サウナは3歳から。でも「ととのった」とか考えたことは一度もない
人を魅了するサウナには、魅了するだけの理由が必ずある。1952年創業「サウナ錦糸町」にオーナーが明かすサウナブームへの想いとは?
※こちらの記事は小学館から絶賛発売中のサウナムック「Saunner+」から一部抜粋して掲載しています。ぜひ合わせてご覧ください。
オーナー 荒木瑛統さん
錦糸町生まれ、錦糸町育ち。3代続く江戸っ子。120℃の熱いサウナに慣れてしまい、10分以上入っていられるようなサウナでは満足できない体質になってしまったという、まさに江戸っ子サウナ気質。最終的な夢は、月に人類が移住したら、月にサウナを作ること。「サウナ室から地球見えたら最高ですよ、きっと!」
理屈じゃなくて最短最速で汗かけて、気持ちよくなれるのがサウナ
ウチはもともと銭湯で、会社ができたのは70年前なんですけど、今のビルができたのが50年前。
その時に1階は銭湯で、2階でサウナの営業を始めて……あ、1階の銭湯にもサウナはあったのかな、まぁとにかくそれからチョコチョコ改装したり、増築したり、カプセルホテルやったり、いろいろあったんですけど、50年前からサウナの温度は一貫して120℃です!
ボクで3代目なんですけど、初代からずっと120℃。
まぁ錦糸町ってセッカチな人が多いんです、江戸っ子の。「サウナなんだから早いとこ汗出させろ!」みたいな。
そんな常連さんの中には50年通って来られる方もいらっしゃいます。もう毎日ですよ。しかも1人や2人じゃないですからね。
何歳くらいなんでしょうね~、70歳は超えてらっしゃると思うんですけど、サウナ入ってる人は元気ですよ。いまだに夜遊びしてますもん。
たまに錦糸町の街で見かけるんですけど、若いネーチャン連れてます。『THE 錦糸町』と『SAUNA GARDEN錦糸町』は、ボク自身が〝あったらいいな〟というモノを作りました。屋上でバーベキューやりながらサウナあったらいいなっていうのがずっとありまして。
まぁこれを作って、最悪お客さんが来なくても、ボクが楽しめればいいやっていうね。
でも、常連さんはあんまり興味示さないんですよね。オープン直後は「レセプションで無料で入れるんですよ」って紹介したんですけど「オレは下で満足だからいいや!」っていう常連さんばっかりで。
硬派すぎだろって!
今後も実は計画が進行してまして。この本が出る直後くらいにはオープン予定なんで、ぜひ書いてほしいんですけど『120℃ 浅草橋 NETU』っていうお店。
簡単にいうと『エニタイムフィットネス』のサウナ版みたいな。会員制月額5980円で、あとは何度でも入れるサウナ。
サウナがブームでも〝行こう〟って決めていく人がほとんどだと思うんですよね。でもそうじゃなくて、10分だけでも時間が空いたから、ちょっと一発だけ汗かくために寄っちゃおうとか。行きたくなったら、いつでも入れる、そんな気軽に入れる身近なサウナを作ります。
『120℃ NETU』でブランド展開していく計画ですが、まぁウチのサウナ50年の集大成ですね。
やっぱり細かいこと考えずに、楽しむのがサウナじゃないですか? 理屈じゃなくて最短最速で汗かけて、気持ちよくなれるのがサウナだと思うんです。
最近は〝ととのう〟とかいって、そのためにサウナに入ろうとする人もいますけど、それはちょっと違うんじゃないかなと。
ボクは3歳からサウナ入ってますけど、ととのったとか考えたことは一度もねェやって!
サウナーたちの伝説のバイブル復汗!SJ MOOK『Saunner+(サウナープラス)』
サウナを愛してやまない「サウナー」のための本、現在のサウナブームの火付け役となった伝説のサウナ専門誌『Saunner』(2014年、小学館刊)が、7年の時を経てついに復汗(刊)! コロナ禍による危機を超え、ブームを超え、日本のサウナの未来を考えるというテーマのもと、パワーアップして再登場!
定価1320円(税込)
B5判/132ページ
https://www.shogakukan.co.jp/books/09104252
取材・文/カーツさとう