TOPIXは日本株式を代表する指数のことだ。この指数が2022年4月の市場区分変更に伴い改善される。
TOPIXとは?
TOPIX(トピックス)は日本株の代表的な指数だ。東証株価指数といい、東京証券取引所が算出しており、対象は東証一部全銘柄だ。
指数の算出方法は1868年1月4日の東証一部の時価総額を100として、その後時価総額が比してどのくらいになっているか指数化している。時価総額は、加重平均され計算されるためそれぞれの会社の規模が反映されている。
時価総額は、株価×発行済株数をいい株価によって大きく左右されるが、会社の規模を指す指標としてよく比較に使われる。TOPIXは時価総額の規模を反映させているので、時価総額が大きい銘柄トヨタ自動車(7203)、ソニー(6758)などTOPIXに占めるウェイトが大きくなっている。
もう一つの日本株の代表的な指数として日経平均(日経平均株価、日経225)があるが、日本経済新聞社が算出しており、日本を代表する225銘柄で構成されている。
TOPIXが東証一部に上場する約2,000銘柄を対象としているのに対して、日経平均は日本を代表とする225銘柄日限定されている。
日経平均はニュースでもよく報じられているため身近ではあるが、銘柄が225銘柄に限定されており、株価の平均であるため値がさ株といわれる1株1万円以上もする株価が高い銘柄の株価変動に左右されやすいというデメリットもある。
そのため、日本株に投資信託で投資する際や機関投資家が日本市場に投資する際には主に指標としてTOPIXが採用されている。
TOPIXは優良企業が上場する東証一部を対象としており、東証一部には、株主数は800人以上、流通株数20,000単位以上、流通株式時価総額100億円以上、時価総額250億円以上など他の市場よりも厳しい上場基準がある。
しかし、優良企業のみが上場していると想定される東証一部にも問題点がある。
東証一部の問題点
東証一部に上場するということは、優良企業の証である。
東証一部であれば、自ずとTOPIXに採用されるため、日本市場への投資に使われているTOPIXの採用銘柄であれば日本株市場の投資家からの資金が自動的に流れ込む。
東証一部の上場基準として、流通株式時価総額100億円以上という基準があるが実際には満たしていない企業が約600銘柄程度ある。
これは、「東証一部に直接上場するには時価総額250億円以上必要だが、東証マザーズに上場してから時価総額40億円以上なら基準を満たせば東証一部昇格できる」「流通株式に持ち合い株式(上位株主10位以内ではない)が含まれる」など、実際には時価総額等実質大企業とはいえない企業も東証一部に含まれている。
投資経験の少ない投資信託での投資をする個人投資家は、TOPIXは東証一部に上場する企業への投資だから安心だと思って投資すると、実際には優良企業ではない企業も含まれていることになる。
TOPIXが変わる!
TOPIXは東証が算出しているが、2022年4月4日に東証傘下の一部・二部、ジャスダック、東証マザーズが「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3区分に変更されるのに合わせてTOPIXの内容も変更される。
2022年10月以降、TOPIXは流通株式時価総額100億円未満の銘柄が段階的に除外される。流通株式時価総額100億円未満の銘柄の比率を段階的に引き下げていき、2025年1月末に完全に除外とする。東証一部の流通株式時価総額100億円未満の約600銘柄が除外対象となりそうだ。
新しい区分のプライム市場も上場基準として流通株式時価総額100億円以上としており、TOPIXもプライム市場とおおむね同じ銘柄群となりそうだが、プライム市場の場合は改善計画書を出せば基準を満たしていなくてもプライム市場に残ることが可能だが、変更後のTOPIXは流通株式時価総額100億円未満の銘柄は否応なく除外されると考えられるためプライム市場より厳しい基準となりそうだ。
TOPIXは、個人投資家が利用する投資信託や機関投資家が投資する参考指標とされており、かつ同じ銘柄、その比率でTOPIX採用銘柄が買われるため、TOPIXに採用されるかどうかは個別企業にとってその影響は大きい。今までのTOPIXは実際には優良企業とはいえない時価総額の小さい銘柄も含まれており、TOPIXの採用銘柄であるということだけでそのような企業にも自動的に資金が流れ込んでいた。株価は企業業績や財務内容を適正に映すものであるべきだから、そのように自動的に資金が流れ込むのは理想的とはいえない。
TOPIXが変わることで、TOPIXの採用銘柄であるということだけで実質優良企業といえない銘柄にまで資金が流れ込み、株価が上がってしまうということがなくなる。
また、TOPIXへの投資を考えている人は日本の優良企業への投資目的で投資しているのであり、新興市場に投資したいのであれば他の東証マザーズ指数などに投資するのだから、本来の目的通りの投資をすることができるようになる。また、投資経験の少ない初心者等でもTOPIXが厳しい基準で優良銘柄のみの採用となれば、投資信託等を通じて安心して日本を代表する優良企業に投資できる。
今回の市場変更やTOPIXの変更は、日本市場を国際的な市場にしようという流れから来ているものであるが、最近ではつみたてNISA制度利用者の急増など投資信託への積立投資を行う投資家が増えいることから投資家の裾野も広がっており、初心者も投資するTOPIXの実態が適切に改善することは個人投資家にとっても良いことだろう。
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フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。