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AIの技術で不正を検知!カンニング、なりすまし、替え玉受験を防ぐオンライン試験の不正対策

2021.06.02

近年、オンライン試験が各所で実施されるようになったが、コロナ禍による感染予防策として、さらに実施を始める。しかし、オンライン試験には替え玉受験やカンニングなど不正のリスクがあり、現在、その不正を検知する仕組みやテクノロジーが開発されている段階だ。そこで今回は、オンライン試験の不正についてのことや、進む開発状況について探る。

オンライン試験とは?

オンライン試験とは、試験会場まで足を運ばずに、自宅など遠隔からPCやタブレット、スマートフォンなどを利用して試験を受ける方法だ。

すでに筆記試験と面接試験の両方がすでにオンラインで実施されており、筆記試験ではPCの画面に問題が表示され、選択したり、文字を入力したりして回答する。面接試験では、ビデオとマイクをオンにして自宅などからビデオ会議ツールなどを利用して面接官と遠隔で対面しながら面接を行う。

現在、オンライン試験は大学の受験や定期試験、資格試験など幅広く実施されており、コロナ禍で会場受験を控える必要があることを受け、急速に浸透した。

資格試験を主催する企業も、オンライン試験を実施し、不正防止などの技術を取り入れているが、このほど需要が増えたことから、一般に提供するところも出てきている。

オンライン試験をはばむ壁

しかし、大学の入学試験などにおいては、まだまだオンライン試験は導入がむずかしいという見解もある。その理由として、在宅での受験ではカンニングやなりすましなどの不正が横行するリスクとともに、監視する技術がまだ完全とは言えず、検証段階であることがある。

1.カンニング

オンライン試験は、主に在宅でPCやスマートフォン上で実施されることから、手元に教科書や参考書を置いて回答したり、スマートフォンなどを片手に検索したり、知り合いに電話をして回答やヒントを得たりするカンニングが起こり得る。同居する家族が不正を手伝うこともあり得るだろう。

2.なりすまし・替え玉受験

画面上に入力するだけの試験なら誰でも回答できるため、受験者本人ではない人が受験者になりすまして回答してもバレない。会場受験よりも替え玉受験がやりやすくなってしまう。

オンライン試験の解決策

こうしたオンライン試験の不正を解決するのに、現在、さまざまな技術が検討されている。手法として、主なものを挙げる。

1.カンニング防止

●Webカメラでの目視での監視

オンライン試験の受験者をWebカメラにより監視する方法。受験に使用するPCのカメラから受験者を正面から映し、録画した上で後日、カンニングをにおわせるあやしい動きや不審な目線を目視で確認するというものだ。顔のほか、受験者の手元を映すカメラで監視する方法もある。

●AIによる不審な動きの検知

人間の目では見過ごしてしまうこともあるため、AIを合わせて活用する流れが起きている。

2.なりすまし防止

●顔認証・eKYC

なりすまし防止のための試験開始前における本人確認は、オンラインでも実施できるよう、顔認証技術を用いることがある。例えば、本人が事前に提出した写真とWebカメラで撮影した受験時の画像を自動的に照合する技術などがある。ここにもAIが活用されることもある。

中でも、金融や不動産業界などで利用されているeKYC(electronic Know Your Customer)という電子認証は、オンライン試験の場でも利用が進んでいる。

進むオンライン試験の不正検知技術

昨年からの新型コロナウイルスの感染拡大を受け、オンライン試験の不正検知の技術の開発が一気に進んだ。2つのトピックスを紹介する。

1.富士通の実証研究

富士通株式会社は、2021年2月から3月にかけて、慶應義塾大学医学部医学教育統轄センターと協力し、オンライン試験における本人確認や不正検知などの課題解決を目指す実証研究を行った。

研究においては、オンライン試験作成・配信システム「Questionmark OnDemand」とオンライン自動試験監督システム「Automated Proctoring Solution」の2つのシステムを使用し、仮試験を実際に実施し、その有効性を検証した。

実証研究のイメージ

●オンライン自動試験監督システム「Automated Proctoring Solution」が行えること

1.替え玉受験防止のために、試験開始前にオンライン画面上で身分証と受験者本人の写真を撮影。

2.Webカメラで常時オンライン試験中の受験者を記録し、受験者のPCデスクトップ画面やPCが認識する音も記録。

3.記録中に顔検出などのAIを使って、カンニング行為として疑われる可能性が高い不審行為として、「受験者が試験画面以外の方向を向くこと」や「音声を発すること」、「スマートフォンなどの使用や受験者以外の人物の顔が映ること」などを自動検知し記録。

