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「土用の丑」の日にうなぎを食べるのはなぜ?

2021.07.16

うなぎは昔から、夏に精力をつけられるといわれる食べ物です。そして、『土用の丑の日』に食べることが一つの風習ともなっています。なぜこの日に、多くの人がうなぎを食すようになったのでしょうか。その起源などについて掘り下げていきましょう。

「土用の丑の日」をおさらい

『土用の丑の日』と聞くと、自然と『うなぎ』を連想する人は多いでしょう。それほどこの日とうなぎには関連性が強く印象づけられています。

ところで、土用の丑とはいったいいつを指すのでしょうか。起源を探る前に、おさらいしておきましょう。

「土用」とは

『土用』を曜日の『土曜』だと誤解している人は少なくないようです。しかし、文字をよく見れば分かるように、土用と土曜は全く違うことを意味しています。

土用は、『五行にもとづく暦の雑節で、1年のうちの四立(立春・立夏・立秋・立冬)のそれぞれ直前約18日間』を指すとされている期間です。

五行とは『あらゆるものが木・火・土・金・水からなる』という中国古来の思想があり、ここに四季を割り当て、春に木気、夏に火気、秋に金気、冬に水気を割り当てました。

残った土気は、季節が変わりゆく期間とされ、これが『土用』の起源です。つまり土用とは『立春・立夏・立秋・立冬の直前の18日間』で、1年に4回訪れます。

そのうち『夏土用』は7月19日~8月6日です。

「丑の日」とは

丑の日は十二支の『子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥』の『丑』にあたる日のことを表します。

つまり『土用の丑の日』とは、『土用の18日の中にある丑の日』と言い替えられます。多い年では2回、少なくとも1回はやって来るのです。

ちなみに2021年は7月28日、22年は7月23日、23年は7月30日となっています。

参考:暦Wiki/季節/雑節とは? – 国立天文台暦計算室

なぜ「うなぎ」を食べるの?

(出典) photo-ac.com

土用の丑の日がいつか理解したところで、なぜこの日にうなぎをこぞって食べるようになったのか疑問が残ります。

その由来には諸説あるようです。その中から代表的なものをピックアップして紹介します。

江戸の学者・平賀源内の発案説

評判が上がらず売り上げが少なく困っているうなぎ屋の店先に、平賀源内が『本日土用丑の日』と看板を掛けてやったことで話題を呼び、繁盛したという説があります。

平賀源内は1728年に現在の香川県で生まれた江戸中期の発明家として知られ、20代で長崎に渡り、医学やオランダ語などを学んだとされる人物です。

そんな平賀源内が繁盛させたお店の評判がどんどん広がり、『土用の丑の日にはうなぎを食べる』という風習が定着したといわれているのです。

他にもある諸説

江戸後期に活躍した狂歌師であり戯作者でもある『大田南畝(おおたなんぽ)』、別名・蜀山人に由来しているという説もあります。うなぎ屋『神田川』の依頼で、『土用の丑の日にうなぎを食べたら病気にならない』という筋立ての狂歌を作り宣伝したというものです。

さらに別の説もあります。1818~31年までの文政年間のある年、大名は神田泉橋通りのうなぎ屋『春木屋善兵衛』に、大量の蒲焼を注文しました。

作り切るには3日間が必要だったため、『子の日』『丑の日』『寅の日』にわたって作業したそうです。そのうち、丑の日に作ったものだけが悪くならなかったことから、丑の日のうなぎを食べる風習が生まれたというものです。

暑い夏を乗り切るため

夏の暑さは、食欲を奪われたり体力が落ちやすくなったりしてしまう季節です。うなぎは古来より、栄養価がとても高く、庶民がスタミナ補充をするに適した食べ物といわれてきました。

江戸時代には、川で獲ったうなぎを食べる習慣ができあがっていたようです。それ以来、夏を乗り切るための食材として口にされるようになったといわれています。

「う」が付く食材だから

春・夏・秋・冬のそれぞれの土用に、十二支の最初の文字がつく物を食べていたという説もあります。

春は『戌の日』に『い』のつくものを食べました。例えばいわしやイモ、インゲンなどが挙げられます。秋の土用では『辰の日』に『た』のつくものが選ばれ、ダイコンやタマネギを口にしたとされています。

冬の土用では『未の日』に『ひ』から始まる食べ物を選んだようです。ひじきやヒラメがそれにあたります。

そして土用には『丑の日』が該当し、『う』から始めるものを食べました。その代表的な食材がうなぎだったのです。

「土用の丑の日」うなぎ以外の食材

(出典) photo-ac.com

うなぎだけと思われがちな土用の丑の日にふさわしい食べ物ですが、それ以外にも見つけられます。そのうち、二つの食材を紹介しましょう。

土用しじみ

しじみの旬は年に2回、夏と冬に訪れます。冬は、厳しい寒さに耐えられるように、十分なエネルギーを蓄えているため、食べ頃だとされているのです。

一方、夏のしじみは、産卵期を前にして栄養価がとても高い状態にあります。そのため、夏バテ防止のために『土用しじみ』として食べられていたのです。

土用餅

あんころ餅を土用に食べることを『土用餅』といいます。関西や北陸地方では、現在も残る風習です。

その昔、宮中ではガガイモの葉を煮出した汁で、餅米の粉を練り丸めた餅を作っていました。それを味噌汁の具材として、土用の入りに食べる慣わしがあったとされています。

江戸時代になるとこの風習に変化が現れました。餅を小豆餡で包み、あんころ餅として土用に食べるようになったことが土用餅の起源です。

構成/編集部

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