ブックライブ「理想の父親」「理想の夫」に関する意識調査
父親や夫に求められる役割は、時代によって微妙に変化する。では令和3年の今、どんなタイプの父親・夫が世間からロールモデルとされるのだろうか?
そんな「理想の父親」「理想の夫」に関する意識調査がこのほど、総合電⼦書籍ストア「ブックライブ」により、マンガ好きの会員4,384名を対象にして実施された。
【1】「理想の⽗」の条件、「家族やパートナーを⼤切にしている」「優しい、包容⼒がある」が全年代で2トップ
20代以下から50代以上のすべてのユーザーにとって1位「家族やパートナーを⼤切にしている」、2位「優しい、包容⼒がある」となった。「理想的なお⽗さん」であるためには、家族を⼤切にすることと、優しいことは必須の条件といえる。
男⼥ともに現役で働く世代である20代以下では「経済⼒がある、⽣活に余裕がある」が5位と、ほかの世代に⽐べて下位の⽅にランクインしているのに対し、30代では4位、40代と50代では3位と、世代が上がるにつれて上位の⽅へと移っており、さらに50代以上では「仕事に熱⼼、勤勉」が5位にランクインするなど、「経済⼒」や「働き⽅」に対する世代別の価値観があらわれている。
【2】⼀⽅、「理想の夫」の条件では、⼦育て真っ盛りの40代から「家事ができる」が切望の声
⼀⽅、「理想的な夫」のイメージもまた「理想的なお⽗さん」と同じくすべての年代で1位「家族やパートナーを⼤切にしている」、2位「優しい、包容⼒がある」となった。その中で、⼦育て真っ盛り、もしくはやや落ち着いた世代にあたる40代では「家事ができる」がランクインしており、人々の家庭⽣活への切実な思いが感じられる。
【3】今年の「⽗の⽇」にプレゼントを贈る予定は「あり」が約4割
今年の「⽗の⽇」には約4割がプレゼントを贈る予定があると回答した。⽗親が近くに住んでいたり、同居している⼈の中では「⼀緒にケーキを⾷べる」「外⾷をする」といった意⾒も⾒られましたが、遠⽅に住んでいたり、コロナ禍で会いづらいと感じている⼈の中には「メッセージカードを贈る」「ビデオ通話をする」といったコメントがあった。
【4】理想の「お⽗さん・夫」キャラ⼥性1位は⿓(『極主夫道』)︕
■⼥性1位:⿓
https://booklive.jp/product/index/title_id/540285/vol_no/001
作品名︓極主夫道(おおのこうすけ/新潮社)
作品紹介︓元・最凶ヤクザが選んだのは、主夫としての道だった――。話題の新鋭作家がおくる、アットホーム任侠コメディ。
<投票者の声>
・あの愛妻家っぷりと主夫スキルはすごい︕︕(30代・⼥性)
・料理上⼿で⾒た⽬と反して家族想い。そのギャップがいい。(30代・⼥性)
・とにかく愛妻家、家族の事をダントツ1番に考えてくれてるところ。(40代・⼥性)
・家族愛があって家事が何でもできるところ(50代以上・⼥性)
⼥性ユーザーからの投票数1位は断トツで⿓(『極主夫道』)となった。⽟⽊宏が⿓を演じた実写ドラマや、⼈気声優の津⽥健次郎がキャラクターボイスを務めたアニメでも話題となった。
元は最凶と恐れられたヤクザでありながら、結婚後は専業主夫に転⾝し、抜群の家事スキルで働く妻を⽀える⼈物だ。投票したユーザーからはその家事スキル以上に、パートナーを⼤事にする⿓の「愛妻家」という⾯が高く評価され、1位となった。
続いて⼥性からの投票数が多かったキャラクターは、2位が野原ひろし(『クレヨンしんちゃん』)だった。「家族を愛していて、仕事も⼀⽣懸命。⼦供にも妻にも良い⽗親であり、パートナーだから(30代・⼥性)」「妻のみさえに尻に敷かれているようにみえるけれど、事件が起きた時は家族を守ろうと頼もしい⼀⾯をみせるところ(30代・⼥性)」と、こちらも家族を⼤切にする優しさと、ここぞという時に家族を守る頼もしさが⾼ポイントにつながった。
