「この青二才が!」「まだ青二才だ」などと使われる、「青二才(あおにさい)」という言葉。直接言われたことのある人はあまり多くないかもしれないが、時折、漫画やSNSで目にする機会がある。何となく若い人に対して使うことはイメージできるが、一体どんな意味を持つ言葉なのだろうか。本記事では、青二才の正しい意味と語源、そして使用シーンについて紹介する。
青二才とは?
はじめに、青二才の意味と語源について解説する。青二才は「青」と「二才」から成り立つ慣用句で、「経験不足な若者」を表す言葉だ。
意味は「経験の乏しい若い男性」のこと
青二才とは、年が若く、経験が不足している物事に未熟な男性のことを指す。また、そのような男性を生意気であると見下す意味もある。あまり良い意味には捉えられないが、謙遜したり相手を叱咤激励したりする時にも用いられることもある。男性を指す言葉のため、女性に対しては使用しない点に注意しよう。
大きく二つの説がある「二才」
語源は「青」と「二才」に分けて考えられる。青二才と同様に、青が接頭語の言葉は「青春」「青侍」「青臭い」などがあり、いずれも年が若くて人格や振る舞いが未熟なことを意味する。知識や経験が十分ではないさまや技能が足りない様子を「まだ青い」と言うように、青は色だけではなく、成熟していない(若くて経験が不足している)ことも表す言葉だ。
一方、二才には大きく二つの説がある。
・出世魚の幼魚「二才魚」説
出世魚とは、成長の時期に応じて名前が変わる魚のこと。例えば、出世魚の代表であるボラは、オボコ(スバシリ)、イナ、ボラと呼び名が変わり、さらに大きくなるとトドと名前が変わる。出世魚の生まれて2年目の幼魚は「二才魚」「二才」と呼ばれることから、まだ成長途中で経験が浅く未熟な魚から「二才」となった説がある。
・日本の古語「新背(にいせ)」
かつて日本では、夫や兄弟、恋人など自分の親しい男性を「背(せ)」と呼び、親しい女性のことは「妹(いも)」と呼んでいた。この背に「新」をつけた「新背」は青年のことを表し、「にいせ」が転訛して「にさい」となり「二才」の漢字をあてたという説もある
青二才の使い方
ここでは、青二才を使った例文、類語、英語表現を見てみよう。同じ言葉でも、使用シーンによってニュアンスが異なる点に注目してほしい。
青二才を使った例文
青二才は、意味によって使われるシーンが異なる。「相手を罵倒、見下す」「叱咤激励」「謙遜」の三つのシーンごとの使われ方をチェックしよう。
・相手を罵倒、見下す
「お前のような青二才が、一人前のような口を利くとは生意気だ!」
「まだ実績もないのに意見してくるなんて、青二才のくせに何がわかるのか!」
・叱咤激励
「入社したての青二才にしては根性がある。君のこれからの成長が楽しみだ」
「いつまでも青二才と思っていたが、こんな大仕事ができるようになったとはね」
・謙遜
「まだまだ右も左もわからない青二才でございます。何卒ご指導のほどよろしくお願いします」
「私のような青二才に、新プロジェクトを任せてもらえるなんて身が引き締まる思いだ」
青二才の類語
青二才と似た意味を持つ言葉には、「若輩」や「若造」などがある。若輩は「まだ若輩ですがよろしくお願いします」のように謙遜して用いられるケースが多く、他人に使うと軽蔑の意味になる。「若造」は未熟な若者を蔑んだ言い方。いずれも若く未熟な意味を持つが、青二才は経験が乏しいにもかかわらず、振る舞いが生意気な若者に対して使うことが多い。
青二才の英語表現
先述したとおり、日本語では「未熟である」「経験が浅い」ことを青で表す。一方、英語では「green」を用いて表現する。青二才に該当する英単語には「greenhorn(未熟者、初心者)」があり、こちらも「green(未熟な、経験の浅い)」と「horn(角)」の二つの単語に分けられる。これは角の出始めた幼い牛のこと。仔牛の角が緑色であることから、この言葉が生まれたそうだ。
文/oki