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全世界で利用可能になったSpaceXの衛星インターネットサービス「Starlink」とは?

2021.07.03

SpaceXのStarlink計画が始動して、3~4年が経過している。そして、今年9月頃には全世界で利用ができる--そんな報道が流れ、世界を驚かせている。あまりにも速いスピード感でにわかに信じられないが、今回は、改めてSpaceXのStarlink計画とはどのような計画なのか、今年9月にはどのような世界になっているのか、そんな話題について紹介したいと思う。

https://www.tesmanian.com/blogs/tesmanian-blog/starlink-2

SpaceXってどんな宇宙企業なの?

SpaceXは、もうご存知だろう。イーロン マスク率いる世界を代表する宇宙企業だ。SpaceXは、いくつの宇宙事業を展開しているだろうか、確認してみることにしよう。まずは、ロケット事業。Falcon9という世界の主力ロケットで世界のロケット市場を席巻している。Falcon9は、日本のH2Aロケットと競合するサイズ。おそらく世界で最も打ち上げられているロケットの一つだ。驚くべきは、再利用を軸とするコスト削減策。打ち上げられたロケットの第1段部分は華麗にも地球へ垂直着陸し帰還する。パラシュートで落下してくるフェアリングも船舶上に設置された網で見事にキャッチする。これらを改修して再び利用している。他にもFalcon HeavyというFalcon9に比べて大型のロケットも手がけているのだ。

さらには、ロケットに多数の小型衛星を搭載し一度に打ち上げることができるライドシェア事業も実施している。これはStarlink計画を実現するうえでも鍵となる技術だ。詳細は後述する。

そして、国際宇宙ステーションISSに関する事業。まず、ISSへと物資を送るDragonという宇宙船。さらに宇宙飛行士、つまりヒトをISSへと輸送するCrew Dragonという宇宙船。宇宙飛行士が着用する船内宇宙服はとてもスタイリッシュにデザインされている。またCrew Dragonの船内もとてもスッキリした空間で、タッチパネルで操縦できる、そんな最先端な技術を採用し、改めてSpaceXの凄さを感じることができる。先日、JAXAの野口聡一宇宙飛行士、星出彰彦宇宙飛行士も登場したことで話題となった。
そして、現在開発中のStarship。Starshipは、月や火星などの惑星への飛行に利用する計画だ。現在、アメリカのテキサスでテストを実施している。

他にも、イーロン マスクの電気自動車の企業であるTeslaは、月面与圧ローバーであるCybertruckのコンセプトも発表している。

そして、Starlink。インターネット衛星事業だ。次で詳しく見ていこう。

Teslaの月面用Cybertruck
(出典:Tesmanian

SpaceXの衛星インターネットサービス「Starlink」とは?

SpaceXのStarlink計画とは、地球を周回する軌道に、通信衛星を多数機打ち上げ、コンステレーションを構築し、全世界へとインターネット環境を提供する計画のこと。計画は順次アップデートされていていくが現時点では、最終的に42,000機というとてつもない数の衛星を打ち上げるようだ。

このような膨大な数の衛星を打ち上げるために、一体何回ロケットを打ち上げればよいのだろうか。実は、さきほど紹介したライドシェアによって、実現されようとしている。Falcon9ロケットの1回の打ち上げでおおよそ60機のStarlink衛星を搭載することができるのだ。以下の図を見ていただきたい。パッと見ると見た目はタワーマンションのようだが、衛星が折り畳まれた状態で60機積み重なっているのだ。ロケットからこれら60機の衛星が宇宙空間で分離されていく様子も動画におさめられているのでぜひご覧いただきたい。

Starlink衛星がロケットに搭載されている様子
(出典:Tesmanian

Starlink衛星がロケットから分離される動画はこちら(1:54:30〜)

では、少しStarlink衛星にフォーカスしてみよう。以下のようなイメージだ。衛星1機あたり227kg。シルバーのフラットなパネル状になっている部分が衛星本体。少し濃い灰色になっている部分が4つほど確認できるだろうか。これは、フェイズドアレーアンテナだ。他の部分は、衛星の様々なサブシステム、コンポーネントを兼ねているだろう。そして地球とは反対方向に立っている黒もしくは濃い青パネルあると思うがこれが太陽電池パネルだ。そして、クリプトンを使ったイオンスラスターを搭載し、姿勢変更、軌道変更を実施している。

