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なぜ家電量販店が銀行を作るのか?ヤマダHDがスマホ専業銀行「ヤマダNEOBANK」を開業

2021.06.28

国内最大手の家電量販店ヤマダ電機の親会社ヤマダホールディングス(以下、ヤマダHD)が、スマホ専業銀行「ヤマダNEOBANK」を2021年7月1日に開始する。

2021年6月21日に住信SBIネット銀行と連名で発表した(プレスリリース)。

ヤマダHDがグループ全体で持つ6000万人の顧客をターゲットに銀行サービスを展開するのが狙いのようだが、なぜ、今、参入するのか。また、どのようなサービス展開を目指しているのか。プレスリリースや決算説明資料を基に読み解いてみよう。

■プレスリリースまとめ

・銀行機能は、住信SBIネット銀行が手がける銀行プラットフォーム「NEOBANK」を利用
・ヤマダHD傘下の「ヤマダファイナンスサービス」が、住信SBIネット銀行の銀行代理業者として事業を行う
・スマホ専業銀行として円預金、外貨預金、振込、口座振替、外貨送金、住宅ローン、キャッシュカード一体型デビットカードなど基本的な銀行サービスを提供
・口座開設申込は、スマホアプリ「ヤマダデジタル会員」からのみ行える

■ヤマダNEOBANKの3つのメリット

引用元:プレスリリースより

■ヤマダデジタル会員のイメージ

引用元:ヤマダデジタル会員アプリ/ヤマダウェブコム

家電と住宅を中心とした生活基盤をヤマダHDが囲い込んで収益強化

ヤマダHDが発表した2021年3月期決算説明資料(下記)によれば、主力となっている家電販売は年間約1.3兆円の売り上げ、住宅事業では年間約2000億円の売り上げがある。また金融事業の売り上げは年間約30億円である。

■ヤマダHDの2021年3月期の売上高

引用元:2021年3月期_通期決算説明資料/ヤマダHD

これらの売り上げに対して金融サービスを提供することで収益力の強化を目指していると見られる。金融事業の売上高は全体の0.2%なので、伸びしろがありそうだ。

すでに住宅事業では、住宅ローンを提供しているので、新築やリフォームの相談からその資金調達まで、顧客はヤマダHDにまとめて相談できる。

一方、主力である家電販売に対しては、ヤマダポイントが使えるクレジットカードの発行や、ジャックスと提携したショッピングクレジットサービスがあるが、囲い込み力に欠けそうだ。なぜなら競合となるヨドバシカメラやビックカメラも同様のサービスを提供しているから。

顧客の生活基盤にさらに食い込んで、家電購入以外の場面でもヤマダHDのサービスを使ってもらうためには、銀行サービスの提供が必至であると判断したのだろう。

ヤマダHDのプレスリリースで“家電だけではなく、暮らしまるごとをご提案する取り組みを進めています”と述べている点から、そのツールで、銀行サービスが適切であるともいえそうだ。

ちなみに金融事業では保険代理店事業もすでに手掛けている。例えば、ヤマダ電機の店舗で、保険商品や家計の相談ができる「ヤマダデンキの家計相談窓口」は、同社によれば月間約1万人の顧客が来店しているという。

■ビックカメラが発行しているビックカメラSuicaカード

引用元:ビックカメラSuicaカード/ビックカメラ
コロナ禍によって鉄道利用が減っているとはいえ、ビックカメラの買い物で貯まったポイントが、汎用性の高いSuicaになる魅力度は高い。

■ヤマダHDの金融セグメントの会社組織(2021年7月1日時点)

引用元:2021年3月期_通期決算説明資料/ヤマダHD

特別定額給付金やテレワーク需要の反動が訪れる2021年が銀行サービスの始めどき?

ヤマダHDの2021年3月期の決算短信によれば、コロナ禍によって、2022年3月期は、主力の家電販売の売り上げ見込みが不透明であると述べている。

2021年3月期は特別定額給付金の利用、テレワーク環境構築などの需要があった。しかし2022年3月期はこれらの需要が無いと同社は見ている。

それでも2022年3月期の業績予想は2021年3月比増収増益を見込んでいるが、各事業セグメント間のシナジー最大化やシェア拡大・競争力強化がなければ達成できないとしている。

達成のために必要な施策がヤマダNEOBANKであり、主力の家電販売が不透明な今だからこそ、顧客の生活基盤に入り込み、長期間での収益獲得を目指す銀行サービスの始め時と判断したのだろう。

住宅ローンや保険代理店事業で培ったノウハウを活かす。シナジー最大化も狙っているといったところか。

■(参考)2021年3月期決算短信/ヤマダHD

家電量販店と銀行が持つ「顧客と長い付き合いになる」という共通点

今回のヤマダHDでの発表では、住宅ローン以外のローン商品への言及は、ヤマダNEOBANKユーザー専用の住宅ローンに家具や家電の購入分を組み込める点のみだった。

住信SBIネット銀行が、今後NEOBANKの機能をどのように拡充するかにもよるが、今後のサービス展開で、家電製品へのローン提供がありえそうだ。

ヤマダ電機での商品購入履歴などをAIで分析した結果、ローン金利を優遇するサービスが提供されるかもしれない。

そもそも家電量販店と銀行には、「数年単位で顧客と付き合う商品がある」という共通点がある。

冷蔵庫や洗濯機などの生活家電、パソコンやスマートフォンなどの情報家電を購入した場合は1年程度の保証が付き、商品によっては家電量販店が数年の保証を付けてくれる。

銀行では一度契約すれば数年間の付き合いになる「ローン商品」がある。

そのため、家電量販店で購入する商品に対して、ヤマダNEOBANKでローンを組んでもらえたら、販売利益とローン金利とで収益が二重取りできる。

同じ仕組みはすでに住宅で実施しているが、売上規模は家電販売の約6分の1に過ぎないので、金融事業強化には、家電販売の取り込みが欠かせない。

家電製品は数年に一度は買い替える人が多いし、ヤマダNEOBANKの利用で貯まったヤマダポイントを使おうと考えた顧客は、自然にヤマダ電機へと足が向く。

ローンと聞くと尻込みする人は少なくないが、例えば、保証期間が3年間で価格が5万円の冷蔵庫を購入するとして、ヤマダNEOBANKで保証期間と同じローンを組んで、月額払いにする方が、手元の現金が一気に無くなってしまうリスクが防げる。

同じ買い方はクレジットカードやショッピングローンでもできるが、ヤマダHDのひとまとまりのサービスとして金利の優遇やポイント付与があれば、顧客は有利な方を利用してくれるに違いない。

ヤマダHDが掲げている目標“くらしをシアワセにする、ぜんぶ。”がどのように具体化していくか。動向が楽しみだ。

文/久我吉史

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