5G対応、デュアルSIM、おサイフケータイ付きで4万円ちょっと!OPPOの超コスパスマホ「Reno5 A」の実力検証
2021.06.11■連載/石野純也のガチレビュー
OPPOから、ど真ん中のミドルレンジモデルが登場した。「Reno5 A」がそれだ。この端末は、おサイフケータイに対応し、コストパフォーマンスの高さで人気を誇った「Reno A」シリーズの最新モデル。日本市場向けにカスタマイズされた点は同じで、Reno5 Aもおサイフケータイや防水、防塵に対応。Snapdragon 765Gを搭載しながら、価格は4万円台前半と、コスパのよさは健在だ。
Reno Aシリーズとして初となるのが、5Gへの対応だ。SIMフリー版はドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの4社で5Gを利用可能。デュアルSIM対応で、物理SIMの2枚挿しだけでなく、物理SIMとeSIMでのDSDS(デュアルSIM/デュアルスタンバイ)にも対応する。背面のカメラは、メインカメラが6400万画素と高く、暗所での写りもいい。
コストパフォーマンスの高さと、日本市場への最適化で一躍OPPOの名を全国に知らしめたReno Aシリーズの後継機なだけに、Reno5 Aにも高い注目が集まる。家電量販店に加え、ワイモバイルや楽天モバイルでの取り扱いも決定した。そんなReno5 Aの実機を、一足先に試す機会を得た。その実力をチェックしていきたい。
パフォーマンスの高さは健在、ディスプレイは90Hzで滑らか
ど真ん中のミドルレンジモデルとして人気を博したReno Aだが、Reno5 Aにも、その特徴が受け継がれている。デザインは、背面の左右が緩やかにカーブしており、金属のフレームには高級感がある。ディスプレイの一部に穴を開けたパンチホール型のインカメラを採用しており、ノッチより映像の妨げになりづらい。指紋センサーは、背面カメラの横に搭載されている。背面の光沢も、上質感があり、安っぽさを感じさせない。
同シリーズの代名詞ともいえるコスパの高さは、健在だ。採用したチップセットは、ミドルレンジ上位の端末が搭載するSnapdragon 765G。処理能力が高く、ブラウジングや各種アプリがサクサク動く。Snapdragon 765Gは、ミドルレンジモデル向けのチップセットの中ではGPUの性能が高く、比較的、グラフィックスの処理が重いゲームも十分動く。ベンチマークアプリでのスコアは以下のとおりだ。
CPU、GPUともに、一般的なミドルレンジモデル以上。いわゆるミドルハイの性能だ
ディスプレイは液晶で、コントラスト比は有機ELを搭載したスマホより一段劣るものの、リフレッシュレートは90Hzまで上げることが可能だ。スクロールなどを素早くしても、残像感が少なく、なめらかに見える。ただし、ハイエンドモデルの一部で実装されているような、自動でリフレッシュレートを可変する機能はないので注意が必要。90Hzに設定しておくと、標準の60Hzにしたときより、ディスプレイの書き換え頻度が上がるぶん、バッテリーも消費しやすくなる。
ディスプレイのリフレッシュレートは60Hzと90Hzを選択できる
解像度は、フルHD+。こちらも、ハイエンドモデルのような高解像度ではないものの、近づいて凝視しなければ、文字のドットなどは見えない。同価格帯には、有機ELを採用した端末もあるが、その他の機能とのトレードオフと言えるかもしれない。もっとも、液晶には液晶の利点もあり、明るい場所で見やすかったり、白がキレイに表示できるのは、プラスの評価材料。90Hz対応もあって、ミドルレンジの標準は超えている印象を受けた。
メインカメラは6400万画素で高画質、新軸はないがよくまとまったカメラ
背面のカメラは4眼で、4つのカメラとフラッシュが1つの台座の中に収められている。iPhone 11シリーズ以降のデザインのトレンドを、踏襲した格好だ。メインのカメラは6400万画素。と言っても、6400万画素でそのまま撮影するのではなく、4つのピクセルを1つに束ねるピクセルビニングに対応しており、写真は4624×3468ピクセルで記録される。6400万画素の1/4にあたる、1600万画素相当で撮れるというわけだ。
画素を結合することで、取り込める光の量が上がり、室内などで撮ってもノイズが少なくなるのはメリット。暗所にも強く、ミドルレンジモデルのカメラとしては合格点をつけられる。料理を撮った写真を見ても、ややビビッドに撮れていて、おいしそうに見える。HDRやAIによる補正にも対応。ハイエンドモデルのように飛び抜けた機能はないものの、ソツなくまとめたカメラだと評価できる。
解像感が高い風景写真。料理の写真は、やや暗めだが色のバランスがよく、ミドルレンジモデルとしては優秀