3位は、⻩昏(『SPY×FAMILY』)だった。「頑張って良い⽗になろうとしているところが良い(30代・⼥性)」「⾃分が娘のアーニャだったら毎⽇楽しそう(10代・⼥性)」など、本当の姿は凄腕スパイでありながら、任務のためにつくった偽の家族の“本当の⽗”になろうとする様⼦を微笑ましく感じる声が寄せられた。
■男性1位:野原ひろし
https://booklive.jp/product/index/title_id/8980/vol_no/001
作品名︓クレヨンしんちゃん(⾅井儀⼈/双葉社)
作品紹介⽂︓“嵐を呼ぶ幼稚園児”、野原しんのすけ︕ あのおバカは永遠に⽌まらない!? お買い物好きの⺟ちゃん、ハイレグ&⼥⼦⼤⽣に弱い⽗ちゃん、幼稚園には⾵間くんやネネちゃん、激バトルが続く吉永&松坂先⽣もいて、毎⽇が⼤騒動︕ 嵐を呼びっぱなしの幼稚園児、しんちゃんの活躍ぶりをご覧ください︕
<投票者の声>
・等⾝⼤の⽗親のように⾒えるが、実際はひろしのようにはなかなかなれないと思う(30代・男性)
・連載初期の頃は今とは価値観が違っていたので、ひろしさんはやれ安⽉給といじられていましたが、今のご時世からしたら相当にしっかりしている御仁です。どこか抜けていても、決める時は決める所もまた魅⼒(30代・男性)
・庭付き⼀⼾建て、お⼦さん⼆⼈に、妻は専業主婦なんてすごい(40代・男性)
・平凡そうだが、家族を守ることに⼀⽣懸命だから(50代以上・男性)
男性からの投票1位は野原ひろし(『クレヨンしんちゃん』)となった。⽗親のキャラクターとして⻑年、男性から厚い⽀持を得ている彼はもはやレジェンド級の⼈気だろうか。作中では⾜がクサく、妻のみさえに尻に敷かれがちな平凡な⽗親として描かれているが、⼀⼾建てのマイホームとマイカーを所有する安定した経済⼒と、いざという時に家族を全⼒で守る信頼の厚さが⾼評価につながっており、「実際はひろしのようにはなかなかなれない」など、称賛する声が集まった。
2位は、荒岩⼀味(『クッキングパパ』)だった。ごくごく普通のサラリーマンながら料理の腕はとびっきり、家族をはじめ周囲の⼈々においしい料理をふるまう“元祖”家事メンだ。
「仕事と家庭の両⽴を上⼿にしている(30代・男性)」「家庭内、世間体、完璧すぎない、ちょうど良さがいい(30代・男性)」と、そのバランス感覚の良さを評価するコメントが多く寄せられた。
3位は島耕作(「島耕作」シリーズ)と、意外なキャラクターがランクイン。(⾃⾝も不倫をしていながら)妻の不倫をきっかけに別居を切り出され離婚、その後60代まで独⾝という経歴を持ちながらも、「仕事、遊び、⾒た⽬全て完璧︕(30代・男性)」「楽しく⽣きている(50代以上・男性)」「彼のようにいろんな⼈⽣経験をしてみたい(50代以上・男性)」など、その⾃由にのびのびと⼈⽣を謳歌する姿に憧れる⼈も多いようだ。
【5】マンガ好きが選んだ、世の「お⽗さん」や「お⽗さん世代」におすすめのマンガ3選
続いて「世の『お⽗さん』や『お⽗さん世代』に読んでもらいたい、おすすめしたいマンガは何ですか︖」という質問に寄せられた回答を紹介する。
■『ミステリと⾔う勿れ』
https://booklive.jp/product/index/title_id/484330/vol_no/001
作品名︓ミステリと⾔う勿れ(⽥村由美/⼩学館)
作品紹介︓解読解決⻘年・久能整が謎も⼈の⼼も解きほぐす、新感覚ストーリー。カレーが⼤好きな⼤学⽣・久能整。ある⽇、⾃宅にいきなり刑事が訪れて、同級⽣殺害事件の容疑で警察署に連れて⾏かれてしまう。そこで、次々に容疑を裏付ける証拠が突きつけられていくが――!?
