朝日湯源泉 ゆいる
首都圏一深い水風呂は潜れて、外気浴スペースには『インフィニティチェア』がある。サウナーの「あったらいいな」が詰まった施設に込められた、銭湯4代目の、サウナ愛ともてなしの心とは。
※こちらの記事は小学館から絶賛発売中のサウナムック「Saunner+」から一部抜粋して掲載しています。ぜひ合わせてご覧ください。
「最高!」への探求を続ける──サウナが好きな人に心からの満足と喜びを
支配人 堀 正人さん
曾祖父から経営していた銭湯で育つ。製氷会社勤務を経て、5年前に銭湯リニューアルを計画。国内300か所以上の温浴施設を巡り、「ゆいる」を完成させた。
サウナと温泉を楽しめることが、新時代の理想の銭湯
川崎の工場街で、戦後から続く銭湯・朝日湯。今年3月に都市型温浴施設に生まれ変わり、早くもサウナーを魅了している。理想の施設を作り上げたのは支配人・堀正人さん。
「私は銭湯で生まれ育ちました。ここは誰もが平等に、1日の疲れを洗い流す憩いの場。私が子供の頃は風呂がない家も多かったのですが、今はあって当然。今の〝銭湯〟はどうあるべきかを模索していました」
そこで出した答えが温泉とサウナ。
「一日働いた体を湯船に沈める。一瞬何も考えず、心の底から気持ちいいと思う感覚。そして、サウナと水風呂……。これを自分が提供するとなると、正解がわからない。そこで妻とともに国内300か所の温浴施設を回りました」
また、どうしても実現したかったのが、潜れる水風呂だ。
「サウナで最も熱されるのは頭です。しかし多くの施設で水風呂に潜ることはタブー視される。堂々と潜れるようにしたかったんです」
そうして、首都圏最深の水風呂が実現した。ほかにも都心部では珍しい外気浴スペースなども備える。
「サウナの前には大型シャワーヘッドもあります。浴槽も32℃の高濃度炭酸泉と、42℃のあつめ源泉温泉など数種の浴槽を設置。温冷交代浴もできます。サウナ初心者もプロサウナーも、サウナに入らない人も満足できるという理想を詰め込みました」
アウフグース後の休憩でも熱波師があおいでくれるなど、スタッフのホスピタリティーもあふれている。
「受付も、清掃担当も心からサウナを愛している。お客様の〝気持ちいい〟のために、進化を続けます」
SAUNA DATA
ゆいる/[住]神奈川県川崎市川崎区鋼管通3-1-2 [電]044・333・4126 [営]10:00~22:00 [休]水 [料]大人1540円(平日)、1910円(土・日・祝)/5時間 ※小学生未満入館不可
男性は水深150cm、女性は135cm。熱された頭に水が染み込む悦楽体験
水温は約13℃。アウフグースを受けた直後に入れば、水とともに溶けるような感覚を得られるはず。
オートロウリュがされるドライサウナは100℃前後。テレビもBGMもなく静か。一部ガラス張りで混み具合がわかる。1時間に1回、熱波師によるアウフグースがされる。入り口手前にドリンクを置く棚、サウナハットやタオルがかけられるフックも。
外気浴スペースには『インフィニティチェア』。理想の休憩ができる。
(1)休憩スペースはごろ寝ができるほど広い。寝そべられるソファもあり、爆睡する人も。週末には空中ヨガ教室が開かれる。(2)掘削した温泉は地下1200mから湧出。濃い天然成分で芯から温まる。手前の浴槽は超高濃度炭酸泉。(3)冷え性にも効果的なよもぎ蒸しは男性も受けられる。(4)館内ロビーの近くにある電源とWiーFi完備のワークスペース。手作りにこだわり厳選食材を使用したレストランも併設されている。
屋上で外気と一体化!
屋上も開放し、イスを設置。周囲に高い建物がないので青空や夜空と一体化するような感覚が得られ、心から解放される。
サウナーたちの伝説のバイブル復汗!SJ MOOK『Saunner+(サウナープラス)』
サウナを愛してやまない「サウナー」のための本、現在のサウナブームの火付け役となった伝説のサウナ専門誌『Saunner』(2014年、小学館刊)が、7年の時を経てついに復汗(刊)! コロナ禍による危機を超え、ブームを超え、日本のサウナの未来を考えるというテーマのもと、パワーアップして再登場!
定価1320円(税込)
B5判/132ページ
https://www.shogakukan.co.jp/books/09104252
取材・文/前川亜紀