今年は、テレワークと出社のハイブリッドスタイルで働く人も多いのではないだろうか。もうじき来る夏。在宅勤務でも窮屈でなく、夏の外出時でも快適に着られるものが理想的だ。そんな今年の夏、どのスーツを選ぶべきか迷っている人は、男女ともに傾向をチェックしておこう。
メンズの夏スーツ2021「清潔・着心地・機能性とデザインの両立」に注目
今夏のメンズスーツは、新型コロナ対策としての「清潔さ」がやはり主なテーマ。その上で、夏らしい機能と在宅勤務でも着心地の良い仕様が付加されたものが目立つ。さらに今年は、在宅勤務ばかりではなく、外出も増える可能性があり、リラックスしすぎない、デザイン性も際立っている。3つのブランドから具体的な傾向を探ってみよう。
1.GU「洗えるセットアップ」
GUのビジネスカジュアルのラインナップは、在宅でも着やすいリラックス感のある着心地が特徴。
GUの広報担当者によれば、洗濯機で手軽に洗えるため「おうちでこまめに洗濯できたら清潔で気持ちいいのに…」というお客様の悩みを解決するセットアップだという。
ドライ機能付きで、乾きやすく、しわになりにくい生地が使用されており、乾いたらサッと着られるのも嬉しいポイント。ウエストが半分ゴムなのは、周囲には内緒にしよう。
※在庫状況は店舗により異なる
2.ORIHICA「ノンアイロン・ウォッシャブルスーツ」
AOKIが展開するORIHICAは、暑い時季に対応するスーツをリリース。上下共に自宅で洗うことができるノンアイロンウォッシャブル仕様は、やはり今年必須の機能といえる。
さらに注目なのが通気性の高さ。従来品のスーツは通気量40ccであるのに対し、この製品は100cc。ジャケットの袖裏とパンツの裏地に吸汗速乾素材を使用することで汗をかいてもべたつきにくい仕様にもなっている。
ラペル(下襟)の芯地を特殊な構造にすることで、繰り返し洗っても型くずれしにくく、ラペルの美しいロール感をキープできるのは、たまの外出時にも着たくなる一着となりそうだ。生地は2WAYストレッチ採用で夏でも快適な着用感。さらにパンツはウエストストレッチ仕様で着席時の窮屈感も軽減される。
ORIHICAの広報担当者は、次のようにこだわりを述べる。
「肩のパッドと毛芯をなくした軽量仕様で、軽く羽織るような着心地を実現しながら、ラペルの芯地を特殊な構造にすることで、繰り返し洗っても形崩れしにくくしている点がこだわりです。通常、芯地をなくしてウォッシャブルにすると形が崩れたり、綺麗に保つことがむずかしいところ、洗っても綺麗に着られ、軽い着心地を保つことを実現しました」
3.WWS×ABAHOUSE「WWS×ABAHOUSE別注セットアップ」
自転車通勤者は、このセットアップも押さえておこう。スーツに見える作業着でおなじみのWWSとABAHOUSEがコラボし、自転車通勤者がスーツに求める声に応えるスーツを作った。WWSの自社独自開発の新素材「ultimex(アルティメックス)」を使用し、ストレッチ、しわになりにくさ、撥水・速乾、洗濯機で丸洗い可能といった豊富な機能を備えつつ、ABAHOUSEの「洗練された都市生活」を反映したデザインを取り入れた。リフレクターが、バックネック・袖口・パンツ裾を折り返すと出てくる仕様は、自転車通勤者にとって夜でも安心の機能だ。
WWSの広報担当者は、こだわりについて次のように述べる。
「自転車通勤者にアンケートを実施し、通勤時のスーツについての不満点を解決するセットアップに仕上げています。リフレクターもそうですが、自転車乗車時に邪魔にならない絶妙なパンツ丈や、落下物を防ぐファスナー付きポケットなど、こだわりがつまったコラボアイテムとなっています」
レディースはマスクホルダー付き・日焼け対策機能も
レディースの2021年夏向けスーツラインナップも、メンズと同様に、“自宅で洗える”清潔さが主軸だ。そして年々、働く女性の声を取り入れながら進化する流れも、コロナ禍を経てさらに進んだ。
●ザ・スーツカンパニー×ピーチ・ジョン「Work Smart COOLISH(ワーク・スマート・クーリッシュ)」
例えば、青山商事のブランド、ザ・スーツカンパニーと、下着ブランドのピーチ・ジョンがコラボして作った「Work Smart COOLISH」は、夏に嬉しい機能と共に、ニューノーマルなスーツと言うべき機能が備わった。
ザ・スーツカンパニーとピーチ・ジョンのコラボは今回で2回目。第1弾の、着用するだけでやせ見えするシャドウ&ライン効果や着やすいストレッチ性は引き継ぎ、そこへ夏に嬉しい、軽量・通気性・吸水速乾性・接触冷感機能といった快適な機能が備わっている。また抗菌消臭機能が付加され、気になる汗のニオイも軽減。まさに夏用の高機能さが特長だ。
そして他にはないニューノーマルな機能といえるのが、ジャケット内側の「マスクホルダー」。マスクを外すシーンでは置く場所に困ることもあるが、このジャケットならスマートにしまうことができる。またUVカット機能を備えた背中の裏地を立ち上げると、首元の日焼けを対策することができる「ネックカバー」となる仕掛けも。
さらにポケットティッシュやウェットシートが入るポケットや、深めのオープンポケットを備え、わざわざポーチを持たずに必要な小物をジャケットに収納できるようにもなっている。パワフルなワーキングウーマンは身軽に動け、重宝しそうだ。
実際に着用した店舗スタッフによると、マスクホルダーは手軽にマスクをかけることができるので、マスクケースを持ち歩かずに済んで便利という声が挙がっているという。また、電車で窓側に座ったときに背後からの日差しが気になっていたが、ネックカバーのおかげで首の日焼けが気にならなくなったというお客様からの声もあるそうだ。
2021年の夏スーツは、今年ならではのすぐれた機能性とデザインを備えたラインナップが出そろっている。ぜひお気に入りのものを見つけよう。
取材・文/石原亜香利