涙」は「雀の涙ほどの~」という言い回しで使われるケースが多い。ここでは、実際に「雀の涙」を使った例文をいくつか紹介する。
【例文】
「雀の涙ほどのボーナスにがっかりした」
「今月は学校が忙しくてアルバイトに行けなかったから、バイト代は雀の涙だった」
「自分一人では雀の涙ほどの募金でも、多くの人が協力すれば立派な支援になる」
「キャビア添えと書いてあるのに、雀の涙程度しかキャビアが入っていないことにがっかりした」
「雀の涙ほどの幸せを大切にできる人のところへ幸運はやってくると思う」
「私が食べようと思った時には、雀の涙ほどのお菓子しか残っていなかった」
「雀の涙」の類語
「雀の涙」と似た意味と持つ言葉はいくつもあるが、ここでは代表的な2つの言葉とその意味を紹介したい。それぞれの言葉が持つ微妙なニュアンスの違いを理解しておこう。
蚊の涙
蚊の涙とは、量が極めて少ないことを例えたことわざ。雀の涙と同様に、「蚊が流す涙ぐらい少ない量のこと」を表している。ちなみに、蚊の涙の前に「蚤の小便」を付けて「蚤の小便、蚊の涙」と言われることもある。
猫の額
「猫の額」とは、スペースや土地の面積が狭いことを表す慣用句。文字通り、猫のおでこを表している。具体的には「猫の額ほどの庭」「猫の額程度しかない店内」のように使われる。具体的にどのくらい狭い場所に使うか明確な基準は決まっていないが、とにかく狭いことを伝える場合に用いられる。
わずかな量を意味する、海外の比喩表現
「雀の涙」は海外でどのように表現するのだろうか。最後に、「雀の涙」の英語表現と韓国語表現を紹介する。
英語では「only a little(few)/ほんの少ししかない」
雀の涙を英語で表すと「only a little(few)~」となり、「ほんの少ししかない」と訳す。注意したいのが、数えられる名詞に対しては「few」を使い、数えられない名詞に対しては「little」を用いる点だ。
その他にも、「chicken feed(ひよこのえさ)」「a drop in the bucket(バケツの中の1滴)」など、雀の涙と同様に例えを用いた表現を使うこともある。
韓国語では「새발의 피/鳥の足の血」
雀の涙の韓国語表現は「새발의 피」となり、「鳥の足の血」と訳す。文中にある「새/鳥」は、すずめのように小さな体の鳥のことを表す。
「鳥の細い足から出る血はごくわずかだ」というイメージから、こう表現されるようになったそう。日本語と同様、例えを用いたことわざだが「血」で表現する点が日本語との違い。
文/oki