2020年に日本に初上陸したGPSスポーツウォッチブランド「COROS(カロス)」。軽量で高コスパのモデルが人気となり、日本での認知度もグッと高まっている。そのカロスから運動中に血中酸素濃度が計測できるハイスペックモデル「エイペックス プロ」が登場した。
デジタルダイヤルを使用した独特な操作感
3ボタンを搭載したシンプルなデザインにほぼフルスペックな機能を詰め込んだ「カロス エイペックスプロ」。特徴は真ん中のボタンをクルクル回すことで操作するデジタルダイヤルになっているところ。一般的なスポーツウォッチは操作をする際には、ボタンを長押しするのが常だが、この時計はこのダイヤルを回すことでロックが解除できる。
2回転ほど回す必要があるので、誤作動の心配はなく操作しやすい。PCのトラックボールに近い感じかもしれない。このダイヤルはページ送りや地図の拡大縮小などにも使用。直感的に操作できるので、思ったよりもすぐに慣れることができる。
見た目の部分でいえば、ウオッチフェイスも約50種類の中から、自由に選ぶことができる。奇抜なものも多いが、ビジネスシーンで使ってもおかしくないシンプルなものまで、さまざまなものが準備されている。実際のところよく使うものは5種類くらいなので、十分な数だといえるだろう。
時計のサイズは51.7 x 47 x 14.6mm。多くのGPSスポーツウォッチよりもわずかに小さいくらい。トレイルランやトレッキングなど、ハードな環境で使用されることを想定してディスプレイはDLCダイヤモンドガラス、ベゼルはTC4チタン合金を採用した頑丈なつくり。
ケースの裏面はアルミニウム合金、側面は軽量なポリマー素材で軽さと丈夫さとのバランスが考えられている。シリコンバンド込みで約59gという重量は時計としてはほとんど重さを感じないレベル。実際にスポーツシーン、普段づかい、就寝中などで試してみたが邪魔になることがなかった。
ケースの裏側には運動強度の計測に必要な光学心拍センサーを装備。そのほか、加速度センサー、気圧センサー、コンパス、ジャイロスコープ、温度センサーなども内蔵してあり、使いこなせないほどのセンサーが充実している。
これらに加えて採用されているのが、血中酸素濃度を計測するSpO2センサー。今は多くのスポーツウォッチに搭載されているので、機能そのものは特に珍しいものではないが、この時計はスポーツのシーンにおいて、安全性を高めるために測れるところがかなり新しい。ただし標高2500m以上の地点で、高所順応しているかどうかを確認できるというかなりハイスペックなもの。心拍数とも連動していて、高度に順応していないと判断されるとアラームで知らせてくれる。
あまり普通の人には使う機会がないかもしれないが、ほかのスポーツウォッチに搭載されているこの機能は「ただ計測できるだけ」のもの。結局、数字を眺めるだけでしかない物が多い。それに比べると血中酸素濃度を「実際に使える」ものになっているところは良心的だといえる。
実際に走って使用してみた
標高2500mの地点でテストを行いたいところだったが、それもなかなか難しいので、日課としている1回10㎞ほどのランニングでテストをしてみた。
使ってみてまず感じたのは、バッテリーのもちがいいところ。カタログ的にはGPSをフル稼働した際は40時間、GPSの機能を抑えた「長稼働モード」で75時間、日常的に使用する分には30日間稼働となっている。しかし、1週間の間に2回、各1時間ほどランニングで使用してみたが90%ほど充電が残っている状態。カタログスペックよりもバッテリーのもちがいいのにも驚いたし、充電についてほとんど気にしなくていいのは本当にストレスがない。
またランニング中のペースを知るために必要な「位置の捕捉」が、GPSのほか、みちびきにも対応しているため、早いのがうれしい。一般的にこのような時計は、自分の位置が捕捉できたときにはじめて、ランニングモードがスタートできる。あまり捕捉スピードが速くないものだと、1分くらいその場で捕捉されるのを待つこともあるが、この時計は20秒ほどで捕捉されるのでストレスがない。
GPSの捕捉スピードの速さのほか、距離計測の正確さも高い。GPSの正確さに不安があるモデルだと、400mのトラックを走った際にキレイな楕円の軌跡を描くことができないが、APEX PROは同じトラックを何周しても正確に距離を計測してくれる。
内蔵された加速度センサーにより、ピッチやストライドの幅なども計測可能。長期間ランニングを続けて、これらの数値を継続的に追いかけていくと、自分のランニングの成長具合が把握しやすい。
スマホなしでもナビ機能が使える
アウトドアスポーツを楽しむ際に起きるトラブルは色々とあるが、「道に迷う」というのもよくあるトラブルのひとつ。自転車屋ランニングなら、まぁ軽いトラブルかもしれないが、トレッキングやトレイルランでは命に関わることもある。APEX PROは時計自体に地図データを取り込むことができるので、スマホなどを取り出して地図を確認しなくてもルートの確認ができる。
地図作成サイトで「GPXデータ」を作成し、それをカロス専用アプリに取り込んで、さらに時計にダウンロードする必要がある。実際にルートを作ってみたが、正直なところちょっと面倒ではある。いずれは専用アプリで簡単にルートが作成できるようになるのだと思うが、早々のアップデートを期待したい。
ただ一度作成してしまえば、時計のモニター上に進むべきルートが表示されるし、ルートを外せばアラームなどで知らせてくれるので山ではかなり便利に使える。
軽量でロングバッテリー、GPSが正確、血中酸素濃度計測、ナビ機能など機能は盛りだくさん。おまけにデジタルダイヤルで直感的に操作もできる。かなりお得感が高いGPSスポーツウォッチといえるだろう。
COROS(カロス) エイペックス プロ
価格:6万1490円
https://mobilejp.coros.com/
今 雄飛(こんゆうひ):ミラソル デポルテ代表。スポーツブランドのPR業務を行うかたわら、自転車、トライアスロン、アウトドア関連のライターとしても活動中。趣味はロングディスタンスのトライアスロン