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どう折り合いをつけるべき?子供のいない女性の複雑な心境に寄り添うマンガ「子どものいない私たちの生き方」

2021.06.06

国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」によれば、将来的に女性の3人に1人が生涯子どもをもたないという。

かつては「結婚して子どもを持つ」のが当然の人生コースとみなされていたが、それとは違う道を歩む女性は、着実に増えつつある。その理由は、不妊という不可抗力であったり、人生観によるものであったりなどさまざま。

子どものいない女性の多くの胸中は複雑だ。「お子さんは?」と聞いてくる周囲の声にどう答えるべきか悩み、腫れ物に触るような態度をされるとイラっとくる。一人でいるときは、落ち込んでしまうことも稀ではない。

まんがで読む「子なしさん」たちの心のうち

そうした、子どもがいない女性を応援する「マダネ プロジェクト」を主宰する、くどうみやこさんも、その一人。42歳で罹った子宮の病気で、子どもを断念したという。それ以来、くどうさんは、同じ悩みを抱える約5百人もの女性たちの肉声をくみとり、著書『まんが 子どものいない私たちの生き方: おひとりさまでも、結婚してても。』(小学館)にまとめている。

本書では、実在の「子なしさん」6人の生活と心情がつづられる。ほのぼのとしたタッチのまんが形式だが、内容はずしりと重い。

不妊治療の甲斐なく…

その1人であるミホさんは、結婚歴8年目の41歳。新婚時は「当たり前に妊娠して出産して、子どものいる家庭になるんだ」と思っていたが、4年にわたる不妊治療の甲斐なく「心がヒリつく」日々。勤め先は不妊治療に専念するため辞めており、同年代の子もちママの輪にも入れず、無為に過ごしていた。

マンガの終わりでは、理解ある心優しい夫の言葉に救われ、「目の前にあるものを大切にして、自分の時間を大事にしていこう」と締めくくられる。

夫に子どもいない辛さを打ち明けるミホさん(本書より)

ミホさんのように、子どもが欲しいのに、不妊という理由で授からない子なしさんは少なくない。やり場のない気持ちとどう折り合っていけばいいのだろうか?

くどうさんは、次のように答える。

「ひとりで悩みを抱えていても、なかなか気持ちは晴れません。子どもをもてなかった思いを、誰かに話すことも1つの方法です。信頼できる相手に吐露することで心が軽くなります。あとは、同じ境遇の人と思いを共有することも有効です。人に話すことは、気持ちを放すことにもつながります。手放すと視野が広がり、今後の人生についても冷静に向き合えるようになっていきます」

逆に避けたいのは、「まわりとの比較」だと、くどうさんは本書の中で述べている。それだとネガティブ思考に陥ってしまうので、「足りないものを探すのではなく、目の前にある小さな幸せに気づく」こと。それが前向きな人生への一歩になるという。

仕事一筋に生きて気づけば40代

もう一人、本書に登場するリョウコさんは44歳。32歳でプロポーズされたことがあるが、仕事を優先した。

以来、ずっと独身だ。

周囲からは「キャリアウーマン」とみられており、本人も「家事も得意じゃないし、子どもを育てる自信もない」と非婚に前向きのよう。しかし、「お正月、家族連れの多さに孤独を感じたり」など、不安と同居するような状態。

そんなリョウコさんだが、同期の友人の言葉で、「独立」して仕事をすることを視野に。「その人の得意なこと、好きなことをやっていけたら、それでいいのだ!」という気づきを得る。

40代半ばの「独身は気楽」は本当だろうか?

少し古いデータになるが2015年国勢調査では、女性の生涯独身率は約14%で、今後も増加傾向。リョウコさんのケースは決して珍しいものではない。また、本書にはミサキさんという、結婚はしていても「子ども欲しいって思ったことなくて」と打ち明ける女性もいる。

「子なしさん」になったのは本人の意思だが、本当にそれでいいのか迷い、精神的な負担をいつも感じる…そんなふうに悩む女性たちに対して、くどうさんは、こう言葉を投げかける。

「何を手にして、何を手放すか。近年は、取捨選択して人生をカスタマイズする生き方が広がっています。自らの意思で子どもを持たない選択をすることは、世間ではまだマイノリティ。時には周囲から理解を得られないこともありますが、大切なのは世間の基準ではなく自分軸です。人生は“子どもがいてこそ完成形”ではありません。『私は私』という考えを大事にしていきましょう」

くどうさんは、本書の終わりで「子どもがいないことを卑下するのではなく、前向きに自分らしく歩んでいってほしい」とエールを送る。もしも、子どもがいないことで悩んでいるなら、本書をいちど読まれることをすすめたい。きっと得るものは多いはずだ。

くどうみやこさん プロフィール
大人ライフプロデューサー/トレンドウォッチャー。東京都生まれ。大人世代のライフスタイルからマーケティングまで、時流やトレンドをとらえた独自の視点で情報を発信。近年は、自身の体験から子どもをもたない大人のマーケットに着目。子どものいない女性を応援する「マダネ プロジェクト」を主宰。著書に『誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方』『誰も教えてくれなかった 子どものいない女性の生き方』(ともに主婦の友社)など。
公式サイト:https://www.kudo-miyako.com/

森下えみこさん プロフィール
イラストレーター/まんが家。静岡県生まれ。コミックエッセイのほか、書籍や広告、雑誌などのイラスト、まんがなどを手がけ幅広く活躍中。単著に『あしたの、のぞみ』、『40歳になったことだし』(幻冬舎)、『今日も朝からたまご焼き』、『独りでできるもん』シリーズ(ともにKADOKAWA)、共著に『えみこ、開運中!』(日本文芸社)、『マンガでわかる「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』(すばる舎)など多数。
Twitter:https://twitter.com/morishitaemiko

文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)

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