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【もしもAIがいてくれたら】閉じた人間関係をAIは打破できるのか

2021.05.29

【連載】もしもAIがいてくれたら

第2回:閉じた人間関係をAIは打破できるのか

いまや家電やクルマに搭載されていたり、株式の値動きを予測したりと、身近なところで私たちの生活を支えている「人工知能(AI)」。もし将来、これまで以上に発展が続けば、私たちはもっと心豊かに暮らせるようになるのだろうか。そしてもし過去に――それも私たちが多感な時期や、仕事や恋に振り回されたあの時期に――AIが存在していたとしたら私たちの人生はどう変わっていたのだろうか。
ひとりの女性であり、国立大学の副学長であり、人工知能の専門家が、これからくるAIの未来を解説する。そして同時に、「もしAIがいてくれたら、私の人生はどう変わっていたのだろう」と過去を振り返る。
(前回へのリンクはこちら→ 第1回:私、元いじめられっ子の大学副学長です

人でもモノでもない「AIになら相談できる」かも

将来、「人間社会」という言葉がなくなるかもしれません。

……と書くと驚かれるかもしれませんが、人間だけで構成される社会であり続けないかもしれない、という感じでしょうか。AIの進化で、人かモノ・機械か、という明確な区別ができないような存在が生まれて、社会を構築していく未来があるのではないかと思います。

といっても、松本零士さんの『銀河鉄道999』の世界のように人間が機械になったような存在のことをいっているのではなく、人か機械かといえば機械なんだけど、人間のような知能を持ち、人間のように振舞える何か、のことです。

社会は、Society1.0と呼ばれる狩猟社会、Society2.0と呼ばれる農耕社会、Society3.0と呼ばれる工業社会、Society4.0と呼ばれる情報社会、という順に発展してきました。内閣府のHPによると、まさにこれからのSociety 5.0で実現する社会は、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながる社会とされています。

そこでは様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、様々な課題や困難が克服されます。また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます。

社会の変革(イノベーション)を通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となるでしょう。「IoT、AIといったテクノロジーによって、人とモノがつながり、様々な知識などが共有されて、課題や困難が克服され、閉塞感が打破されて世代を超えて互いに尊重しあえる社会」に早くなってほしいです。

ここではまだ「人とモノ」を区別して、AIやIoTがそれをつないでいくような書き方になっていますが、AIが人でもモノでもない存在として浸透していくことで、本当の意味で、閉塞感は打破されていくのかもしれません。

そもそも、社会が人間だけで営まれているから起きる不具合、解決できない課題があるのではないか、と思います。”閉じた人間関係”の場合、この不具合は顕著になります。

信頼できる人、あなたにはどれだけいますか?

私が子供の頃受けたいじめも、教室の中の同年齢の子供たちの間の閉じた人間関係から生まれたものでした。

自分がなぜいじめられていたのか、本当のところはわかりませんが、転校してきて方言になじめなかったりで「異質な存在」だったからかもしれません。いじめられても、言い返すことができない(これは今も苦手)せいで、いじめを増長させてしまったのかもしれません。

とすると、そもそも異質な存在であるAI搭載ロボットがいたりして,社会が多様化すれば、”異質な存在”という概念自体なくなるかもしれません。いじめられている子を助けると、その子もいじめられるようになる。だから見て見ぬふりをしてしまう……ということがありますが、いじめられることを恐れないAI搭載ロボットが教室にいたら、いじめられている子の代わりに言い返してくれたら、教室の雰囲気は変わるかもしれません。まさに学校・教室の閉塞感を打破してくれる存在になるのではないでしょうか。いじめられっ子ののび太君とドラえもんのような結びつきがなくても、閉じた人間関係の中に、人でもモノでもないAI搭載ロボットが存在するだけで違うはずです。

家庭も閉じた人間関係になりやすい場所です。愛し愛され、お互いを尊重できる関係で結ばれている家族であれば、家庭は守られた安心できる居場所なので最高ですね。

でも実際には、家庭も、とても閉じた人間関係になるために、様々な問題が起きやすい場所です。現に、虐待で亡くなる子供は後を絶ちません。血のつながりがある関係でも、悲しい関係ができてしまい、血縁関係で起きているからこそ、家庭の外からの救いの手が届かないのです。血のつながりのある親子関係の多くは、愛情とパワーの非常に微妙なバランスで成り立っている可能性もあります。でも、血のつながりがあると、本能的な愛情に支えられた信頼関係が構築されやすいとは思います。私の場合はそうだと感じています。

夫婦関係はどうでしょうか。血のつながりのない人間同士が家族になり、家庭を作ります。私の場合はうまくいかなかったからそう感じるのかもしれませんが、夫婦が閉じた人間関係でいると苦しい状況になるのではないかと思います。血のつながりはないので、本当に努力に努力を重ねないと、信頼関係は構築されません。

閉じた人間関係でも、お互いを尊重し、お互いの気持ちを大切にしあうことができれば、本当に素晴らしいことです。でも、そのような人間関係を構築し続けられる人はそれほど多くはないのではないかと思います。

前述の内閣府のHPでは、「社会の変革(イノベーション)を通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会」を目指すという大きいことが書かれていますが、閉塞感の打破や希望や尊重は、職場や学校,家庭といった身近なところの変革が大切により実現できるのではないかと思います。職場や学校,家庭といった、多くの時間を過ごす場所で幸せでいられることが、一番大切なのではないかと思います。

身近なところにある閉じた人間関係に、第3者が介入することができれば、救うことができる関係もあるかもしれません。パワハラが生じやすい、職場、学校、家庭に、人のような知能を持ち、人のように振舞うことのできるAI搭載ロボットが当たり前に存在するようになったら、少なくとも「閉じた人間関係」ではなくなるかもしれません。

このように考えてくると、AIへの期待が高まりますが、今のAIにはどのようなことまでできて、どのようなことは難しいのか、どのようなことは可能になっていくのかなども説明していきたいと思います。

次回、「人には相談できないけどAIになら?」(仮題)を6月5日(土)に配信予定です。ご期待ください。

坂本真樹(さかもと・まき)/国立大学法人電気通信大学副学長、同大学情報理工学研究科/人工知能先端研究センター教授。人工知能学会元理事。感性AI株式会社COO。NHKラジオ第一放送『子ども科学電話相談』のAI・ロボット担当として、人工知能などの最新研究とビジネス動向について解説している。オノマトペや五感や感性・感情といった人の言語・心理などについての文系的な現象を、理工系的観点から分析し、人工知能に搭載することが得意。著書に「坂本真樹先生が教える人工知能がほぼほぼわかる本」(オーム社)など。

※配信日は変更になる可能性があります。

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