Starlink衛星が全世界にインターネット環境を提供するには、地球上のある地点から見て、常に上の衛星が存在しなければならない。そして衛星は地球を周回しているので衛星間でのデータのやりとりも必要だ。Starlink衛星間はレーザによる通信を実施している。

Starlink衛星のイメージ
(出典:Tesmanian)

これだけ膨大な数の衛星を打ち上げるとなると、問題も出てくる。それは、天文観測における視野だ。地球上から天体観測をする際に、どうしても衛星が通過し観測視野を妨げてしまうのだ。

Starlink衛星の天体観測に与える影響
(出典:tesmanian

そのために、Starlink衛星は、黒色塗装を施したり、Sunshadeを衛星に設置し太陽の反射光を抑えるなどの取り組みを実施し、天文学者との調整が続いているようだ。

他にも静止衛星や他の衛星との通信干渉の議論もなされている。

また、Starlinkは当初高度1,100〜1,300kmの周回軌道を予定していたが、現在は、540〜570kmのより低軌道への運用に変更している。これは、連邦通信委員会FCCとの協議の結果のようだが、この低軌道により高速なインターネットサービスをより低い遅延で提供できるようになること、衛星の運用終了後の迅速な廃棄運用が実施できるようにすることが挙げられている。

さらに、Starlink衛星は、全世界へとインターネット環境を提供するだけにとどまらない。実はアメリカ軍と気象データを提供する契約をしたり、測位衛星であるGPSの代替衛星となりうる研究をしたり、ミサイルの追尾衛星としての可能性についての研究を実施したりと、アメリカ軍との連携も強化しているようだ。

どのようにインターネットサービスの提供を受けるのか?

もしStarlinkの衛星インターネットサービスの提供を受けたいというユーザーは、自宅などに以下のようなお皿状のフラットパネルアンテナを設置することになる。直径は55cm。このアンテナはフェーズドアレイアンテナで電気的に追尾することができるアンテナだ。

(出典:Tesmanian)

そして地上設備として、GW(Gateway)/POP(Point Of Presense)、TTC(Tracking Telemetry and Control)、SOC(Server Operation service)、GNOC(Global Network Operation Center)を整備する。GW/POP-衛星間、衛星-ユーザ間の通信によってインターネット環境を提供するのだ。ちなみに、Starlink衛星はサービスリンクにKu帯、フィーダーリンクにKa帯を使う。

Starlinkの地上設備GW(Gateway)
(出典:Tesmanian)

想定されるサービスとしては、ユーザ向けのインターネットサービスの他に、法人・官公庁に対して災害時のバックアップ回線として、そして携帯電話事業者に対して電波不感地帯のカバレッジ拡大サービス、航空、海上、IoTなどなどがあるという。

現在までに、11か国にインターネットサービスを提供している。米国、カナダ、英国、ドイツ、ベルギー、フランス、オーストリア、オランダ、オーストラリア、ニュージーランドの一部などだ。そして2021年後半から2022年の初期には、ヨーロッパ諸国、米国の地域、メキシコは、2021年の後半から2022年の初めにもサービスを提供するという。

そして、現在までに、Starlink計画は1,800機ほどの衛星の打ち上げに成功して、これらの衛星が運用する軌道に投入されれば、グローバルカバレッジが得られる、その時期が9月頃となっているのだ。
Starlink衛星でのインターネットサービスの価格設定は、従量課金性や段階的な課金などではなく、月額$99とするようだ。

いかがだったろうか。SpaceXのStarlink計画が始動したのは、2018年。Tintinという実証衛星2機からとすれば、わずか3年足らずで、ここまで世界規模に計画が進行していることに本当に驚く。日本でも総務省でSpaceXのStarlink計画についてKDDIが支援しながら調整が進められているのを耳にすると、実感が湧いてくる。

文/齊田興哉
2004年東北大学大学院工学研究科を修了(工学博士)。同年、宇宙航空研究開発機構JAXAに入社し、人工衛星の2機の開発プロジェクトに従事。2012年日本総合研究所に入社。官公庁、企業向けの宇宙ビジネスのコンサルティングに従事。現在は各メディアの情報発信に力を入れている。

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