メインカメラのほかには、800万画素の超広角カメラや、200万画素のマクロカメラ、200万画素のモノクロカメラを搭載する。超広角は、画素数が低いためか、ディテールは粗くなるが、歪みが少なく、ダイナミックな写真に仕上がる。画素数は200万画素と低くなってしまうものの、マクロカメラも4cmまで寄って撮影でき、使い勝手がいい。ただし、いずれもメインカメラの画質には及ばない点には注意。こうしたトレードオフがあるのは、ミドルレンジモデルならではと言える。
マクロカメラを使うと、被写体に4cm程度まで寄ることが可能だ
インカメラのスペックは、1600万画素。OPPO独自のビューティーモードが搭載されており、肌の滑らかさや、輪郭の細さ、目の大きさなど、細部に渡って細かく調整して撮影できる。効果をフルにすると別人のようになってしまうが、弱めに設定すると自然な補正がかかる。自撮りをSNSにアップするようなシーンでは、さりげなく加工しておくといいだろう。
インカメラのビューティーモードは、OPPOの得意分野。パーツごとに補正をかけていくことができる
5G対応で転用周波数にも対応、おサイフケータイ対応もうれしい
Reno Aシリーズとして、初めて5Gに対応したのが、このモデルの特徴だ。対応している5Gの周波数帯は、n3/n28/n77/n78の4つ。ドコモの4.5GHz帯であるn79には非対応になる。1.7GHz帯を4Gから5Gに転用したn3や、700MHz帯を転用したn28に対応しているため、どちらかと言うと、auやソフトバンク回線で使うのに適した端末と言えそうだ。この2社は、周波数転用で5Gのエリアを一気に拡大しており、都市部は面でカバーを広げている。
実際、筆者も試用にあたり、ワイモバイルのSIMカードを挿してみたが、都市部では5Gのつながるエリアが非常に広くなっている。東京・渋谷の場合、駅周辺だけでなく、その周りの神南エリアや松濤、円山町あたりまで、途切れず5Gにつながる。周波数転用のため、速度はあまり出ないこともあるものの、駅から東急本店に向かう途中でスループットを計測した際は、300Mbps以上の速度が出ていた。カフェなどの建物内で5Gをつかむケースも増えている。
エリアマップ的には周波数転用のエリア(ソフトバンク)だったが、500Mbps以上の速度が出た
通信面で少々変わっているのが、デュアルSIMの仕様だ。Reno5 Aには、2枚のSIMカードを挿せるが、2枚目のSIMカードスロットはmicoSDカードと排他仕様。SIMカードか、microSDカードのどちらか一方しか利用できない。ただし、2枚目のSIMカードの代わりに、eSIMを利用できる。計3枚のSIMカードが入る仕様だが、eSIMをオンにした場合、物理SIMの2枚目が無効になる。2スロット目として、物理SIMかeSIMのどちらか一方を選べるというわけだ。
最近では、楽天モバイルに加え、KDDIのpovoや、ソフトバンクのワイモバイル、LINEMOのように、eSIMを採用するキャリアが徐々に増えている。デュアルSIMでmicroSDカードが使えないのは、写真や動画などをたくさん撮りたいときの難点だったが、eSIMの採用によって、これが解消された格好だ。ユーザーの利用形態に合わせて、物理SIMとeSIMを選べる点は、使い勝手がいい。
海外メーカーのOPPOだが、Reno Aシリーズでは継続的におサイフケータイに対応している。Reno5 Aも、同機能に対応。モバイルSuicaやiD、QUICPayなど、各種決済サービスを利用できる。防水や防塵に対応しているのも、うれしいポイント。こうした機能は、海外メーカーのミドルレンジモデルだと省かれてしまうことも多いだけに、きちんと搭載してきたところは評価できる。
海外メーカーのミドルレンジモデルとしてはまだ珍しい、おサイフケータイ対応モデル
総じて、Reno Aシリーズの高いコストパフォーマンスは健在。普段使いの端末として、十分な機能を備えながら、価格は4万円台前半とリーズナブルだ。特に、5Gを使いたい場合、ネットワークはauやソフトバンクと相性がいい。2社のサブブランドや、オンライン専用ブランドで使う端末としても、オススメできそうな1台と言えるだろう。
【石野’s ジャッジメント】
質感 ★★★★
持ちやすさ ★★★★
ディスプレイ性能 ★★★★
UI ★★★★
撮影性能 ★★★★
音楽性能 ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★
生体認証 ★★★★
決済機能 ★★★★★
バッテリーもち ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定
取材・文/石野純也
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。