新しく掃除機を購入する時、どのような基準で選んでいるでしょうか。
おそらく基準の1つに「吸引力」を挙げる人が多いのではないでしょうか。しかし、一概に吸引力といっても、スペックに表示されているどの項目を見れば良いか、わからないという人もいるのでは?
そこで今回は吸引力の高さを示す1つの目安、「吸込仕事率」についてご紹介します。掃除機を選ぶ際の参考にしてください。
掃除機がどれくらい空気を吸い込めるのかを示す「吸込仕事率(W)」とは?
吸込仕事率とは、「特定の条件下で、掃除機がどれだけの量の空気を吸い込めるのかW(ワット)で示した数値(※)」となっています。
※日本電機工業会規格「JEM 1454」
この数値が大きければ大きいほど、掃除機は空気を吸い込む力が大きいということ。
吸込仕事率を算出するには、「定められた係数」に「掃除機が吸い込む風量(立方メートル/min)と「空気を吸い込む力(真空度/Pa)」を専用機器で計測し、掛け合わせた値になります。
吸込仕事率=0.01666×掃除機が吸い込む風量(立法メートル/min)×真空度(Pa)
少し複雑ですが、安心してください。国内の掃除機メーカーであれば、吸込仕事率はスペック表に掲載されているケースが多いのです。
掃除機を購入する際は、この「吸込仕事率」をチェックしてみましょう。
掃除機は「吸込仕事率が高い」=「吸引性能が高い」とは限らない!?
吸引力の高い掃除機を購入したいのであれば、「吸込仕事率」を基準に製品を選んでもよいかもしれません。
ただし、注意しておきたいのが「吸込仕事率」はあくまで掃除機の吸引性能を示す目安の1つであり、決して「吸込仕事率が高い=吸引性能が高い」とは限らないのです。
吸込仕事率を計測する時、基本的には掃除機にクリーナーヘッドは取り付けません。例えば吸込仕事率が低くても、より多くのゴミを吸い取れるよう、工夫が施されているクリーナーヘッドを採用している製品であれば、「吸引性能」はほかの製品よりも実は高い……といったケースも考えられるのです。
そのため、「吸込仕事率はあくまで吸引性能を示すための1つの目安」ということを覚えておきましょう。
ちなみに、吸引性能を示すうえで信憑性の高い「ダストピックアップ率(※)」という基準もあります。
※家庭用電気掃除機 性能測定方法(JIS C9802)
掃除機の吸引性能を示す「ダストピックアップ率」とは?
掃除機をかけた際にどれだけゴミが残ったのかを計測する方法で、実際にゴミを吸い取って計測するため、純粋な吸引性能を示す数値であれば吸込仕事率よりも信憑性が高いといわれています。
ですが、ダストピックアップ率をスペック表で紹介している国内掃除機メーカーは少なく、そのほとんどが吸込仕事率を掲載しています。
その理由はダストピックアップ率が海外のテスト方法に準拠しているもので、日本の住環境には合っていないというのが理由のようです。
いずれにせよ、掃除機を吸引力で選ぶのであれば、まずは「吸込仕事率」。記載されていれば「ダストピックアップ率」に注目するのが良いでしょう。
なお、吸込仕事率に関しても必ずスペック表に記載されているとは限りません。また、ダストピックアップ率を記載しているからといって、吸引性能が高いとは限りません。
平均は? 国内4メーカーのサイクロン式掃除機(キャニスター)の吸込仕事率
ここからは国内掃除機4メーカーが発売している、サイクロン式掃除機(キャニスタータイプ)の吸込仕事率の平均をご紹介します。
なお、今回はメーカー公式HPにて紹介している製品に絞ってご紹介しています。
基準にした製品は10個。吸込仕事率の平均値の最大は約266Wで、最小は約54Wとなっています。
スティックタイプのコードレス掃除機に吸込仕事率が記載されているのは珍しい?
実はスティックタイプのコードレス掃除機に吸込仕事率が記載されているケースは珍しいのです。そこで例としてコードレス掃除機の吸込仕事率を記載している、パナソニックの「MC-SBU840K」のスペックをチェックしてみましょう。
上の写真のとおり、「MC-SBU840K」の吸込仕事率は約200W~約10Wとなっています。家電量販店などでコードレス掃除機を購入する時は、この数値を基準に店員さんと相談しても良いかもしれません。
※データは2021年6月上旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全・正確性を保証するものではありません。
※製品のご利用、操作はあくまで自己責任にてお願いします。
文/髙見沢 洸