<投票者の声>
・⼥性が男性に知って欲しいと思っていることを代弁してくれている。そしてそれを漫画の中で⼥性ではなく主⼈公の男性が⾔っているというのが良い。(20代・⼥性)
・現代の慣習や決まり事に等にとらわれない、それを打ち破るような考え⽅や⾔葉には思わず「なるほど」と⾔わしめる⾯⽩さがある、(お⽗さんたちには)またそれを⾯⽩いと思う⼈であってほしい。(30代・⼥性)
・⾃分は⺟におすすめしたが、本当は⽗にこそ読んでほしい作品。主⼈公のおじさんへの厳しく的確な発⾔に考えさせられてほしい。(30代・⼥性)
■『⾚ちゃんと僕』
https://booklive.jp/product/index/title_id/173731/vol_no/001
作品名︓⾚ちゃんと僕(羅川真⾥茂/⽩泉社)
作品紹介︓榎⽊家にはママがいない。パパと⼩学⽣の拓也と⾚ちゃんの実の3⼈家族。わがままいっぱいの2歳児は泣いてばかりで、お兄ちゃんはもう⼤変︕
<投票者の声>
・兄弟愛と親⼦愛がたくさん詰まっていて、読むと家族の有り難みを感じることができるし、優しい気持ちになれる(30代・⼥性)
・育児に奮闘する⼩学⽣男⼦。家族の絆にじんとくる1作。(40代・⼥性)
・話が⾯⽩いだけでなく、その中で主⼈公の⽗親が頑張っている部分も描かれているので、家族に対して優しくなれると思います。(30代・男性)
■『⻤滅の刃』
https://booklive.jp/product/index/title_id/381332/vol_no/001
作品名︓⻤滅の刃(吾峠呼世晴/集英社)
作品紹介︓時は⼤正時代。炭を売る⼼優しき少年・炭治郎の⽇常は、家族を⻤に皆殺しにされたことで⼀変する。唯⼀⽣き残ったものの、⻤に変貌した妹・禰⾖⼦を元に戻すため、また家族を殺した⻤を討つため、炭治郎と禰⾖⼦は旅⽴つ!!⾎⾵剣戟冒険譚、開幕!!
<投票者の声>
・家族を守るために強く⽣きる主⼈公に⼼を強くうたれるはず︕(30代・⼥性)
・主⼈公や周りのキャラが、⾃分だけのためではなく、⻤に家族を奪われる経験をもう他の⼈にはさせたくないと、他⼈のことを考えながら戦う気持ちを家族に教えてほしい。(30代・⼥性)
・⼈の思いや繋がりを⼤切にした話は⼤⼈が読んでも胸を打たれるし、⼦どもとの共通の話題にもなるから。(50代以上・男性)
■ブックライブ書店員すず⽊さんのコメント
以前までは、本当は家族を⼤事にしていながらも、「(⼤切に思うからこそ)厳しい⽗親」や、「(家族の幸せのために)仕事に打ち込む⽗親」が格好良く描かれることの多かった「⽗親」像でしたが、最近は「家族を⼤事にする」側⾯が前に出た⽗親キャラが多くなりました。
そんな中、野原ひろしが⻑年脚光を浴びているのは、連載当時から妻であるみさえをはじめ、家族を⼤切にし続けているからこそ、今の⽀持につながり、もはやレジェンド級の⽗親像として知れ渡っているのかもしれません。
愛妻家な男性が⼈気というのは、昨今⼈気のジャンル「溺愛マンガ※」と通じるところもあります。『極主夫道』の⿓も、不器⽤ながらも妻を⼤切にしていることが評価されており、さらにこのコロナ禍で家族というコミュニティの絆がこれまで以上に必要となる中で、男性が家族やパートナーへ愛情を伝えることの⼤切さを表しているといえます。
※溺愛マンガ…主⼈公のヒロインが、お⾒合いなどを通して出会った恋⼈や夫となる男性から、溺愛されるストーリーの恋愛マンガ。web広告を中⼼に⼈気急上昇中のジャンル。
【ブックライブ書店員すず⽊とは】
総合電⼦書籍ストア「ブックライブ」で働くプロ書店員。2005年より電⼦書籍サイトの運営に携わり、年間に読むマンガの冊数は2000冊以上。「⾯⽩いマンガを多くの⼈に読んで欲しい」をモットーに、「ブックライブ」でおススメのマンガを紹介し続けている。
▼毎⽉すず⽊が注⽬する新作マンガを紹介する特集「⽉刊書店員すず⽊」
https://booklive.jp/feature/index/id/tk_osusume
<調査概要>
・調査タイトル︓令和の「⽗の⽇」に関する意識調査
・調査⽅法︓ブックライブ会員に対してアンケートメールを送付。フォームより回答
・調査対象︓過去半年以内にマンガジャンルの作品を購⼊したブックライブ会員
・有効回答数︓4,384⼈
・調査時期︓2021年5⽉15⽇〜5⽉17⽇
出典元:株式会社BookLive
https://www.booklive.co.jp/
構成/こじへい