4.検知結果は受験者一人ごとにレポート形式にまとめられ、不審行為があった時間帯は不正の疑惑レベルに応じて赤色や黄色でアラート表示。

5.試験後、試験管理者は、アラート表示部分の画像や音声、PCデスクトップ画面の記録を確認することで、実際に行われた動作が不正行為に該当するものか否かを判断する。

●効果

自動不正検知システムの結果レポートのイメージ画面

仮試験の結果、被験者の学生が試験中にとった、横や下など他の方向を見る、画面から消えるなどの不審な行動すべてを顔検出などのAIを使って自動検知でき、正常な行動と判別できることを確認した。

また、受験者に対しては、事前に自動不正検知結果の活用方法の説明を十分に行い、不審行為を疑われる動作の例を明確に示す必要性があることを確認した。

●実施の背景

富士通は、なぜ今回の不正行為検知システムの実証に取り組もうと考えたのか。今回の実証研究を主導したソーシャルデザイン事業本部 EDTECH事業部長 田中一郎氏は次のように話す。

「EDTECH事業部では、EDTECH事業のステートメントの1つとして『いつでもどこでも誰でも学べる環境を』を掲げていますが、COVID-19の感染拡大に伴い、教室や会場に集合して実施する従来の資格試験や検定試験が延期や中止となり、学びが止まる状況が相次ぎました。このような状況の中、自宅などで受験できるオンライン試験への注目が急速に高まったことを受け、学びを止めない、いつでもどこでも誰でも学べる環境に寄与する不正行為検知システムを今夏の提供に向け、企画しました。

しかし、国内におけるオンライン試験の市場は、まだ新しい市場であり、本人確認のむずかしさから発生する替え玉受験やカンニングをはじめとする試験中の不正行為などの防止、受験者が不正を疑われた際の証明方法の確立などの課題があると感じています。

まずは大学や専門学校などの教育機関、企業研修の授業の理解度テストや単位取得のためのテストへの適用から始め、その先には資格試験や検定試験等へと範囲を広げていきたいと考えています。そして公平・公正が求められるさまざまなオンライン試験を自宅等、場所にとらわれない環境で実施いただくことを想定しています」

2.NTT東日本×イー・コミュニケーションズ「クラウドAIを用いた挙動検知機能」を開発

NTT東日本は2020年10月5日、資格試験などの事業を行うイー・コミュニケーションズと共同で、「クラウドAIを用いた挙動検知機能」を開発したと発表した。

これは、多くの資格試験を手がけてきたイー・コミュニケーションズの知見を生かし、試験不正時における人間の動きの特徴を学習させた人工知能(AI)が、受験者の目線や動きから自動解析し、不正の疑いがある動きを検知する機能だ。

確認者には、不正の疑いのある箇所のみを通知することで、確認者の作業時間を短縮する。

替え玉受験やカンニングペーパーの利用の他、複数人での受験や電話などを用いた他人からのアドバイスといった動きを検知するという。

●活用方法

このクラウドAIを用いた挙動検知機能は、NTT東日本における社内資格試験のオンライン化に伴う活用や、イー・コミュニケーションズが提供するAIで受験中の録画動画を自動監視・解析し厳正厳格な試験を実現するサービスへの活用が予定されている。

オンライン試験は、コロナ禍を受けて一気に浸透していくだろう。それに伴い、不正防止や不正検知技術もさらに発展していくと考えられる。不正検知の精度が高まれば、厳格さが求められる重要な資格試験もオンライン化される日も近づくと思われる。

【参考】
富士通株式会社「受験者、試験提供者双方に、安心で効果的なオンライン試験の実現に向けてAIによる不審行動検知や試験問題作成を支援するシステムの実証研究を実施」(2021年3月22日)
東日本電信電話株式会社「ニューノーマル時代のオンライン資格・検定試験に対応した『クラウドAIを用いた挙動検知機能』の共同開発について」(2020年10月5日)
クラウドAIを活用した不正監視サービス「Remote Testing AI アナリスト」(仮称)をNTT東日本のデータサイエンティストチームと連携してリリース

取材・文/石原亜香利

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