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『コロンブスの卵』は、日常会話で聞きなじみのない言葉ですが、正しい意味を理解することで語彙力が向上し、会話の表現の幅が広がります。由来や使い方、具体的な例文について紹介するので、状況に合わせて使ってみましょう。
「コロンブスの卵」とは?
『コロンブスの卵』には、どのような意味があるのでしょうか?会話の中で使えるように、正しい意味と解釈について解説します。
「最初に行うのは難しい」という意味
『コロンブスの卵』とは、一見簡単そうに見えたり誰でもできそうだったりすることも、最初に行うのは難しいという意味があります。
誰かが成功させた後に続いて実行するのは、すでに解決策が分かっているため容易にできるでしょう。しかし最初に行う場合、思いもよらないトラブルに遭遇する可能性もあります。前例がない状態で、手探りで成功へのルートを探し出さなければなりません。
未達成な事柄を成功させるのは、実は非常に難しいということを例える場合は、『コロンブスの卵』を使用してみましょう。
参考:コロンブスの卵(コロンブスのたまご)の意味 – goo国語辞書
「他人が気付かない盲点」という解釈も
誰でも思い付きそうなことでも最初にやり遂げるのは難しく、成功に導くためにはルールの範囲内で柔軟な発想力を持って取り組む必要があります。このことから、『コロンブスの卵』は逆転の発想や他人が気が付かない盲点という意味としても捉えられるようになりました。
例えば、ビジネスシーンにおいて営業成績が伸び悩むこともあるでしょう。そんなとき少し視点を変えてみるだけで、契約に至る場合があります。
従来の営業プロセスに捉われず、顧客とのやりとりの中に課題がないか洗い出して、自分なりのアイデアを用いて成果につなげることができたのなら、そのアイデアは『コロンブスの卵』になり得るでしょう。
「コロンブスの卵」の由来
『コロンブスの卵』の語源とされる説は二つありますが、それはどのような説なのでしょうか?コロンブスとブルネレスキについて、それぞれの逸話を詳しく解説します。
コロンブスの逸話
『コロンブスの卵』は、イタリアの探検家であるコロンブスが新大陸を発見した後に、スペインで貴族のパーティーに出席した際の出来事が由来だといわれています。
パーティーでコロンブスは「自国には優れた人材が豊富なので、あなたじゃなくても新大陸の発見は誰にでもできる」と中傷されました。そこでコロンブスは、置いてあった卵をテーブルに立てるように指示しましたが、中傷してきた誰にもできませんでした。
しかしコロンブスは、卵の尻をテーブルで潰して立てて、全員の前で卵を立てることに成功しました。新大陸の発見も卵と同じで、誰かが成功した後であればやり方は理解できるものの、最初に思い付いて実行することが重要で難しいことを説いたのです。
「ブルネレスキの卵」という説も
コロンブスの逸話が由来だとされる『コロンブスの卵』ですが、イタリアのベンゾーニという人物がコロンブスの偉業を脚色した、作り話であるという説もあります。そこで、本来は同時代に活躍した『フィリッポ・ブルネレスキ』という、イタリアの建築家の逸話が由来であるともいわれています。
ブルネレスキはフィレンツェの教会を建設するコンペの際に、計画や図面すら見せずに「私に建設を任せてください」と提案しました。他の建築家が猛反発したので、ブルネレスキは『卵を大理石の上に立てられた建築家に任せましょう』と提案し、その場の誰も卵を立てられませんでした。
しかしブルネレスキは、卵の底を潰して大理石に立ててみせて、他の建築家は『そんな方法なんて知っていればできた』と批判しましたが、ブルネレスキは『その通り、最初にやるのが最も難しく、もし計画や図面を見せていれば、皆さんは真似をしたでしょう』と発言しコンペを勝ち取ったという説があります。
日本で使われるようになったのは?
『コロンブスの卵』が実際に日本で使われるようになったのは、いつ頃なのでしょうか?日本で紹介されて広まったタイミングについてご紹介します。
戦前の教科書で紹介されていた
『コロンブスの卵』は1990年代からすでに日本で紹介されており、戦前の1921年に発行された『尋常小学国語読本』という国語の教科書に掲載されています。
『尋常小学国語読本』では、4年生用の教材として、『コロンブスの卵』という言葉の意味や由来となったコロンブスの逸話を紹介しています。
戦前から日本の教科書で紹介されるほどの有名な言葉で、非常に使いやすく教訓としての意味があるので、日常会話などでも積極的に取り入れてみましょう。
「コロンブスの卵」の使い方
コロンブスの卵は、使用する場面が限られていますので、正しい使い方を理解しましょう。実際に使える具体的な例文も紹介します。
「コロンブスの卵」を使うシーン
『コロンブスの卵』は、誰もが思い付きそうで思い付かなかったようなアイデアや、他人が気付かない盲点をついた発見や発想に対して使われます。
例えば、すでに計算式が確立されている簡単な計算問題を、そのまま計算式を用いて解答しても『コロンブスの卵』は使いません。
しかし、既存の計算式を使用せずに、簡単そうに見えて思い付かないような、意表をついた解答をしたときに『コロンブスの卵』という言葉が使われます。
「コロンブスの卵」を使った例文
『コロンブスの卵』を日常生活で実際に使える例文を紹介します。状況に合わせて言葉をアレンジして、使ってみましょう。
- 近年はIT技術を用いた、簡単に見えて斬新なコロンブスの卵のようなサービスが続々と開発されている
- 長らく試行錯誤していても分からなかった問題が、一瞬で解決してしまうコロンブスの卵のようなアイデアは、日常にも溢れている
- ビジネスを成功させるためには、コロンブスの卵の精神で、同じことばかりではなく新しい発想のノウハウを見つけるべきである
構成/編集部