北海道のサウナ文化が熱いらしいと聞き、巡り合えたのが北海道のサウナ界を盛り上げるふたりのサウナー。独自の視点から、一度は足を運びたい施設をチョイスしてもらった。
※こちらの記事は小学館から絶賛発売中のサウナムック「Saunner+」から一部抜粋して掲載しています。ぜひ合わせてご覧ください。
サウナ嫌いがある日突然、サウナ愛に目覚める
今でこそ、北海道ホテルの林さんは十勝サウナを広めた人物として名の知れた存在だが、ほんの数年前までサウナが苦手だった。サウナに入ると喉が乾燥するし、水風呂なんて冷たいだけでしょと本気で思っていた。それが2018年11月22日、劇的に考えが変わった。
「ととのえ親方に出会って何だか騙されたようにあれこれ教わっていたら、あの日、突然ととのったんですよ。以来、毎年引いていた風邪も引かずに熟睡できるようになりました」
嘘のような本当の話だが、人というものは変わるもので、コロナ前はフィンランドのサウナツアーに出かけたり、アヴァントに挑戦するまでになっていた。フィンランドに行った際に、ある気づきが芽生えた。
「現地では冬の時期に、日本から多くの女性がサウナに入りに来ると聞いたんです。北海道も冬場は有名なスキー場があって強いですけど、十勝はグリーンシーズンが人気なので11月から4月まで観光客が少ない。それでふと、フィンランドと十勝は環境が似ていると気づいたんです。白樺があり、水も食事も豊か。トナカイとエゾシカの違いくらい(笑)」
それからの行動が早かった。北海道ホテルのサウナをセルフロウリュができるように改装したところ日帰り客があっという間に倍増したという。そこで仲間と立ち上げたのが「十勝サウナ協議会」。ホテルや旅館が連携して十勝を盛り上げていこうとするものだ。すると成果はすぐに表われ、近郊の札幌や旭川、遠くは本州からも客がやってきた。
「ホテル側も工夫を凝らしてサウナグッズを販売したり、お客さんだった地元の人がサウナハットを作るようになったり十勝は地域ぐるみで一体化しています。まさにフィンランドに近づいているんです」
北海道ホテル 取締役社長
林 克彦さん
勝毎ホールディングスほか、十勝農園(レストラン事業)などを経営。十勝サウナ協議会を通じた幅広い活動に加え、日本サウナ学会の理事や十勝型観光地域づくり法人の役員も務める。
晩成温泉
北海道広尾郡大樹町
ロケットだけじゃない大樹町自慢の源泉
インターステラテクノロジズ社が本社を置くロケットの町として有名になった大樹町には、別のお宝も。それが高濃度のヨウ素を含んだヨード泉。うがい薬や抗菌剤として重宝されるヨードを全身で浴びつつのサウナはここでしか味わえない。今後はヨード泉ロウリュができるかも。
湯船から見えるダイナミックな太平洋。季節によっては最高の夕日が拝めるなんて贅沢も。
設備は大浴場、ジェットバス、高温風呂、サウナ。安価に楽しめ宿泊施設も隣接する。
Sauna Data
[住]北海道広尾郡大樹町字晩成2 [料]500円(大人) http://www.town.taiki.hokkaido.jp
観月苑
北海道河東郡音更町
モール温泉でロウリュ。北海道サウナの新潮流
天然の化粧水とも呼ばれる十勝のモール(植物性)温泉。サウナ室でセルフロウリュすれば、あたかも温泉に入りながらのサウナになるわけでこれが最高。水温は年間通じて10℃前後、冬はシングルになる。モール温泉でロウリュ、北海道ならではのサウナの新潮流になる予感。
十勝川のほとりで味わう至福の時間。帯広駅からはクルマで約20分と交通の便もよい。
リニューアルを機にセルフロウリュが楽しめるようになった。内風呂のほか、打たせ湯や歩行湯など充実。露天風呂付きの部屋もある。
〈イチオシ!〉外気浴は鮭が遡上する十勝川を見ながら楽しめます。日の入り前後の太陽を見ながらの外気浴は格別です。冬の時期は水温3.5℃ほどでもうアヴァントですよ。
Sauna Data
[住]北海道河東郡音更町十勝川温泉南14-2 [料]日帰り入浴1500円(バスタオル・フェイスタオルの無料レンタル含む) http://www.kangetsuen.com