米アップルの開発者向け会議「WWDC21」では、iOS 15やmacOS Montereyのようなソフトウェアの刷新だけでなく、ユーザーを支援するさまざまなサービスや仕組みが紹介された。
ユーザーのプライバシーを第一に
https://www.apple.com/jp/newsroom/2021/06/apple-advances-its-privacy-leadership-with-ios-15-ipados-15-macos-monterey-and-watchos-8/
アップルはユーザーのさらなるセキュリティ向上のために、「iCloud+」という新たなサブスクリプションを導入する。そのメイン機能のPrivate Relayでは、ウェブブラウジングに関するすべてのトラフィックを暗号化することで、他者からのトラッキングを防止する。
また「メールを非公開」という機能では、ユーザーがいつでもランダムのメールアドレスを生成できる。このメールアドレスに届いたメールはユーザーのプライベートなメールアドレスに転送されることになる。
HomeKitセキュアビデオも拡張され、さらに多くのセキュリティカメラに接続できるようになる。またビデオ映像のための暗号化されたストレージも用意され、このストレージはiCloudの契約ストレージ容量にはカウントされない。
ヘルスケアデータ共有から歩行支援まで
https://www.apple.com/jp/newsroom/2021/06/apple-advances-personal-health-by-introducing-secure-sharing-and-new-insights/
近年アップルはヘルスケア機能の拡充に注力しているが、その一環としてヘルスケアデータの共有機能が提供される。これにより、医師や大切な人に自分の健康データを安全に見せることが可能となり、有意義なアドバイスを受けることができる。
また、自分が正しく歩行できているかを知る「歩行安定性」も導入される。これによりユーザーは転倒リスクを知ることができ、自分から積極的に対策を取れるようになる。
「トレンド」では、安静時心拍数から睡眠、心肺機能にいたる20種類のデータを分析し、自分の健康状態がどのように推移しているのかを知ることができる。
アプリ開発から公開までを一本化
https://www.apple.com/jp/newsroom/2021/06/apple-introduces-new-developer-tools-and-technologies-to-create-even-better-apps/
開発者向けの支援も多数発表された。例えば今年後半に配布される「Swift Playgrounds 4」では、ユーザーは「SwiftUI」を利用したアプリケーションのビジュアルデザインが作成できる。さらに、実際にアプリケーションをビルドしてiPadからApp Storeに提出することも可能だ。
「RealityKit 2」では、iPhoneやiPad、またはデジタル一眼カメラで撮影した写真から、AR向けに最適化されたフォトリアルな3Dモデルを作成することができる。これにより、ARを活用したアプリケーションの開発がさらにはかどることだろう。
これらのソフトウェアやサービスは目立つものではないが、ユーザーの利便性、そしてなによりも安心感を向上させてくれることだろう。
文/塚本直樹