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14歳の少女は裸の動画を売るしかなかったのか?TOKYO青春映画祭上映作品「雨でも晴れる」

2021.06.30

TOKYO青春映画祭上映作品「雨でも晴れる」

 スタートは、“「中2」が主人公の「中2映画」” 。

世界でも超レアな、青春映画だけを集めた「TOKYO青春映画祭」が2021年7月17日、渋谷ユーロライブで開催される。スタートは、エンタメプロデューサーつんく♂が自身のサロン内で、「中2に見えるヒロイン募集」をしたこと。予想を超える魅力的なヒロインが多数集まり、「中2」が主人公の「中2映画」が3本誕生。「もっと多くの青春映画を見たい」という熱い想いから、「青春」とカテゴライズできる映画だけを集めた「TOKYO青春映画祭」がスタートした。

「テーマが青春であること」「30分以内の作品であること」というシンプルな条件で集まった作品は約150本。「TOKYO青春映画祭」ではそこから厳選された10作品が上映される。今回紹介する「雨でも晴れる」はその中の1本で、実際にあった女子中学生のいじめ事件をヒントに作られた作品だ。 

スマートフォンが少女の人生を追い詰める

主人公は、同級生の男子・福井彩人にひそかに想いを寄せる女子中学生・宮本ハル。内気な彼女は、彩人が美人で華やかな同級生・佐々木麗良と楽しそうに話しているのを、物陰から見ては羨んでいるだけだった。

だがある日、ハルは麗良のスマホを誤って水没させてしまう。「電源が入らなくなった!」と壊れたスマホを突き付けて激怒する麗良は執拗に弁償を迫るが、ハルにそんなお金はないし、男手ひとつで育ててくれている父親は優しいが、金銭的な余裕はなく、相談することもできない。

麗良は、ハルにネットで使用済みの水着を売ってお金を作るよう要求する。彩人の真の気持ちがハルにあることに気づきいら立つ麗良の要求はどんどんエスカレート。ついにハルは、全裸の動画を売ることを決意せざるを得ないところまで追いつめられる…。

女子中学生女優の誕生の瞬間を目にせよ!

宮本ハル役を熱演しているのは、初主演となるリアル中学2年生の光石桔梗。内田監督は、本当は内容的にも別の俳優を考えていたが、熱意に押されて起用したとのこと。この映画がデビュー作ながら、清らかで凛とした存在感があり、「汚れて欲しくない」「守ってあげたい」という気持ちにさせられる。

佐々木麗良役の五島月は、正統派美少女としてドラマ・CMですでに活躍中。だが今作では、笑顔を浮かべながらヒロインを残酷に追い詰めていく女子中学生の闇を、抜群の演技力で魅せてくれる。クライマックスシーンの衝撃的なネタばらしは、無邪気で屈託のない笑顔で告げられるだけにいっそう恐ろしさが際立ち、大人が見ても背筋が凍るほど。

福井彩人役を演じている岡田佳大の演技も素晴らしい。ヒロインに想いを寄せ、なんとかして救いたいと奔走するが、その想いが逆にヒロインをますます窮地に陥れる。混乱し、迷走し、自己嫌悪に陥り、それでもあきらめないひたむきさが、胸を打つ。彼の演技を内田監督は、「演出と脚本を超えるお芝居」と激賞している。

「自分を守り、他人のことを思いやれる大人になってほしい」

モデルとなった事件には救いがないが、映画では最後に救いもカタルシスも用意されているので、ご安心を。脚本も担当した内田英介監督は当初、実際に起きた事件をモチーフにした物語なので、本当はもっと残酷な映画にする予定だったという。しかし、「もしかしたら信頼できる恋人や友達、そして家族がいれば、現実の事件は起きなかったのではないか?」という疑問を抱いたことから、単に事件をそのまま描くのではなく、「自分を守り、他人のことを思いやれる大人になってほしい」という願いをこめて、現実の事件とは違う展開にしたとのこと。

ラストが意外にも爽やかで希望が暗示されているのは、監督の願いが投影されているからだろう。「消えて無くなりたい」ほどの後悔を経験して初めて自分を守ることの大切さに気付いたハルは、大人になった時にきっと、誰かを守れる強くてやさしい人間になっているはずだ。

またこの映画は、精神的に不安定な中学生と、一度の過ちが人生を壊してしまうネットが共存する社会の危うさも描いている。1台のスマホに人生を壊されることがないよう、ぜひ中学生自身もこの映画を見て「自分を守る」ことの意味を考えて欲しい。

文・桑原恵美子

取材協力/ TOKYO青春映画祭(https://tyff.tnx.cc/) 

「雨でも晴れる」 監督・脚本 内田英介 宮本ハル役・光石桔梗 福井彩人役・岡田佳大 佐々木麗良役・五島月

編集/inox.

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